ダイエーの蹉跌
田畑 俊明 日経BP出版 2005/01/11
ダイエーの再生のために、呼び戻されたもとダイエー戦士の告発もの。
うまく行かず、退社。その反省の弁であり、高木前社長への批判でもあります。
読後の感想は、随分ひどかったんだ、に尽きます。
まだ、追放される前の中内氏がテレビで、『会社が大きくなると官僚的な動きをする人が増えてしまう』と嘆いていました。また、『だんだん消費者の動きがわからなくなってきた。安いものが売れるのではなく、豆腐でも400円のものが売れたりする』とも。
一方で、『対面販売など邪道であって、』と斬って捨ててました。高い豆腐が売れることと、対面販売は商品の個別性という点で一環しているように思えますが、中内氏の頭の中ではつながらなかったようです。ダイエーの悲惨な状況は、この中内氏の迷いが尾を引いているようです(本書でもその問題は少しだけ触れられています)。
本書は、がんばる現場と、それをつぶす本部、黙認するトップという構図で書かれています。
売り上げを上げるには地元銘柄を置く必要があり、実績も上がるのに、自社ブランドを優先させようとし、そうした成功例を他店に広げないようとまでする本部(商品統括部)。
最近勢いのある『オオゼキ』などと比べて、こんなことをやっていて復活するとは到底思えない。戦う前から負けているという感じです。
本書にはうんざりするほど、だめな例が出てきて、ホントはこうするべき、ああするべきと書いてあります。かなり頭にきているようで、積極的、消極的な抵抗に遭い、こんなんじゃあだめだとの結論。抵抗勢力は断固排除し、異質な文化を持ったトップを迎えろとも。
普通は会社の危機だ、となれば一致団結して戦うとも思えますが、中内氏の言葉のとおり官僚的な保身に走ってしまう。中途半端な金融支援を実施したときに、先延ばしばしだと批判されましたが、この本を読めばその批判が正しかったんだろうとも思えます。
ターンアラウンドにはCFの安定化やステークホルダーとの理解が第一フェーズで必要だ、とのことですが、ダイエーはステークホルダーたる金融機関の引いたスケジュールの中で、それにあわせるべく四苦八苦して抜本改革にいたらなかったことがわかります。
正しい方向にベクトルが向いていない中でずるずる時間が過ぎて行くのはむなしく、早期の対応が必要だ、との意味はこういうことをさすのだなあ、と納得。
決算対策やら多額のキックバックやら、集中管理の弊害やら、ナショナルブランドの凋落やら、今、小売が変わろうとしている理由はどんなところにあるのかという観点から読むこともできます。すなわち、ダイエーのようにならないためにはどうすべきか、ということなんだ、と良く理解できます。
本書の最終章は、『答えは今やっていることの逆にある』となっています。
田畑 俊明 日経BP出版 2005/01/11
ダイエーの再生のために、呼び戻されたもとダイエー戦士の告発もの。
うまく行かず、退社。その反省の弁であり、高木前社長への批判でもあります。
読後の感想は、随分ひどかったんだ、に尽きます。
まだ、追放される前の中内氏がテレビで、『会社が大きくなると官僚的な動きをする人が増えてしまう』と嘆いていました。また、『だんだん消費者の動きがわからなくなってきた。安いものが売れるのではなく、豆腐でも400円のものが売れたりする』とも。
一方で、『対面販売など邪道であって、』と斬って捨ててました。高い豆腐が売れることと、対面販売は商品の個別性という点で一環しているように思えますが、中内氏の頭の中ではつながらなかったようです。ダイエーの悲惨な状況は、この中内氏の迷いが尾を引いているようです(本書でもその問題は少しだけ触れられています)。
本書は、がんばる現場と、それをつぶす本部、黙認するトップという構図で書かれています。
売り上げを上げるには地元銘柄を置く必要があり、実績も上がるのに、自社ブランドを優先させようとし、そうした成功例を他店に広げないようとまでする本部(商品統括部)。
最近勢いのある『オオゼキ』などと比べて、こんなことをやっていて復活するとは到底思えない。戦う前から負けているという感じです。
本書にはうんざりするほど、だめな例が出てきて、ホントはこうするべき、ああするべきと書いてあります。かなり頭にきているようで、積極的、消極的な抵抗に遭い、こんなんじゃあだめだとの結論。抵抗勢力は断固排除し、異質な文化を持ったトップを迎えろとも。
普通は会社の危機だ、となれば一致団結して戦うとも思えますが、中内氏の言葉のとおり官僚的な保身に走ってしまう。中途半端な金融支援を実施したときに、先延ばしばしだと批判されましたが、この本を読めばその批判が正しかったんだろうとも思えます。
ターンアラウンドにはCFの安定化やステークホルダーとの理解が第一フェーズで必要だ、とのことですが、ダイエーはステークホルダーたる金融機関の引いたスケジュールの中で、それにあわせるべく四苦八苦して抜本改革にいたらなかったことがわかります。
正しい方向にベクトルが向いていない中でずるずる時間が過ぎて行くのはむなしく、早期の対応が必要だ、との意味はこういうことをさすのだなあ、と納得。
決算対策やら多額のキックバックやら、集中管理の弊害やら、ナショナルブランドの凋落やら、今、小売が変わろうとしている理由はどんなところにあるのかという観点から読むこともできます。すなわち、ダイエーのようにならないためにはどうすべきか、ということなんだ、と良く理解できます。
本書の最終章は、『答えは今やっていることの逆にある』となっています。