会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

オキュパイ オバマグーグル+

2012-02-26 11:37:49 | 政治
グーグルがソーシァルメディアを作った,とかがちょっと前にニュースになってたわけですが,どんなに機能が高くても,既にFaceBookが大きなシェアを持っている中で,なかなか今から追いつくのは難しそうですがね。かつて,動画に参入した時も,結局youtubeを改めて買収したんでした。

ただ,facebookも実は後発で,最初はMyspaceがかなり先行してて,そっちが本命って感じが続いてた時代もあったわけですが,Myspaceはマードック傘下に入ってしまって,結局衰退。勝者が確立するまでは,そういうこともあるわけですな。

かつて,ビジネスウィークがこの没落過程を詳しく特集しています。

The Rise and Inglorious Fall of Myspace

それは良いとして,

そのgoogle+にオバマさんが今年の選挙のキャンペーンの一環でページを立ち上げているんですね。
グーグルとオバマさんとの関係は,四年前に当選したときから取りざたされているくらいで,

Obama-Google connection scares competitors

今回も,ヅーグル+てこ入れのお手伝い,って感じなのかどうかはよく分かりませんが,

それも良いとして,

実は,今日は中国ネタなんですが,

Chinese 'netizens' inundate Obama's Google+ page


President Obama's page on Google's social network site has been inundated with messages in Chinese after restrictions in China were removed.

オバマ大統領のページが中国語のメッセージで氾濫。中国での規制が外れて以後。


Google+ is normally blocked in China along with other social media that the authorities deem unacceptable.
Since Google+ was launched in 2011, software known informally as the Great Firewall had appeared to block it within China.
But on 20 February 2012 internet-users in many parts of China found they could gain access to the site - prompting some to suggest occupying it, in a tongue-in-cheek reference to the Occupy Wall Street campaign.

普通,中国ではソーシァルメディアは規制されてて,ブロックされているはずが,どうもオバマさんのページにはアクセスできることがわかって・・・。


A few appealed for the liberty of the civil rights activist Chen Guangcheng, who is under house arrest.
Others asked about a recent political intrigue in south-west China, in which one of the country's top policemen, Wang Lijun, spent a day in the US consulate in Chengdu for undisclosed reasons.

But many simply voiced delight at their freedom to speak

自宅監禁されている活動家の解放を求めるものや,中国の政治家が米領事館を訪ねた理由を問うものもあるが,多くは単に言論の自由を与えられたことに喜びの声をあげるもの。

The White House in Washington has not commented on the upsurge of Chinese interest in President Obama's campaign site.

ホワイトハウスはコメントなし。

But it has prompted one poster to suggest that if China ever abandoned its internet restrictions, the United States would have to protect its social media with a Great Firewall of its own.

しかし,中国のがインターネット規制をはずしたら,今度は米国が自分でファイアーウォールを立ち上げて米国のソーシォルメディアを守らなくならなくなるぞ,というポスターが貼り出された。



と,このポスターってなんのことを言ってるのかよく分かりませんが,


中国の人達が自由に書き込みできるようになれば,エライコトになりそうですな。他の著名人のページも占拠されかねません。なんせ,大人数なんで。一割がネットにアクセスする能力を持つだけで,軽く日本の人口を超えてしまいますからなあ。

さて,

実際にオバマさんのページを検索していただくとわかりますが、
確かに,漢字コメントで一杯だし,英語でも,明らかに中国からと分かるコメントが沢山あります。

日本で言う,炎上とは違ってて,ざっとみて悪意のあるものは見かけません。ってかあったら削除されるんでしょうな。

最近,習 近平が米国を訪問してて,

歓迎されたお礼に,
ちょっとさびしいオバマのページを賑わしてやるか,

と規制をはずしたんだったりして。

応援になってないって。

Obama Meets Chinese VP Xi Jinping



Xi Jinping wooed by Obama White House



日本銀行のインフレターゲット ロンドンエコノミスト

2012-02-25 09:35:40 | 金融
ロンドンエコノミストが日銀のインフレターゲットについてコメントしています。

The Bank of Japan
Time for action






CONSERVATIVE, cautious and cowardly: the Bank of Japan (BOJ) has endured all manner of insults over the years. Among the complaints from critics is the charge that the central bank could have boosted Japan’s economy if it had increased its balance-sheet more rapidly during the financial crisis.

保守的だ、ビビッてて臆病。日銀は何年も侮辱に耐えてきた。金融危機の時にもっとバランスシートを拡大して日本の経済をもっと刺激できていたはずだという批判である。

The BOJ believes there is only so much a central bank can do if businesses won’t borrow and banks won’t lend because growth prospects are meagre and firms are already stuffed with cash. But politicians are threatening to introduce laws to dilute the bank’s independence. And its counterparts are being embarrassingly dynamic. In January the Federal Reserve set an inflation target of 2% and promised near-zero interest rates until the end of 2014; the European Central Bank is lending money to euro-zone banks like there’s no tomorrow. Inaction is not an option.

日銀は企業が金を借りず,銀行も貸し出しをしないのは将来の見通しがいまいちで,企業は既に資金で満たされているからだと信じている。しかし,政治家達は,日銀の独立性を法を導入するぞと脅し,カウンターパーツは困ったことにダイノミックに動いているのだ。一月にはFRBがインフレターゲットを2%にセットし,金利をゼロ近辺に2014年まで維持すると約束した。欧州中央銀行は欧州の銀行に,際限なく金を貸している。何もしない,というわけにはいかない。


So on February 14th the BOJ tried to disprove its critics. First, it changed its wording on price stability. Instead of calling it an “understanding” among the nine individual policy-board members, it now refers to price stability as a “goal” of the institution.

というわけで,日銀は批判をかわすために,まず物価安定に関するワーディングを変えた。『理解する』と呼ぶ変わりに,物価安定については,日銀としての『ゴール』,と呼ぶのだ。


The stockmarket leapt to a six-month high following the BOJ’s announcement. Yet the economy still faces some severe headwinds: a declining population, sluggish global growth and a still-strong yen that eats into corporate profits. Fourth-quarter GDP figures released on February 13th show that the Japanese economy shrank by an annualised 2.3% from the previous quarter, the fourth decline in five quarters.

日銀の発表から株価はこの半年のピークをつけた。まだ経済はひどい逆風下にある。


So critics will again complain that the BOJ is doing too little. That charge will be less fair than it used to be. And, as the gentlemen of Nihonbashi subtly stated in their communiqué, it is up to banks, firms and the government to play a role in revitalising the Japanese economy, too.


したがって,批判者は,日銀が手ぬるいと再び批判を始めるだろうが、これまでほど妥当だとはいえなくなる。日本橋で発表されたコミュニケの言うとおり,経済を活性化させるには,銀行や企業や政府の果たす役割次第なのだ。


というわけですが,この記事では,日銀がインフレターゲットを明言して株価が上がったことを,はっきり書いています。どうも,どうも,日経を読んでいるかぎり,日銀のインフレターゲットと株価や為替を結びつける記事が見当たらないようなんですがね。

どうみても,最近の株高と円安は,日銀の発表に影響を受けているような気がするんですが,もし,それを認めちゃうと,長年の日銀批判者が正しかったと判定してしまうことになって,間接的に日銀を批判してしまうんで,

そんな記事は出ない,

ってことじゃないでしょうな。


アップル 中国工場 Foxconn

2012-02-23 07:14:50 | ハイテク
先日は,米国の中国からの貿易赤字をどうみるか,みたいなハナシだったわけですが、

中国との米国貿易赤字をどう見るか

事例として出ていた,アップルの中国工場ってかアップルが持っている工場ではなくて,台湾企業のFoxconnに作らせているわけですが,そこに

ABCが,取材で入っています。

Apple's Chinese Factories: Exclusive



時給2ドルで,中国の田舎から出てきた若者が働いている,寮に入ってて八人部屋。昼飯は七十セント。給料安い,食費は高いと不満あり。自殺が頻発したので,自殺防止のネットが建物の側面に張ってある。今回は,外部からの労務環境の外部オーディットに同行取材,オーディット費用はアッブル持ちで,利益相反の可能性も指摘されている。月曜日には,職を求めて三千人がFoxconnの採用センターの前に並ぶ。この日は八割が新規採用された。


農村から都市へと若者の大移動が起きたのは,日本も経験したことで,同じ経路を中国もたどっているんだなあ,と,採用センターに並んでいる中国の若者達を見ていると感じますなあ。

拡大している間は,良いわけですが,今みたいに輸出が縮小していると,結構きつくなっている人たちも沢山いるはずですがね。ここの工場は勢いが続いているようですが。

ちなみに,ここは,インテルや任天堂のモノも作っていて,アップルだけ扱っているわけじゃないようですがね。

フルエピソードはこちら。

A Trip to The iFactory: 'Nightline' Gets an Unprecedented Glimpse Inside Apple's Chinese Core


中国の住宅価格 一月も下げる

2012-02-20 07:26:52 | 市況
中国の不動産バブルなんですが,

China January Home Prices Post Worst Performance in a Year


Feb. 18 (Bloomberg) -- China’s January home prices recorded their worst performance in at least a year, with none of the 70 cities monitored by the government posting gains as Premier Wen Jiabao reiterated his determination to maintain property curbs.

一月の住宅価格は,この一年で最悪。モニターされている70の都市で,価格上昇したところは皆無。

“The falling downtrend of home prices will strengthen in coming months as the government tightening continues,” said Alan Jin, a Hong Kong-based property analyst for at Mizuho Securities Asia Ltd. “The figures won’t prompt the central government to release the curbs any time soon, because it probably would like to observe and study the market further.”

政府の引き締め策が続くので,今後もダウンは続く。

China won’t waver on its real-estate controls and efforts to bring home prices down to a reasonable level to ensure fairness and stability, Premier Wen Jiabao said during a meeting with business executives on Feb. 12.

胡 錦濤は住宅価格合理的なレベルまで落ちるまでは,不動産へのコントロールを外すことはしないと表明。


Home sales in China’s four key cities declined during the week-long Lunar New Year holiday at the end of January. Transactions in Beijing, Shanghai, Guangzhou and Shenzhen fell 66 percent to 109 units, compared with the same holiday period a year earlier, Centaline Property Agency Ltd., China’s biggest real-estate brokerage, said Jan. 30.

主要4都市での,旧正月休暇での住宅販売は去年と比較して66バーセントも下落。

Falling home prices fueled an attempt by China’s smaller cities’ to release tightening on property policies. The eastern city of Wuhu was the first Chinese city this year to ease measures ordered by the central government by waiving a deed tax and subsidizing some home purchases. The move was suspended three days later, following the outcome of a similar attempt in October by Foshan in southern China.

東部の小都市Wuhuが,今年,政府の引き締め策の譲渡税を廃止したり,いくつかの不動産取引に補助金を出した最初の都市となったが,三日後に停止された。



というわけで,不動産規制はかなり強い決意によってなされているようですが,中国の経済は投資の占める割合が高いってことなんで,価格上昇が止まるだけならまだしも,取引自体が減ってしまえば,結構影響が大きいはすですな。まだ価格は一ヶ月1%弱の低下ではありますが,投機資金はもう・・・。

日本の90年代の総量規制,なんかを思い出したりして。




日本の国会と米国議会

2012-02-17 07:10:00 | 政治
まず,この動画ですが,

平成24年02月02日 衆院予算委・山本幸三【ド素人全開安住財務大臣】



なんで円高なんだ,
あんた,この資料みてどう思うんだ,
マンデルフレミングモデルって知ってるか,

こうした議論で,何かが前に進む,という感じが全くしませんな。
議論も積み重なっていかない。

全く歴史上,今日始めて日銀の金融緩和姿勢が問題になったような印象を受けてしまいますな。

ナンデ,ネットや新書での素人談義のような一般的なハナシをしちゃってるんでしょうか。

それに,上から目線で,相互の敬意に欠けていて,議論になってませんな。


こっちと見比べれば,よく分かるんですが,

Part II: Ben Bernanke 2012 Economic Outlook; House Budget Committee 02.02.2012


まず,違うのは,バーナンキに対する敬意を感じることですね。
そして,バーナンキに十分しゃべらせる。

FRBのスタンスや,考えを明確にさせておいて,政策が失敗に終わったら責任を問うためでもあるでしょうな。経済についての現状認識には,当然ながら専門家意見として尊重される。


まあ,FRBゆるすぎやろ,というハナシと,日銀もっと緩めろ,と,委員会の基調は全く正反対な状況にあるわけですが。


国会での議論よりも,FRBの政策変更の方が影響大だったとしても,日本の委員会であの議論の内容では・・・。









ロン・ポール メイン州で健闘

2012-02-16 00:20:11 | 政治

もう,共和党は,ロムニーで決まりか,と思って
ちょっと目を離したスキに

なんと,サントラムが,三たてを食らわしていて,なんでだろと確認しようと思ったら,メイン州の結果が出て,またロムニーがトップ。それぞれの州で勝敗の分析があるんでしょうがちょいとフォローできてません。一体どうなってるんですかね。

まあ,それはそうと,ロン・ポールが検討しているんですな。
彼だけは,どこの州でも勝っていなくて,アイオアでひょっとしたら勝つんじゃないか,という盛り上がりは消えてしまったのか,と思っていたら,

今週の,Face The Nationに出てました。

Ron Paul: I Can Beat Obama Because My Message Brings People Together


なんと,メイン州では,僅差の2位。
一位のロムニーとほとんど差がないではありませんか。

で,動画の内容ですが,

インタビューで聞かれるのは毎回同じ。

ロムニーのこと。

なんで,あんたには熱狂的な支持者がいるのに,ロムニーはそうじゃないのか。
なんで,あんたの信条を疑う人はいないのに,ロムニーに対してはそうじゃないのか。

ロムニーは,オバマに勝てると思うか。

ロムニーは,保守だと思うか。



『もっと,わしのことを聞けーッ!!』

と,ぶち切れたりせずに、

ロムニーは勝てると思いますよ,もちろん私も勝てますが。

と,自分のことは,付けたしで主張しています。

ロン・ポールは,あまりマトモに取り上げられないんで,自分以外のテーマに絡めて,自分のアピールするのが習慣になってるんじゃないか,と感じるんですな。

こないだ,ギングリッジが前の奥さんに不誠実を働いた点について,そんなテーマをテレビディベートで取り上げるのはふさわしくない,みたいなコメントをしながら,

『でも,私は,○十年来家内と連れ添っていることを誇りに思っている』

とそれとなく,付け足したり,

『ここにいる候補の中で,私だけが軍歴がある』

とボソッとアピールしたりして。

最近でこそ,本人についても尋ねられるようになりましたが,以前は,あたかもそこに居ないかのように扱われていたんで,割り込んでいって,ちなみに,私は・・・,みたいな。


インタビューで聞かれることが決まっているとして,
主張する内容も一環しています。

徹底して外国への介入を止める。
徹底して,金融政策を変える。
他の候補は,基本的に現状維持の中途半端な政策を主張しているのであって,
抜本的に政策変更を行えるのは自分だけ。


それにしても,結構ロンポールが健闘してるんで,驚きました。












ホイットニー・ヒューストン 

2012-02-13 01:00:23 | 生活

いや,驚いたのなんのって。
亡くなったとは。

Whitney Houston - Greatest Love Of All


彼女のヒット曲は,忘れられることなく,繰り返し聞かれることでしょうな。
映画『ボディーガード』の公開が92年。

90年代,クリントンの時代。
株価がグングン上昇して,アメリカがピカピカしていた時代。

私の中では,彼女のイメージはあの頃とかぶるんですけどね。


Whitney Houston - Run To You




インフルエンザワクチン 打つべきか打たざるべきか 4

2012-02-11 12:10:37 | 生活
インフルエンザの季節がまたやって参りました。

で,毎年恒例のワクチン 打つべきか,打たざるべきかシリーズ。


インフルエンザワクチン 打つべきか打たざるべきか2

私は,個人的にはワクチンは打ってません。職場では,変人扱いされかけてますが,数年前,注射の前に体温を測ったら微熱があって,

副作用で脳炎になる可能性もありますよ,

と脅されて以来,そんなリスクがあるものを打ってどうする,

てなわけで,止めてます。微熱があるかどうかなんて,ささいなことでリスクが副作用リスクがあがる,なんてちょいと疑問,というわけですな。

で,先のリンク先の前橋レポート等を読むに至り,テコでも打つまい,と個人的には考えていますが,実際のところはよく分かりません。ちなみに私の父は打っていて,効いている,と信じてるようです。

前橋市が,そもそもワクチンの有効性を検証したのは,児童の副作用死に直面したからなんですな。

児童全員が打つので,毎年副作用被害が必ず出る。それにふさわしい効果が本当にあるんだろうか,という具合です。

どうもそうではないらしい,と薄々,前橋の医師会が感じていて,徹底的な調査を行った。すると,どうも効果は認められない。で,自発的に打つのをやめてしまった。

で,その運動が全国に広がって,予防接種は任意に制度も変わった,というわけで。

さて,94年から任意摂取だそうですが,その後のインフル死亡数の動きは,というと,

インフルエンザによる死亡数の変化

毎年上下していますが,94年から潮目が変わっているということは無いようです。

その後2000年代に入ってから中盤にかけて増えていますが,その後,また減ってますね。ワクチンはあんまし関係なさそうです。


さて,それはそうと,こんなの見つけました。
これは問題でしょう。11ページ

平成21年シーズンの新型インフルエンザ
予防接種後副反応報告のまとめについて


133人も亡くなってます。しかも,お年寄りが大半です。

摂取人数に比べて,死亡確率がかなり低い,ということではあるんですが,もともと先のグラフでもわかる通り,インフルエンザで死ぬ人そのものが,せいぜい数百名に過ぎない点から考えると,これはよろしくなかったんじゃないでしょうか。

これは,新型インフルに関するワクチンなんで,他のものとは違うわけですが,それにしても・・・。新型が弱毒性で,死亡率が低かった,といわれていることを考えても,これは・・・。


バカな政策だ,と世界からバカにされた挙句,大量の死亡者を出して終わった政策,という感じですかね。


ピンボケ政策に世界注目 鳥インフルワクチン


ただ,これは,新型インフルワクチンなんで,通常のインフルワクチンでの死亡は,それほど多くないようです。念のため。

新型インフルがまた流行ったとしても,ワクチンについてはちょいと考えた方がいいかもですね。





中国のキャピタルフライトリスク

2012-02-10 10:30:35 | ロンドンエコノミスト
中国のバブル崩壊、がどのようなリスクとなって現れるのか。
中国内の投資家がロスを被る、に留まらないとしたら、どんな問題があるんでしょうな。

で、最近、中国のキャピタルフライトに関する記事をよく見かけるんですが、

いよいよ本格化する中国富裕層の資本逃避

指導部の世代交代で資金流出に拍車

 中国からの資本逃避は、何年も前からよくある風景の一部だった。こうしたお金の持ち主は、共産党幹部や上場(特に中国国外での上場)を果たした国営企業の幸運な経営幹部、そして新たに富を手にした起業家などだ。しかし、政治の移行期には、中国からの資金流出がかつてないほど激しくなる。

 今年10月には第18回中国共産党大会が開かれ、最高指導部の一連の交代の始まりを告げる。従来守られてきた人が庇護者を失うことになる指導部交代が、どんな結果をもたらすかは誰にも分からないのだ。


中国の指導部交代を控えて、有力者のコネを失いかねない富裕層が一斉に資産を海外に退避させているという流れについて説明しているわけですね。

で、ロンドンエコノミストの方なんですが、海外資本も含めて、キャピタルフライトについて書いています。

Two twists in the dragon’s tail


China still runs a sizeable trade surplus. But its net exports fell in 2011 (in absolute terms) for only the third time since 2000, subtracting 0.5 percentage points from its growth. Thanks to home-grown spending, China’s economy still managed to expand by 9.2% in 2011, remaining surprisingly strong even in the fourth quarter. This growth owed an unusual amount to consumption (both public and private), which contributed over half for the first time since 2001. As a consequence, the share of consumption in China’s GDP edged up in 2011 after falling for ten years in a row.

中国にはまだ大きな貿易黒字があるが、純輸出は2011年に下落。2003年来たった3回しかなかったことで、経済成長に0.5%マイナス効果。

China this week reported that the price of new homes fell in 52 out of 70 cities across the country in December, compared with the month before. Households are struggling to obtain mortgages; developers are finding it almost impossible to obtain a loan. The drying up of foreign funds is particularly dramatic, points out North Square Blue Oak, a research firm based in London and Beijing. Foreign capital fell by 65% in December, compared with a year earlier.

今週、中国で報じられたところでは、12月新規住宅価格は70のうち52の都市で、前月比下落。家計は住宅ローンを得るために苦労し、開発業者には融資がほとんど難しくなっている。海外資本の干上がりはドラマチックなほどだ。

The flight of foreigners from property partly explains another unusual twist in the China story. Its foreign-exchange reserves fell in the fourth quarter for the first time since the height of the Asian financial crisis in 1998. The drop was small, from $3.2 trillion to $3.18 trillion, but also a little mysterious. China still exports more than it imports, and attracts more foreign direct investment than it undertakes. These two sources of foreign exchange must, then, have been offset by an unidentified drain.

海外資本が資産市場から退避しているという問題は、もうひとつの中国のひずみを物語る。第四4半期に、1998年来初めて外貨準備高が減少したのだ。減少幅は小さいがそれには謎がある。輸入より輸出の方が大きいし、直接投資もプラスだが、それをマイナスにするだけの特定されない流出があるということなのだ。

The worry is that China’s capital controls have sprung a leak. “Hot money”, attracted by the country’s growth, may be flowing out as the property market falters. Some even speculate that China’s rich may begin to smuggle their new-found wealth out of the country en masse.

心配なのは、中国の資本統制に漏れがあるという点だ。資産市場がふらついて、この国の成長をあてこんでいたホットマネーが海外に流出しているのかもしれない。

富裕層が最近獲得した富をこっそりと海外に大量に持ち出し始めている、とみている人達もいる。

Victor Shih of Northwestern University reckons that China’s richest 1% hold $2 trillion-5 trillion in liquid wealth and property. If they were ever to smuggle that money out, the outflow would dent even China’s reserves. That would be a disaster for China’s economic management, putting heavy downward pressure on the yuan. At least China’s critics could no longer trot out another familiar accusation―that it undervalues the exchange rate.

トップ1%が2兆ドルから5兆ドルの資産をもっていて、もし彼らが資金を海外にこっそりと持ち出したりしたら、中国の外貨準備を痛めることにさえなるかも知れない。そうなれば、中国の経済管理はひどいことになる。それは、人民元への大きな下方圧力になるのだ。

すくなくとも、中国批判者達は、人民元安について批判することかできなくなるだろう。

ハハ。

さて、この記事に出てきたVictor Shih 氏が少し詳しく説明している動画です。

Victor Shih - The Dangers of Capital Fleeing China


つまり、

1.富裕層のキャピタルフライトはあっても、1兆ドルのような巨額は考えにくい
2.基本的には問題にはならないはずだが、不安定となる要素はあって、
3.メカニズムとしては、
 ①富裕層が中国にある民間銀行の預金を引き出して海外に持ち出す
 ②民間銀行の預金が減るが、融資はほとんど減ることがない
 ③銀行は支払い準備金が不足することになるが、
 ④銀行の準備率が高いので、制度的に引き下げる余裕があり
 ⑤実際に下げ始めている
 ⑥それに、政府が、国債の買い上げを行って、資金を供給している
 ⑦海外への多額の資金流出が発生しても
 ⑧中国には十分な外貨準備があるので余裕がある
 ⑨しかし、持っている外貨準備の大半は、
  多分(海外で発行された)中国の民間銀行やその他の金融機関の株式と
  米国債で、
 ⑩もし、中国が株式や米国債を売るようなことになると、
 ⑪それが元で中国の民間銀行の株式が暴落して
 ⑫中国の外貨準備が傷んでしまうリスクがある
 ⑬だから、中国は外貨準備を全部使うなんてこともできない

とまあ、

中国の当局者はおっかなびっくりで、調整を行わざるをえないのだ、という感じになりますが、

もともと、中国は、人民元を安値誘導するために、中国で得られた外貨は、即座に買い上げて外貨準備として米国債や自国金融機関の株式を買い上げてきてて、結果として米国政府の財政も支えてきた、という経緯があって、

今の問題は、コントロール外の資金流出でそのメカニズムにほころびが生じた、ということですね。
人民元には下落リスクがちょいとありそうですな。

ついでに言えば、

中国の外貨準備が減ってゆくようになると、米国債保有シェアは上がって行かないし、
FRBも米国債の購入をストップしてやばいと思ったら、

日本が円高で大規模介入して、米国債を購入して埋めあわせる、

なんて。

中国が、ユーロ圏を支えます、みたいな大見得も切れましぇン。

中国との米国貿易赤字をどう見るか

2012-02-08 07:02:06 | ロンドンエコノミスト
さて、中国の経済の先行きに心配があるとかないとかは別として、米国の対中貿易赤字について。

あるいは人民元が過小評価されている、とか、いうハナシについて、実態がどうなのか。


米国の対中赤字だけを問題にしないで、多国間でみるべきだ、みたいなハナシは、胡錦濤自身が言ってたような気もしますなあ。

iPadded





AMERICA’S trade deficit with China hit another record last year. Estimated at almost $300 billion, it made up over 40% of America’s total deficit. Yet official data grossly overstate US imports from China.

昨年、米国の対中赤字はまた記録を塗り替えた。3千億ドルと見積もられているが赤字全体の40%。しかし、当局のデータはひどく過大に記録されている。

Take the iPad, which America imports from China even though it is entirely designed and owned by Apple, an American company. iPads are assembled in Chinese factories owned by Foxconn, a Taiwanese firm, largely from parts produced outside China.

iPadは中国から輸入されているが、米国でデザインされ、米国のアップル社のものだ。中国で生産されていても、工場は台湾のFoxconnのものだ。そのパーツも多くは中国の外から輸入されている。

According to a study by the Personal Computing Industry Centre, each iPad sold in America adds $275, the total production cost, to America’s trade deficit with China, yet the value of the actual work performed in China accounts for only $10.

米国で売られるiPadはそのコスト275$が中国との貿易赤字に加算されるが、中国内の作業で加えられる価値は10$に過ぎない。

Using these numbers, The Economist estimates that iPads accounted for around $4 billion of America’s reported trade deficit with China in 2011; but if China’s exports were measured on a value-added basis, the deficit was only $150m.

この数字を使って見積もれば、米国の対中赤字のうち40憶ドルがiPadによるものだが、もし、中国での付加価値ベースで計測すれば、対中赤字はたった1億5千万ドルに過ぎなくなる。


China’s small contribution to total costs suggests that a yuan appreciation would have little impact on its exports. A 20% rise in the yuan would add less than 1% to the import price of an iPad.

中国内の付加価値が小さいということは、人民元を高くしてもほとんど中国の輸出には影響しないということを示唆している。人民元が20%高くなっても、iPadの輸入価格は1%高くなるに過ぎない。

For imports such as clothing and toys the Chinese value added is much higher. But electrical machinery and equipment, with more complex cross-border supply chains, make up one-quarter of China’s exports to America.

衣料や玩具などだと中国の付加価値はずっと高くなるが、国をまたぐ複雑なサプライチェーンををもっている電気機器は、中国の対米輸出の4分の1を占めている。


Pascal Lamy, the head of the World Trade Organisation, has suggested that if trade statistics reflected true domestic content, America’s deficit with China might be more than halved.


もし貿易統計が、本当にその国の国内の生産額に限った内容を反映すれば、米国の対中貿易赤字は半分以下になるかも知れない。

というわけで、

この記事からは、いろんなことが読みとれますな。

米国の貿易赤字は、対中が多い、と言っても、実際には中国が輸入している中国以外の国からの赤字だと考えることもできるわけだし、中国の得ている利益は極めて小さい、とも言えますね。工場さえ、台湾の会社が経営しているので、中国に落ちる利益は労働者への分配分だけなんですな。

最終的に米国が得ている利益が圧倒的に多い、という話もありますな。
その利益はアップルのような多国籍企業の経営者や従業員や株主に分配される。利益は分厚くても製造部門は海外なので、売上規模からみた米国内での付加価値は、その分だけ減っているかもしれないが、それは製造部門の労働者が得たであろう報酬分であって、もともと製造部門でない人達にとっては影響が無い、てか、製造コストが安くなる分プラスの影響があるだけ。

米国国内経済が今一つでも株価が強いのは、何も金融緩和だけの影響じゃない、かもだし、格差拡大問題にも関連してきますね。多国籍企業に対する反感というのは、こういうのが背景にあるんでしょうな。

この記事では触れられてませんが、iPadは全世界で売られているわけですが、恐らく、その数字は米国の輸出として計上されるのではなく、中国からの輸出として計上されるんでしょう。

貿易赤字だけみて米国が弱った、みたいなハナシはしちゃいけないんで。


中国の輸出の勢いは、ゆるくなっているようではあるんですがね。
China's Export Sector Faces Headwinds in the New Year


それにしても、日本の名前は出てきませんなあ。