会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

ジャックウェルチ わが経営

2005-06-05 02:48:34 | ターンアランド
『わが経営』上・下
日経ビジネス人文庫 ジャックウェルチ 

 最近、『わが経営』の文庫本が本屋で平積みに
 なっているのを良く見かけるので、買ってしまいました。

 ハードカバーのころから気にはなっていました。
 日経の『私の履歴書』にもウェルチは書いていて、
 これは読んでましたが、 成功したら、すぐに本を出す、
 それに飛びつく、というのが嫌で敬遠。

 さて、本書を読んで。
 ちょっと読みにくい本です。文意が取れない部分も多く、訳が悪いのか、
 もともとの文が悪いのか。内容的には、

 ①オーディターの役割強化
 
 この問題には軽く触れるだけで、詳しく書かれていません。
 以前紹介した本で、オーディターがコンサル的な動きをして
 経営改善をしてゆく話しがあり、ウェルチ流だと書かれていましたが、
 本書では本当に軽く触れられているだけです。

 ②人事
 
 ウェルチのこだわりの大部分を人事が締めている感じです。
 下位10%を必ずクビにする。これを毎年繰り返すことで、
 組織のレベルが維持されてゆく。これを徹底します。

 ウェルチは人を最優先事項においているようです。
 すなわち、事業は人で決まる。どんなに良い戦略や
 仕組みを用意しても、最後まで責任を持って取り組むリーダーが
 居なければ成績は上がらないからです。
 
 官僚制を廃し、現場のアイディアを取り上げ、実現してゆくことに
 ウェルチは情熱を注ぎます。

 現場主義、人を大切にする、という点では日本的でもあり、
 ダメ社員を容赦なくクビにする点では米国流です。

 有能な人でも失敗することはあると思いますが、それでもクビにするんでしょうか。
 
 ③ウェルチその人

 かなりエグイこともあったようで、
 わかいころ、幹部をしていた事業部のCEOにしてくれと
 何度も上司に電話したり、押しまくっています。
 
 大のゴルフ好き。
 日本の経営者はヒマがあればゴルフばかりしているとかつて
 批判されていましたが、ウェルチはゴルフ狂です。
 社内でもコンペがあるようで、日本の会社みたいです。

 ④その他
 
 CEO選抜方法がすごい。
 ウェルチが決まるときもそうですし、彼の後任を決めるときもそうです。

 厳しく、公正に、何を基準に選ぶかを吟味して、最終的にウェルチが決断しています。
 (勿論、ボードが投票して決めてますが、ウェルチの決断を追認した形です)。
 ウェルチ一人が考えるのではなく、人事担当と一緒に厳しく吟味。何度も面談を繰り返し、
 人の組み合わせ、政治の排除にも配慮します。

 かなり合理的な選抜方法だと思いました。日本の大企業とはかなり違いそうです。

 シックスシグマ

 これもウェルチのこだわりの一つです。
 最初は、社内の支持が得られず、各事業部が、
 研修に最優秀の人を出してきませんでした。

 ウェルチが怒り、ストックオプションもシックスシグマ
 の研修を受けている人だけに絞ったりしています。

 こうしたものに、最初は支持が集まらないのは洋の東西を
 問わないようで。しかし、これを跳ね返したウェルチのリーダーシップ
 は素晴らしいですね。

 シックスシグマについては薄い本を読んだことしかありません。
 もう少し研究したくなりました。

 ⑤もうイッチョ

 米国の一流大企業、がどのような改革を進めたのか。
 企業が再生し、ミドルクラスが没落してゆくという大きな
 流れの中で、どんなことが起きていたのか、という観点から
 読むこともできます。

 たとえば、ウェルチはインドの事業部の社内の位置づけを
 上げたことに言及しています。