会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

ダニエル・エルスバーグ 歴史上の人物でバリバリの現役 ウィキリークス

2012-08-26 08:33:48 | 政治
ベトナム戦争時代の米政府の高官で,
ランド研究所にも居て,ゲーム理論に名を残す大家で,
ハーバードでキッシンジャーに『狂人理論』を講義して,キッシンジャーの後の政策にも間接的な影響を与え,

ベンタゴンベーパーズと呼ばれる最高機密をリークして捕まっちゃって,

と,まあ,歴史上の人物なんですな。
ゲーム理論について講義を受けてて,エルスバーグはそんな感じで説明されてました。


ペンタゴンベーバーズ??

当事者がインタビューを受けてたのを観たことあるような。まさかエルスバーグだったかな,一体いくつやねん,と,ちょいと気になってましたが,


ご本人だったみたいですな。

前回は,ペンタゴンベーバーズそのものについて聞かれてましたが,今回はウィキリークス,アサンジ氏のエクアドルや英国政府の対応について聞かれてます。


Daniel Ellsberg: I Congratulate Ecuador For Standing Up To British Empire To Protect Assange


Daniel Ellsberg: I Congratulate Ecuador for Standing Up to British Empire to Protect Julian Assange


Welcome to Democracy Now! Dan Ellsberg, your response to the latest developments of the decision of Ecuador to grant asylum?

エクアドル政府が,(ウィキリークス アサンジ氏の)亡命を認めたことについてどう思いますか。



DANIEL ELLSBERG: Well, I congratulate Ecuador, of course, for standing up to the British Empire here, for insisting that they are not a British colony, and acting as a sovereign state ought to act. And I think they’ve done the right thing. I appreciate what they’ve done.

そうですね,エクアドルに素晴らしい,と言いたいと思います。自分達は植民地ではないのだと大英帝国に対抗し,主権国家としてなすべきことを行っています。私も彼らは正しいことを行っていると思います。彼らの行動を評価しています。


AMY GOODMAN: And the British government first threatening to raid the Ecuadorean embassy in London, also saying they would arrest Julian Assange if he attempted to leave to go to Ecuador, but also saying they’d actually raid the embassy?

英国政府は最初に,ロンドンのエクアドル大使館を捜索すると脅し,エクアドルに行くためにアサンジ氏が出国しようとする場合,アサンジ氏を逮捕すると言いました。大使館を捜索すると言ったのは本当でしょうか。


DANIEL ELLSBERG: It’s an outrageous proposal, which actually undermines the security of every diplomat in the world, in this country right now. I would say it has a chilling effect right now, the very fact that that possibility has been raised.

ひどいハナシですね。この国に世界からやってきたの全外交官の安全を脅かすものです。そうした可能性が提起されたということで,ぞっとするような影響を与えています。


とまあ,アサンジさんは,英国のエクアドル大使館でかくまわれていて,英国政府はなんとか捕まえたいわけで,大使館に踏み込んだろか,みたいなハナシになってるんですな。エルスバーグは,そういうことを口にしただけで,問題だ,と批判しているわけですが,

こうした,今の今の,生臭いハナシに,こうしたメディアに呼ばれて,ビシバシ発言しているってのがスゴイです。ベトナム戦争時代に,すでに国家最高機密に自由にアクセスできていたレベルだった人が,まだ,現役バリバリの発言をしている,ということが驚きです。

佐藤内閣時代の政府高官が,今の民主党政権を批判する,

と聞けば違和感アリアリなのと対称的です。
米国だと出発点が若いんで,歴史上の人物も結構まだ活躍してたりするんですな。






ポール・ライアン 共和党副大統領候補に ほんまかいな,そうかいな

2012-08-15 01:15:06 | 政治


いや、びっくりしたのなんのって。

ミット・ロムニーが副大統領候補に,共和党下院予算委員長のポールライアンを選んだって。

なんでびっくりか。
そもそも,ポール・ライアンは,あのギングリッジさえも,右派と呼ぶ,つまり,超右派で,

ギングリッッジの失言

ライアンの予算案を『右派のソーシャルエンジニアリング』と呼んだくらいなんですな。

その予算案っていうのは,メディケアをバウチャーシステム切り替えて民営化する,みたいなハナシなんですな。

この共和党予算案ですが,

老人達の反発を呼んで,ニューヨークの補選で,共和党候補が負けちゃった,と言われた位で。

ニューヨーク26区 潮目は変わったか←これにアップしている最後の動画はめちゃ面白いです。

とに角,共和党の極端な右方シストを象徴するような人で,副大統領に選ばれると聞くとちょいと驚いてしまうんですね。全国レベルの選挙に勝つにはマジョリティを取らねばならず,そのためにはセンターライトを狙わねばというのはギングリッジが言ってるんですよね。

だから,ロムニーの戦略としては,共和党候補として選ばれるまでは,我慢して右派におもねっておいて,本選で真ん中よりに戻して,オバマから離れた民主党支持者や,インディペンデントを狙うというのが,選挙戦略だろう,みたいなハナシもあったわけですが,

ここで,逆張の大ばくちに出たって感じですかね。


オバマケアでオバマから離れた老人の支持もこれで期待できなくなり,中絶や移民への姿勢で女性やマイノリティの票も厳しい,となると,こら共和党に勝ち目なしか,と思って,

ネットで,Face the nationとThisweekを久々にちょっとだけのぞいてみたら,

意外に,保守系の論者が勢いづいているんですね。


イデオロギー的に中途半端なロムニーに退屈していたところに,若くてハンサムで,あえて強烈な右路線を主張している,しかも実務にも強く詳細を把握してディベートにめちゃ強い男が,相棒としてやってきた,という感じで,期待感がひしひしと感じられたりして。

これだけ,右過ぎ,と言われ続けているわけですが,ちょいと中道に戻すなんて簡単でしょうし,ロムニーが中道色を出すと,本性が現れたと身内から批判されるだけでしょうが,ライアンなら大丈夫ぽいですな。ロムニーにはロムニーの予算案があるんで,そっちを支持すれば,共和党案には必ずしもこだわる必要もないかもですしね。主張をちとマイルドにするだけで,意外感が出て,支持が増えるかもですな。

いずれにせよ,中道的な副大統領候補を選ぶより,こっちの方が正解だったかも,と二つの番組をながめてみて,直観的に感じましたね。理屈で考えると,ムリムリな感じがするにも関わらずですね。このあたりは,ロムニーのホントにすごいとこ,なのかも。


保守サイドの反応は,そうだとして,ですよ。

もっと意外なことには,

アクセルロッドのようなオバマ陣営のアドバイザー達が,苛立っている感じが画面を通して伝わってくるような気がするんですな。

THISWEEKにアクセルロッドが出てるんですが,いつもよりこころなしか,苛立っている。FaceTheNationに出てるオバマ陣営の女性もナンカ落ち着かない感じです。

なんかあせってる感じがするんですよね。よくわかりませんが。


で,この動画です。

Paul Ryan 'Would Have to Consider' VP Nod


この動画,ことし3月にアップされてて,まだ,共和党でだれが本選にでることになるのかが決まるはるか前のころのハナシですが,


But one commentator who isn't shy about hiding his excitement for a Paul Ryan VP run? Fox's Chris Wallace ― who before interviewing Ryan on Sunday ― stopped by New York Fox affiliate WNYW.

Foxのクリス・ウォレスが,ポールライアンが副大統領候補になると良いんじゃないか,と言ってたというんですな。

"...when I seen him in meetings with President Obama on healthcare, the one guy that Obama won't mess with is Paul Ryan ... He knows you don't mess with Paul Ryan. He knows more about the budget than you do."

ヘルスケアに関するオバマ大統領とのミーティングで,ポール・ライアンを見かけた。オバマがかかわろうとしなかった一人の男,それがポール・ライアンだ。オバマはポール・ライアンと関わらない方が良いってことを知っているのさ。彼は予算について誰よりも詳しいってこと。


つまり,オバマは,ポールライアンに一目を置いていて,議論になるとやっかいだ,ということが良く分かっているということですな。オバマにとってイヤな相手なわけで。

多分,オバマ自身が,この決定に苛立っているんじゃあるまいか,それがアドバイザー達に伝わって,しかも,全く彼が選ばれることを予想できず,準備もしてなかったんであせっている,

と勝手な想像をしているんですけどね。

オバマの政治勘は第一級なんで,本当に苛立っているとしたら,ロムニーの選択はとりあえず成功って感じですかね。

今は,新キャラの登場に沸き立っているだけかも知れないんで,これがどう転がっていくかは追っかけてみないとわかりませんが,


いずれにせよ,退屈で死にそうになっていた大統領選が,これでまた,格段に面白くなることは間違いないですな。




福島 その後

2012-08-14 01:32:52 | 政治
昨日の管さんのハナシもあって,
福島ネタを検索してみると,

ヤッバ、アルジャジーラですなあ。

Fukushima residents report various illnesses



もう何カ月も前の動画ですが,南相馬で,高校の先生の健康被害について報じています。
髪が抜けて,歯が抜けて,・・・。

この方,何者,と思って調べてみると,ネット界ではかなり話題になっていたようで、


インタビューやら,


南相馬市に住む沼内恵美子(ぬまゆ)さんの体調の変化まとめ。

南相馬市の”ぬまゆ”さん「夕焼け寺ちゃん」岩上安身氏1/10(書き出し)



ブログも書いておられます。

ぬまゆのブログ ( その3 )


まあ,お読みいただければ,わかりますが,この件でインタビューを受けた医師が,

『ストレス』でしょう,と言ってて,

インタビュアーもストレスは怖いんで・・・,みたいなリアクションをしているところは,ちょっと笑ってしまいました。

チェリノブイリ事故を総括した科学者の談話で,健康被害原因に関する公式見解である放射線ストレス障害について言及している動画をご紹介したことがありますが,そこで,

『ばか言っちゃいけない,だったら,異常の発生しているカエルや昆虫もストレス障害になるのか』とおっしゃっていたのを思いだしました。


もう,ネタ扱いだったわけですが,

こうして身近に聞かされると,まあ,笑っちゃうわけですが,しばらくしてぞっとしてきたりして。

放射線を浴びたらどうなるか,と聞けば,まず,髪が抜けて歯が落ちて,と子供でも答えると思うんですが,これが,原発事故数キロの住人に発生しても,ストレスだ,とされてしまうってことになると・・・。

しかもその理由が,放射線観測値が低いから,ということになってくると,

公式に放射線が低いとされている地域に住んでいる限り,どんな症状が出ても,ストレス扱いになってしまう,ということを意味しかねないんですな。つまり保障が受けられない。

そして,公式統計にも,ストレス症や,ストレス死として計上されてしまうってことにもなりますね。そして,原発事故で,健康被害なんか一人も出ていない,とか,誰も死んでないじゃないか,という流れになるわけですな。


私個人は,反原発でも,推進派でもないノンポリで,ここでの題材として扱っているだけで,インタビュアーや,医師の方になんの思いも持っていませんが。

多分,教科書にそう書いてあって,その通りに言ってるだけなんでしょうな。





民間企業に原発はまかせられない 菅直人前首相会見

2012-08-13 00:01:28 | 政治
管さんの記者会見です。

去年の3月11日は,敗戦以来の国家的危機,というべきかも知れませんが,
当時の責任者,管さんの記者会見です。

こういうのを短い報道で読まされると,言葉尻を捕えて、自分の責任を転嫁した,みたいにテキトーに書かれたりして全くあてにならないことがあるんで,こういう全量アップされてると,観てみようかという気になりますね。

ストリーミングだと倍速できないのが難点ですがね。

民間企業に原発はまかせられない 菅直人前首相会見


福島原発事故で,東京三千万人が非難する事態にならなくて済んだのは,単にラッキーだった,とおっしゃってます。

そうなっててもおかしく無かった、

ということなんですな。


原発を止めると経済的な損失が大きい,とかいう経済界の意見もあるが,そういうことがわかってて言っているのか疑問だ,ともおっしゃってます。三千万人が逃げ出さざるを得ない事態,職場もろとも東京が失われる事態,その後いくら待っても二度と帰ってこれない,ということがどういうことなのかを踏まえて議論していない。

始まって30分あたりですが,ここはオススメです。

事故に直面して,チェリノブイリの時のように軍を動かして,つまり自衛隊に事故対応のために死地に赴いてくれと命じることができるだろうか,とそこまで考えた。幸い,そういう事態にまで行かなかったけれども,そうなりかねなかった。原発事故は,通常のプラント事故とは違い,しばらく逃げ出しておいておさまるまで待つという対応はできない。

場合によっては自衛隊出動まで検討する必要のあるシビアアキシデントに対応することは民間会社では無理だろう→だから原発部門は国有化が必要,というロジックなんですが,管さんの語り口は動画で聞いてみていただきたいですな。

管さんは終始穏やかに話されてて,イラ管口調は全くナシ。

首相時代にもっと反原発へのくさびを打つことができなかったのか,という質問に対して,

『アンタらがよってたかって辞めさせようとしたんじゃないんですか』

とは言わず,

『もっとやれなかったかというお話ですが,自分としては結構やれたと思ってます』


311のハナシとは別にして,

冒頭,民主党が政権を取った時のことを語られています。

管さん的には,日本は建前上は議院内閣制だが,実際は官僚内閣制になっていて,国会は政府の足を引っ張る場になっている。

与党も,自民党時代のことだが,やはり政府とは一体というよりは,族議員の実力者が仕切っている党が了承したことだけが閣議決定される,という形になっていて,政権と一体という形になっていなかった。

英国は,各議員が政権に組み込まれる形になっているので,民主党もそうするつもりで,鳩山内閣が発足したら,自分は国家戦略担当大臣と,党の政調会長を兼務することになっていた。

そしたら,組閣の前日に,小沢幹事長が,政調会はいらない,ということを鳩山さんに言って,鳩山さんが了承してしまい,民主党議員の大部分は政権にも入らず,党の議論にも参加しない,という宙ぶらりんな状態になって・・・。

小沢さんを,かなりトンデモな感じで見ておられるようですな。

政府をきちんと運営する力量のある改革派政治家というウォルフレン,
金権批判の主流メディア
そして,理念なき権力亡者,という反小沢政治家,例えばここでは管さん。

いろいろな見方があるわけで。


全体的に,重みと,内容を持った,良い会見だったと思います。


重慶事件の行方は? 薄さんはどうなる

2012-08-12 18:48:32 | ロンドンエコノミスト

今年は政権交代ラッシュで,米国はもちろん,フランス大統領選があったし,韓国,台湾,他にも選挙日程が目白押しで・・・。

中国も政権移行が行われるんですが,あれやこれやで,重慶でえらいことになってたんでした。


中国の権力闘争

で,その後どうなったのか,について,動きがあったようで。

China's Gu is said to have confessed to killing business partner


奥さんの公判が行われて,どうも奥さんは英国人の殺人を認めている,ということのようですな。薄さんが捕まった時には,奥さんの英国人殺害事件に絡んで云々との指摘はありましたが,その通りだった,ということなんでしょうか。


Going quietly

Xinhua, an official news agency, had already declared “irrefutable” the evidence against Ms Gu and an employee of her household, Zhang Xiaojun, in the murder last November of Neil Heywood, a British businessman.

殺害に関して動かし難い証拠がある,と政府系報道機関が発表。

Analysts expect that this mitigating motive might help her avoid an immediate death penalty. Instead, she might receive a “suspended” death sentence and be locked away.

息子のためにやったという奥さんの殺害動機が,即時執行ではなく、執行猶予付きの死刑と身柄の拘束にとどめるとの予測がある。

The question then becomes what to do with Mr Bo. Some think that, having already seen his lofty political ambitions snuffed out he might get off relatively lightly, with only political punishment.

じゃあ,薄さん自身の方はどうなるのという疑問には,すでに彼の大きな政治野心はくじけているいることから,政治的な処罰という軽い負担だけでこの問題から逃れられると考える向きもある。

Party leaders have a good motive for containing the case against Mr Bo: they do not want to highlight the wealth amassed by his family. Many of them have rich friends and relatives of their own. This may explain why Ms Gu faces prosecution for murder but not, as yet, for economic crimes.

共産党の幹部たちにとって,薄氏事件を封じ込めることには十分な理由がある。薄一族による富の蓄積について焦点を当てたくは無いのだ。彼らも自身に金持ちの友人や一族が居るからである。このことは,奥さんが殺人についての罪に問われているが,経済犯罪については未だ告発されていないことの理由かも。

Yet Mr Bo does not seem the type to go gently into the night. Xi Jinping, like him the son of a revolutionary hero, is to take the reins of power in a once-in-a-decade leadership transition later this year. He might want to make sure Mr Bo’s political career really is over. Expulsion from the party followed by a criminal sentence would do the trick. For perverting the course of justice, perhaps? That would be another open-and-shut case.


薄氏は,だまって引き下がるタイプではなさそうで,習近平は薄氏の政治生命が完全に断たれることを望んでいるかも知れない。党からの除籍と,有罪判決はそれを実現させるだろう。罪状は司法妨害ってところか? そうなるとしたら,これまた簡単解決事件ということになる。


というわけで,この事件は,単なる派閥争い次元の問題ではなく,改革開放 vs 毛沢東路線,という政治的な路線対立をはらみ,また,権威主義 vs ポピュリズム,中国統治手法の問題でもあった、と思えたわけですが,

重慶NO.2の米大使館駆け込みという『世界が注目』という事態を経て,

結局,殺人事件とそれをかばおうとした夫,

みたいなことで終わるってことですかね。


いや,それにしても,こうして中国の権力争いがこうして事細かに分析付きで報じられてて、それが簡単に手に入るなんて,世の中変わりましたな。


温家宝首相 









英エコノミストは予測する

2012-08-11 10:41:11 | ロンドンエコノミスト
エコノミストが2050年を予測する,と銘打って出ている本で,翌年を予測する毎年出ているよやつより本格的に取り組まれているみたいですね。

ゆったり読んでるヒマはなさそうなんで,迷いましたが,誘惑に勝てずに買ってしまいました。

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
クリエーター情報なし
文藝春秋


テーマ毎に過去のトレンドについて解説があり,その分析,論点や,今後の可能性,なんかを踏まえて,2050年を予想するって感じですね。

エコノミストは,こういう特集と,週刊の紙面,しかもその毎号が,常に一貫した視点で書かれているとこがスゴイんですが,こうやって突っ込んだ,しかも何十年も先を予測するという大胆な試みは,各テーマの視点について包括的に説明してくれることでもあるんですな。

しょっぱな人口予測から入ってるトコも,なんかスゴイっす。

他の雑誌ならそんなジミテーマから入らず,怖がらせたり,あっと驚くような,目を引くテーマ,を持ってきますよね。しかし,国力,政治,経済,全てに効いてきて,しかもかなり正確に予測が可能な人口問題から入るのが,長期予測では正解なんでしょう。

中国のすぐそばまできている人口オーナス問題,逆に増え続けるインド,日本,ロシアはかなりヤバイこと,なんかは繰り返し触れられてきた問題ですが,簡潔な説明があり,

今後も人口が増加するが,その速度は緩やかになること,人口増の半分は,アフリカで生じること,

フランスの人口が,ドイツを上回りそうであること。ナヌ,ほんまデッカイな。


って感じですが,


各テーマごとに読み応えがありそうです。





国際経済秩序の発展 アーサー・ルイス

2012-08-05 00:40:25 | マクロ経済
経済学を勉強していて悩まされるのは,数学と,英語。
数学はここでも書いてきましたが,実は英語も大変。

論文も有名なヤツ以外は翻訳が無いんで,原典にあたろうとすると英語になってしまう。

と,言いながら,翻訳があっても,問題があって,

翻訳の質ってやつですね。

こないだは,ケインズの一般理論の山形訳がいかに読みやすいか,旧訳がいかに問題が多いか,についてここでも比べてみたわけですが,

それどこじゃねえってヤツを発見。

国際経済秩序の発展

アーサー・ルイスの講義録。

開発経済学の巨匠,って感じの人で,ノーベル賞ももらっているんですが,本書を読んでいると,第二章冒頭で、こんな風に書かれてて,

国際経済秩序の発展
クリエーター情報なし
文化書房博文社


『世界はどのようにして,工業国家群と農業国家群に分かれるようになったのであろうか。これは、地理的資源,経済力,軍事力,ある国際的陰謀,その他に起因している』

ナヌッ? 国際的陰謀?

三流評論家ならいざしらず,一流経済学者がんなこと言うかな?

というわけで,原文をあたってみると,

How did the world come to be divided into industrial countries and agricultural countries? Did this result from geographical resources,economic forces,military forces,some international conspiracy ,or what?

ギョヘーッ。

一文目は,良いとして,二文目は疑問文やがな。
しかも,『ある』国際的陰謀,では無くて,someがついているんで,なんらかの,的な訳が妥当なとこじゃないでしょうか。

国際的陰謀,は一番最後にジョークとして持ってきてるんで,多分ここ,笑うトコなんじゃないですかね。この後に,一連の説明が続いて,人口移動なんかの,有名な二重経済論の主題に移っていくわけで,国際的陰謀は文脈的にも関係なし。そもそも,ここでは,俗説として例をあげているだけで,ルイス自身が無限定に肯定しているわけじゃない。

実は、第一章からしてメタメタで,

『元来,国際経済秩序という概念は,漠然としている。従って,ここではそれをできるだけ正確に定義してみたい』

とあるんですが,その後,一切定義が出てこず,変だな,と思って原文をあたってみると,

The phrase "international economic order" is vague,but nothing would be gained by trying to define it precisely. What I am trying to do is to talk about certain element of the relationship between the developing and developed countries which・・・.

ってなってて,

国際経済秩序という概念は漠然としているが,正確に定義しようとしても得られるものはなかろう。

くらいに訳すのが多分正しいはず。

ウーン・・・。

これは誤訳とかいう段階を超えているような・・・。

後半に入ると,日本語として意味も取れない箇所が増えて,もう読み物とも言えず・・・。

これだと,翻訳版を読んでも,読んだことにならないんで,
つらいけど,あきらめて原文で読むしかないですね。


それにしても,こんなん商品として売ってて良いんかな。