会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

ドイツ 脱原発政策を発表

2011-05-31 02:30:12 | 政治

いや、全く、メルケルさんの指導力、政治力、政治勘には、しびれます。

Germany pledges nuclear shutdown by 2022


マラソン討議をやって、原発を2022年までに全て廃棄することに決めたんだそうですな。

In Reversal, Germany to Close Nuclear Plants by 2022

BERLIN ― The German government agreed on Monday to phase out all nuclear power by 2022, a sharp reversal by Chancellor Angela Merkel aimed at appeasing the country’s intensified antinuclear movement. The announcement came after marathon talks held at the chancellery on a new report by the Ethics Commission for Security Energy that recommended closing all 17 of the country’s nuclear plants.

激しくなっている反原発運動に応えたもの。エネルギー保障に関する倫理委員会の、17基ある全ての原発を停止するよう提言するレポートに基づくマラソン討議を経て、発表された。


この変わり身の早さ、徹底さ、そして、それを引っ張ってゆけるだけの指導力。指導力ってのは、こういうのを指すんでしょう。

もともと原発推進策をとっていて、古い原発の期限延長を去年決めたとこなんですな。

これが、福島の事故を受けて、反対運動が盛り上がり、地方選挙で原発が争点になって、保守の強い地盤で負けるに及んで、こらヤバイ、と、今回の発表になった、というトコですかね。

まあ、これはメルケルさんの一つの賭けでもあって、産業界の反発やら、有権者の支持が得られるのか、とか、いろいろ問題は出てくるってか、もうで出るみたいですが。野党も手放しで賛成しているようではなさそうです。

そうは言っても、議論に議論を重ねて、こういう決断、発表に至ったわけで、これこそ政治って感じがするんですね。

首相が『こうする』と発表して、他の閣僚が、『わたしゃ聞いてませんよ』、みたいなのは問題外って感じです。

管さんが勝手に発表する、と批判しても良いんですが、じゃあ、日本で、大胆な政策転換を関係者と議論して、まともな結論が出るんだろうかって疑問もあるんですな。なんか検討しようとすると、反対する人達が山ほど押し寄せてきて、あることないこと、恫喝されてつぶされたりして。

専門家も平気でウソとは言わないまでも、テキトーなことを言うことが良くわかりましたね。反対する根拠なんて、いくらでも捏造されるんでしょう。

ってか、まともな議論なんて、そもそもしてなかったりして。


ああ、ドイツがうらやましい。












お笑い東電 海水注入

2011-05-28 13:46:44 | 政治
いやあ、海水注入を中断したの、してないの、変なニュースがさんざん流されているようですが、結局、海水の注入は中断していないとかで。

【原発】注水問題-東電「注水は継続していた」と新たな発表 5月26日


じゃあ、良かったんじゃないの。

こういう問題をもてあそんでいる場合ではありませんね。この危機のど真ん中に居て、このノンビリ具合に、ちょっと心配になるんですけどね。

思い出すのは、クリムゾンタイドという潜水艦映画なんですな。
艦長のジーンハックマンと、副長のデンゼルワシントンが対立して、副長は艦長を解任してしまう。

これが、その解任のシーンなんですが、この映画の最大の見せ場の一つです。

Crimson Tide: Denzel Washington vs Gene Hackman


この緊迫感、うまい掛け合い、潔く去ってゆく艦長。名演技です。

要するに、艦に届いた先制核攻撃命令が、どうも変更されたんじゃないか、と副長が疑ってて確認をとる必要があると判断、艦長にそう進言するんですが、そんなことやってるヒマは無い、アホかと一喝。副長は従わず、副長権限で艦長を解任してしまう、ということなんですな。


間違いかもしれない命令を受けた時、
その命令を実行した場合に、とんでもないことになるかも知れない場合、

その命令に従うべきなのかどうか、

という問題です。

米国の海軍の規則では、副長は、艦長を解任できることになっているんですね。

映画では、結局、副長が正しかったことが判明して、めでたしめでたし、ということになるんですが。


で、東電の場合は、もっと問題は簡単ですな。

明らかに間違いと判明している命令を受けた時、
その命令を実行した場合に、とんでもないことが発生することも明確な場合、

その命令に従うべきかどうか。

よほどのアホで無い限り、従ったりはしないでしょうな。



ちょいと前に、ヒューストンの危機対応 アボロ13についておふざけ半分で書いたハナシが、かなり、そのままの形で進行していたようで、

原発現場では、決死の状況で既に大事故を覚悟していて、本社にもそう報告しているところで、

東電の東京本部では、原発の一所長の報告だけで、会社を危機に追い込んでいいかどうか逡巡、一体何が起こっているんだ、もっと情報を集めろということになって右往左往。

福島第一と東京の距離は、月よりも遠い。
責任・責任・責任、で、事故対応より保身の優先順位が高くなってます。



全く、腹が立つというより悲しくなります。

もし、現場の所長が、東京に居る人達と同じような低レベルであって、
そのまま言われた通り海水注入を中断し、
それが原因でメルトダウンやら、水素爆発やらが発生してしまったのだ、としたら、

我々としては悔やんでも悔やみきれない事態なんで。

そうではなくて、注水を続けていても、こうなってしまった、という方が、ひどい状況は変わらないにせよ、まだ救いがあります。


現場にマトモな人が居てくれて良かった。
神様が居るんなら、御礼を言います。

どうもありがとうございました。

節電は必要なのか 上杉隆

2011-05-26 07:49:21 | 政治

先日、広瀬隆さんが、ニュースの深層というケーブルチャネルの番組に、出ている動画をご紹介したんですな。

欠陥原発その2 広瀬隆氏インタビュー 

東電を批判するようなことは大っぴらにできない、と聞いてましたが、こういうメディアでハデにやってるじゃないか、原発問題で時代は変わっているんだと思ったら、

実はこの後で、葉 千栄さんは番組から降ろされかけたんだそうで。
民主党での勉強会で上杉隆さんが訴えておられます。いろんなハナシをされているので、リンク先の動画をご覧ください。

まあそれは、良いとして(良くありませんが)、地震直後の計画停電事件や、今行われている節電運動についてなんですな。

電力不足で節電だと言われて、ちょっと待てと言いたくなりますね。

広瀬隆さんによれば、

原発は止めても全く問題ないんです、
電力は足りているんです。
停止している火力発電所を稼働させれば十分に賄えるんです

グル、大前研一さんによれば、

節電なんて関係ない。
問題はピーク電力消費であって、ピークの電力を落とすことを考えるべき。
つまり真夏のお昼。
甲子園の高校野球のテレビ放送を止めればいい。

とか言うハナシを聞いていると、なんで3月の朝に電車を止める必要があったんだ、とか、一律15%の節電ってどういうことなんだ、とどうもずっと引っ掛かっていたんですね。

これを見るととてもすっきりします。さっきの動画の一部を切り出したバージョンです。

上杉隆が指摘する計画停電の実態


結論として、上杉さんは、『嫌がらせとして』、民鉄に朝のラッシュアワーの間引き運転を要請した、東電をつぶすと大変なことになるということを思い知らせるために、本来は不要だったにも関わらず、とかで。

火力発電所が立ち上がってゆくので、真夏の節電も実は必要無い、とも。

間引き運転・計画停電の際には、東電の段取の悪さが批判されてましたが、実は、そういう問題じゃなくて、そもそも必要が無かったという点が問題だということなんですな。

段取が混乱したのは、もともと必要無い施策なので、いざ実施となると、停電のリスクや反発を恐れて、あれこれ方針がふらついた、ということなのかも知れませんな。

どこまでホントかどうかは別として、腹が立つというよりは、悲しくなるハナシって感じです。



フィリピン セブにて4 躍進するアウトソースビジネス

2011-05-24 00:40:24 | マクロ経済
原発問題は、あまりにトンデモなことが多すぎて、ずっとこの話題で書いていたいんですが、ちょいとフィリピンのことも忘れないうちに。

もう少し、貧困や、労働分配率が低いことについて掘り下げたいところですが、経済について調べてたら、こんな動画が。


Re Tyre Ing in the Philippines.wmv


この番組でインタビューを受けているのは米国人実業家で、もともとフロリダのプライスウォーターハウスでコンサルタントをしていた人で、そこを辞めて、マーケティング会社を経営、その後、フィリピンに移住して別のビジネスをやってるんだそうです。

一目ぼれでフィリピーナと結婚して、子供が二人。一体おいくつなんでしょうか。

で、前半の話題は、独立してフロリダで会社をやってるときのことなんですが、
コールセンターを米国で運営するのに物凄くコストがかかるんで、アウトソースを考えた。
インドにしようかと思ったが、評判がいま一つ。
で、フィリピンがいいかも知れないと思い、さっそく訪問。

いくつかのエージェントを回ったが、とってもグーで、結局フィリピンの会社と契約して6割のコスト削減。

フィリピン人は有能で、教育をしてスコアを比べてみると、同じ条件の米国人と比べても高かった。アクセントはちょっとスペイン風かと気になる感じもあるが、問題ない。

米国人の場合は、個人主義が強すぎてあれこれ言われるのを嫌うが、フィリピン人はそうじゃない。よく仲間同士でも話し合うし、とても扱いやすい。

とかいうことなんですな。

フィリピンで、コールセンターかいな、というわけですが、実は、

Economy of the Philippines

According to an IBM Global Location Trends Annual Report, as of December 2010 the Philippines has overtaken India as the world leader in business support functions such as shares services and business process outsourcing.[28][29] The majority of the top ten BPO firms of the United States operate in the Philippines. Total jobs in the industry grew to 100,000 and total revenues are placed at $960 million for 2005. BPO facilities are mainly in Metro Manila and Cebu City although other regional areas such as Baguio City, Bacolod City, Cagayan de Oro, Tacloban City, Clark (Angeles City), Dagupan City, Davao City, Dumaguete City, Lipa City, Iloilo City and Legazpi City are now being promoted and developed for offshore operations.

2010年の12月に、シェアサービスや、ビジネスプロセスアウトソーシング等のビジネスサポート分野で、フィリピンはインドを抜いて世界一になった。米国のトップ10のBPO企業の大多数はフィリピンでオペレーションをしている。フィリピンでのこの業界の雇用は10万人にまで成長。2005年に売上は9憶6千万ドルに。地域としてはメトロマニラやセブシティだが、他の地域も開発中。

ということなんですな。

インドについては良く聞きますが、実は、去年、フィリピンがインドを抜いて世界一になっていた、ってことで。


うーん、街を歩いているとグデーっとしたおっさんばっかりで、絶望的な気分になるんですが、こういう躍進している面もあるんですね。まあ、10万人というのは、フィリピン全体からすると規模として大きいとは言えませんがね。


フィリピンはチョー貧乏で何もかもままならぬのかと思えば、こうした面もあって、幅や奥行きを感じるんですね。

チェルノブイリ 100万人死亡調査  トンデモ系文化人

2011-05-22 06:43:51 | 政治
前回、チェルノブイリの死亡数が、50人なんてあり得ない、というハナシや、低レベルの放射線は怖くないわけがない、と書いたんでした。

死亡者数については見積もりに幅があって、ほとんどないとするものや、100万人だ、と言ってるものもある、とWIKIにも出てたんでした。

で、この百万人死亡説についてもう少し調べてみると、元ネタは本書のようです。

Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment (Annals of the New York Academy of Sciences)
クリエーター情報なし
Wiley-Blackwell


これは、その辺のひだり系活動家が書いたものではなくて、New York Academy of Sciencesが出したものです。

ニューヨーク大学の学長がトップを務める全米で3番目に古いアカデミーNPOで、

Since its beginnings, Academy membership has included prominent leaders in the sciences, business, academia and government, including Presidents Thomas Jefferson and James Monroe, Alexander Graham Bell, Thomas Edison, Louis Pasteur, Charles Darwin, Margaret Mead, and Albert Einstein. In 2007, members included an unprecedented number of Nobel Laureates (23) on its advisory President’s Council alone) and other luminaries from all walks of life.

大統領のジェファーソンや、ベル、エジソン、アインシャタインなんかもメンバーだったんですな。今も多数のノーベル賞受賞者をトッフの諮問委員として抱えている。

Academy accomplishments include many historic “firsts,” such as publication of the first studies on environmental pollution (1876); the first conference on antibiotics (1946); a groundbreaking gathering on the cardiovascular effects of smoking (1960); and the world’s first major conferences on AIDS (1983) and SARS (2003).

歴史的な世界初も数多く成し遂げていて、環境汚染について1876年に研究発表、1946年に抗生剤の危険について会議、1960年にたばこの心臓血管に及ぼす影響についての画期的な集会、1983年に世界で最初大規模に開かれたエイズに関する会議、2003年にはサーズ問題で。

要するに、科学的な知見を集めて、世界に先駆けて警告なり提言なりをしてきた歴史ある学術団体、ということになりますかね。

そこが、チェルノブイリの被害を改めて調査した結果、従来の被害見積もりは小さすぎて、実際には100万人死んだとしているわけで。

で、著者達のインタビュー動画がありまして、

Chernobyl - The Real Story


まあ、ポイントとしては、

IAEAや、WHOの死者4000人との被害見積もりは小さすぎる。実際には100万人弱だ。
 (50人しか死んでないと言った田原氏はこのIAEAの公式見解さえ無視していることになりますな)

そもそも、IAEAとWHOは相互の了解が無いと原子力に関する見解を発表できない協定を結んでいてWHOは正しい調査報告ができなくなっている。IAEAは原発推進のための組織なのだから、WHOはこの協定を廃棄しなさい。

IAEAの公式見解は、実際の被害地域であるロシア、ウクライナ、ベラルーシで報告された学術論文を全く無視しており実態を反映していない。都合の良いデータだけを選んで使っている。

実際の被害は甚大で、発生する病気も多岐にわたる。
(甲状せんがんだけではなくて)、心臓血管がいかれたり・・・。

特にひどいのはベラルーシで、健康な子供が全体の2割しかいない。

放射線恐怖症で、心配し過ぎて病気になったという説明をIAEAはしているが、じゃあ、カエルも恐怖症になるのか。野生動物も病気になっている。貧困で早死にしたというが、他の貧困地域と比較しても被害が発生しているのはなぜか。

(公式見解で、放射線恐怖症で病気になって早死にするとまじめに説明しているらしいんですが、常識に反しますな。そういう被害者の主観をベースにした反証ができそうもない非科学的仮説を持ってきている時点で眉唾でしょう。日本でもこれを口にする専門家がいたら信用できないと思った方が良いんじゃないでしょうか。フェアじゃないし、誠実さに欠けます)。

低レベルの放射線は、繰り返し浴びることによって、脳にも影響を与え、学習する力が衰えてしまう。
スエーデンでは、高レベルでは無い放射性物質が降り注いだだけの地域でも、学術習得の力が衰えたという調査結果が報告されている。

こうした原発事故の影響は、極めて長期にわたって続いてゆき、

ドイツでは、未だに野生動物をハンターがしとめても放射性物質に汚染されていて食べられないことがある。しとめたハンターに、放射線濃度を測らせて、食べられない場合は政府が保証する制度がある。

イギリスのスコットランドでは、ついこないだまで、羊の移動を禁止。イングランドではいまだに解除されていない地域がある。

と、いうような具合で、もしこうしたことが事実なのであれば、我々も相応の健康被害を覚悟せねばならない、というコトになりますね。たとえば甲状せんがんだけではなくて、いろんな病気の発生率が今後高まってくる。子供の学力が低下する可能性も考慮に入れねばならないでしょう。これから生まれてくる子供への影響もあるんでしょうな。

微量でも影響があるのであれば、問題は福島だけにとどまらないかもしれませんがね。

広瀬さんが、学童疎開をいますぐにさせろ、と民主党の勉強会で主張されていますが、こうした低レベルの放射線の影響を踏まえてのコトでしょう。


それにしても勝間さんの朝ナマでの発言はひどい、と思っていたら、公式に謝罪されていたようです。

原発事故に関する宣伝責任へのお詫びと、東京電力及び国への公開提案の開示

ただ、良く読んでみると、

真っ先に反省をさせていただきたいことは、みなさんにご不安、ご心配をおかけしている事に対するお詫びです。私が、事故後のコメントにおいて、過去のデータや科学的根拠ばかりを強調したあまり、多くの方々が感じている将来への不安や精神的なダメージやに対する配慮を欠くコメントをしてしまったこと、また、不愉快と思われる発言を行ったことについて、重ねて深くお詫び申し上げます。

これまで、単なる事実としてのデータの積み上げだけではなく、その事故を受けたときに健康被害が出る可能性や、風評被害が出る可能性、あるいは精神的なショック全体における心理的なダメージを十分に推し量ることができなかったと感じ、反省をしております。人によって感受性の違いがある、なしではなく、「そう感じている人が多く、不安になっている」という事実こそが、過去データよりも重要であり、その点を十分に理解できておりませんでした。


発言内容そのものは、過去データや科学的根拠に基づくものであり、間違っていなかった、とも読めますな、ってかそう書いてある。不安や精神的なダメージに対する配慮を欠いて、単なる事実としてのデータを積み上げた点を反省すると。

彼女は、ベラルーシの子供達とその母親の前でも、放射線なんて怖くないんですよ、過去のデータの積み上げではそうなってるんです、と言えるんでしょうか。

自分にとってその方が得だと思ったら、ホントに言っちゃいそうで怖いですな。

それとも、放射線で脳が侵されてくるんで、そのうち怖いものも怖くなくなるってことを言いたかったんだったりして←アホか。


さて、本書ですが、アマゾンで買わなくても、なんと太っ腹、無料でPDF版が配布されています。私も早速ダウンロードしてKindleに入れましたが、ちょい長いです。

Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment, pdf

この動画に出てくるおばさんは、本書を編集・原文を英訳した学者の方ですが、ジャネット・シェルマンで検索すると山のように出てきます。

これより長いインタビューで日本語字幕もついた動画について説明したものが、あちこちで引用されているようです。

より簡潔で包括的だと思ったんで、ここでは短い方を貼っときました。

チェルノブイリの健康被害 トンデモ系文化人

2011-05-20 04:46:40 | 政治
朝生で、放射線の脅威が誇張され過ぎている、だの、
チェルノブイリで、死者が50人しか居なかった、だの

ギョッとするような発言がなされていて、その場の誰も否定していないのは、もう、メタメタって感じですな。
50人しか死んでいないというのは、チェルノブイリ原発の処理にあたった作業員さんたちのうち、『ただちに』死んでしまった人達のことを指しているんじゃないでしょうか。

枝野官房長官が、記者会見で、『ただちに』問題のあるレベルではありません、と何度も説明されてましたが、実はこの『ただちに』が問題なんであって、

何十年も先のことは知りませんよ、ということを含意しているんですな。

前回、チェルノブイリに起因する乳がんが、日本でも増えた、とどっかで読んだと書きましたが、元ネタは本書のようです。

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)
クリエーター情報なし
筑摩書房


私は直接本書を読んでいません。

要約が、ここに出ているのでご紹介。

低線量内部被曝について 議論が盛り上がっています

4)秋田観測所でセシウム137の降下量が著明に増加しているのは1986年だけである。原子力発電所運転管理年報によれば、この年には国内の原発にはどこも大きな事故の報告はなく、県別乳癌死者数分布図(図9、略)から推定して、1986年のチェルノブイリ原発事故から放出された放射性物質が死の灰の雲となって日本の東北部に濃厚に降下したものと考えられる。
 
 5)2の東北四県と茨城、新潟両県の乳癌死亡の異様な増加は3-cの1986年、秋田観測所が観測したセシウム137の異常増加のちょうど10~12年後に起こっている。これは1996年~1998年にセシウム137をふくむ空気、飲料水を摂取した上記六県の女性が、乳癌を発病して死亡するまでの平均時間に一致している。当該県民の医療知識水準と医療機関の状況からみて、乳癌死亡の高騰とセシウム137の大量降下の間にきわめて高い相関があるものと推定される。

 6)もちろん、これだけのデータだけで上記六県の乳癌死亡増加の原因がチェルノブイリ原発からの放射線であると断定することはできないが、しかし、かなり広範な地域に大量の死者を出す原因は、地理的な関係から大気汚染以外に考えられず、欧州各国の大量の乳児に甲状腺癌を発生させたチェルノブイリの死の灰の存在を有力な犯人と推定せざるを得ない。



もっと詳しくは、こちらのサイトがいいですな。

(1.3) チェルノブイリ事故の影響

ここで指摘されているポイントとしては、

日本の女性の乳がん死亡者数が米国に比較しても異様に高いことは、日本の狭い国土に原発が密集していることと関係があるかもしれないこと。チェルノブイリのような大きな事故が発生していなくても、微量の放射線による影響が疑われていること。

チェルノブイリ事故の影響が疑われるのは、

チェルノブイリ事故による放射性物質がより多く降下したと思われる東北地域で、
数年間という特定の期間に、大幅に乳がん死亡率が上昇、
その後低下したという事実による。

あたりでしょうかね。

チェルノブイリからはるかかなた日本でもこれだけの影響が表れている可能性があるのに、お近くの住民ならば、はるかに大きな被害が生じていると考えるべきでしょうな。


Wikiに健康被害についてまとめた項目があるんですが、

Assessing the disaster's effects on human health

かなりの幅ばありますほ。ほとんど無いとするものから100万人近くとするものまで。

田原さんが50人しか死んでいないと発言していることや、勝間さんが、チェルノブイリ事故での被害はイロイロ調べても『クリアに見えて来ない』、などと言ってますが、

もっもと保守的、というか、もっもと小さく見積もった被害に基づいた発言です。

証明は難しいが、あったかも知れない、常識的にはあったとみなしておかねばならないような被害については無視ないし知らない。

交通事故だって毎年何千人も亡くなるし、自殺で3万人も死んでるんだから、乳がんで死ぬ女性が何千人か増えたって、子供が甲状せんがんで死んだって、死産がどんだけ増えたって関係ない、という議論も当然あるでしょうな。

そういう議論をそのまま展開するのであれば、是非はともかく議論としてはありえますが、あたかも放射線の危険が大したことがないかのような、数々の指摘されている危険性を全く無視した議論というのは、ありえない感じです。

青木さんに、『確たる信念も知識も持たず、電力会社からお金をもらって』魂を売った文化人と指摘されて当然ですね。



まあ、トンデモ系文化人ってとこですな。青木さんのように、『たたきつぶせ』とまでは思いませんが、信用してはいけないし、ご意見を拝聴するにせよ『詐欺師の話術』を観賞する的に味わう程度にしておくべきなんでしょう。


朝生 原発 勝間和代氏発言他ハイライト #asamadetv



スリーマイルの健康被害

2011-05-18 01:41:00 | 生活

The China Syndrome (1979) Meltdown


スリーマイルアイランドの原発事故での、健康被害がどの程度だったのか。公式にはほとんど被害は認められていない、なんてハナシもきいたことがあるんですが、

US nuclear industry powers back into life

Government officials say there was no effect on the health of local people from the Three Mile accident. The courts agreed: a class action lawsuit brought on behalf of 2,000 people was dismissed in 1996.

政府当局者は、スリーマイル事故は、地元民への健康にはなんら影響は無かったと言っている。法廷も同意していて、2000人からなるクラスアクション訴訟は96年に退けられた。

But doubts remain. Recent data from the Radiation and Public Health Project, a non-profit organisation, suggests otherwise.

しかし、疑問も残っている。NGOの最近の調査では、異なった結果を示している。

The group claims infant mortality in the local area increased by 47% in the two years after the accident.

その地域の乳児の死亡率は事故から2年後47%増加。

It also says that, 25 years on, cancer-related deaths among children under 10 are 30% higher than the national average.

さらに、25年間、10歳以下の子供の癌関連死は他地域の平均より30%高い。

WiKiものぞいとくと

Three Mile Island accident

初期のころの調査ではよくわからなかったようで、事故の結果死んだのは1人か2人程度だろうという結論だったようです。公式見解はこの辺で止まってるんでしょうな。

しかし、さっきのGuardianの記事と同じNGOの調査のことを説明しているんだとおもいますが、以下。

The Radiation and Public Health Project cited calculations by Joseph Mangano―who has authored 19 medical journal articles and a book on Low Level Radiation and Immune Disease―that reported a spike in infant mortality in the downwind communities two years after the accident.[42][65]

風下のコミュニティで2年後に乳児死亡率が急上昇。

Anecdotal evidence also records effects on the region's wildlife.[42] For example, according to one anti-nuclear activist, Harvey Wasserman, the fallout caused "a plague of death and disease among the area's wild animals and farm livestock", including a sharp fall in the reproductive rate of the region's horses and cows, reflected in statistics from Pennsylvania's Department of Agriculture, though the Department denies a link with TMI.[66]

野生動物にも影響があった。事故で、地域の野生動物や家畜が死亡したり病気になったりした。馬や牛の生殖率が激しく減退。これはペンシルバニアの農務省の調査によるが、農務省はスリーマイル事故との関連を否定している。

詳しくは、原典もリンクされてますが有料記事なんですな。どなたかプロの方お調べくだされ。

スリーマイルではほとんど誰も死んでいないとか、そういうことは軽々しく結論できないし、多分それは間違っているんでしょうな。こういう問題で、公式見解にどの程度信頼性があるのか、というハナシでもあります。

ましてや福島の事故はスリーマイルより深刻なのだから、ずっと真剣に考えておく必要がありますね。


前回観た88年の朝生では、前半のまじめな議論に比べて、後半の文化人・学者の議論が聴くに堪えない、と書きましたが、広瀬さんのようなまじめな指摘や議論をきちんと取り上げて社会の中で、集約していく、というプロセスを我々は持っていないってことなんでしょうな。

そういうの、誰の仕事なのか。真偽・軽重を判定して妥当なところに意見をまとめてゆく。こういうことこ文化人・学者の役割だと思いますが、テレビという最重要の舞台で何やっとんねんってとこでしょうな。



今もアンマシ変わってない、と言うコトなんですかね。

それにしても、チェルノブイリで50人しか死んでないなんて、本気で信じてるんですかね。まず、常識的にありえない数字のような気がしますが。そもそも、ソ連時代のハナシなんですけど、まともな調査が行われたんでしょうか。

きちんと調べてないんで、エラそうなことは言えませんが、

わたしゃ、どっかで、日本の乳がん死亡率さえも、当時、統計的に増えていた、という話を読んだことがあるんですな。もしそれが正しければ、日本だけでも、そんくらいの数字は行くでしょう。

もし、あの大事故で、本当に50人ほどが死亡するだけの健康被害しか無かったんだったしたら、世界中が福島でこんなに大騒ぎするかっての。

広瀬隆 佐々木蔵之介

2011-05-16 02:26:17 | 政治


この、やさおとこは誰か。

佐々木蔵之介???

ちゃいまんがな。

広瀬隆でんがな。
ただの小言じじいかと思っていたら、若いころの広瀬さんは、こんな顔をされていたんでした。

で、昔の動画を探してみると、アップされてます。

朝まで生テレビ!「原発」第1弾! No.01 1988-7-29 広瀬 隆


88年の朝生で、田丸さんが司会してたり、田原さんの髪が黒々としてたりで、まあ、大昔って感じですな。
チェルノブイリが86年なんで、まだまだ生々しく感じられていたころです。ソ連崩壊前で、日本はバブル真っ盛りの時代。

テーマは、原発なんですな。あまりに面白いんで、最後まで観てしまいました。
前半が広瀬さんや技術者のメンバーによる、どっちかといえば技術論。後半はメンバーが入れ替わって文化人の技術文明論にシフトするんですが、後半の議論は古色蒼然としてて、今では聞くに堪えない感じです。

前半は、これまた内容にびっくりします。

なぜか。これ、四半世紀前の議論なわけです。ちっとも古い感じがしない。

使用済み燃料をどうする。ガラス化する技術は確立されていない。生データを出せ。事故が頻発している。
六ヶ所村がまだ計画段階だ、というのでかろうじて時代を感じ取れるだけでして。

古びていないことがスゴイというより、このころから議論が一ミリも進んでいないんじゃないか、という恐怖感が湧いて来るんですけどね。

それにしても広瀬さんの議論のレベルの高さが、際立ってますな。

あたしゃ今回の地震以前、ほとんど広瀬さんのことを読んだことも聞いたこともなかったんです、というとウソになって、実は、軍需産業やら、ロックフェラーやら、経済モノについてはちょいとながめていた程度なんですが、原発ものはヒダリ系という意識があったんで読むに値しないと勝手に決めておりました。

ヒダリ系読み物は、前半の現状分析は素晴らしいこともありますが、現実的にどう対処するかという段階になる後半に意味不明になることが多くて時間とお金を投資する気になれないんですな。せめて面白けりゃいいんですが、面白くもない。

広瀬さんのような、こういう徹底した調査をやる人というのは、存在自体が貴重でありがたいです。

これほどの調査と露出があって、議論の的にもなっていながら、なんでその後、議論が一ミリも進んでいないのか、が問題なんですな。フツーなら、本が売れて、こういう番組ができて、多くの人に露出されたらば、世の中変わってゆかねばおかしい。

米国のニュースやメディアを、面白半分ですがながめていて思うのは、出てくる人達が、自分の仕事が世界を変えているという実感を持っているんだろうな、という点です。

ジャーシナリストではなくても、ジョンスチュワートや、スティブンコーベアのようなコメディアンに分類されるような人達まで、自分の仕事が世界にダイレクトにつながっていくという手ごたえを十分に感じているのは間違いないですな。現に、去年ワシントンにいって、大統領ヒストリアンのロバートデレクのレクチャーを聴いた時に、

大統領と一緒に食事した10人の歴史家  Robert Dallek

コーベアのThe March to Keep Fear Aliveと名付けられたラリー(←行進という意味のようですが、キャピトルヒルの近くで行われた集会のこと)のことを冗談で話しておられました。デレク氏も彼のショーをみていることは間違いないし、良く他のメディアにも取り上げられてます。シカゴ市長になった前大統領首席補佐官のエマニュエルが下院時代に、一年生議員にコーベアリポートにだけは出演するなと指導したという逸話が伝わってたりして。コーベアはコメディアンですが、議会に呼ばれて証言を求められたりもしました。

とにかく、注目が集まっているものには影響力が発生して、ひいては世界を動かす力になってゆく。
ウソやごまかしがあることが分かれば、その時点で信用を失って影響力も無くなる。

良いものに注目が集まって、アホな議論は最終的に淘汰されてゆく。少なくともメインストリームにアホな議論が生き残ることはない、という建前になってるようです。

広瀬さんが、こういう議論を展開してて、状況が変わらなかったんだとしたら、ちょっと深刻な感じがしますな。かつての闘士、佐々木蔵之介が小言じいさんのようになってしまうのも良くわかります
(小言ジジイというのは最近の動画をみての印象ですが)。


何をやってもだめなんだ、と広瀬さんほどの徹底した人なら思う資格ありってとこですかね。

朝ナマでの広瀬さんの立場は、とても良く考えられていて

なんでも反対といっているんじゃないんです
よく調べてもいないのに安全だなんて即座に言ってほしくないんです
我々はそういう姿勢をみてて心配になってしまうんです。
簡単に結論を出さないで、問題は問題として認識してほしいんです。
判断は市民の側が下すものです。

今も、広瀬さんは同じ立場で発言されているようで、ってか、変化がないんで立場を変える必要もないわけですな。

市民の側が下すもの、とまではハッキリとおっしゃっていないし、ちょっと違うかな。広瀬さんはご自分を市民活動家とは思っていないでしょうな。

広瀬さんがやってだめなら、だれがやってもだめだろ、と、まともなジャーナリストになろうとすることが、いかに無謀か、ということになりかねないんですけど・・・。



その広瀬さんが民主党の勉強会に呼ばれてレクチャーされてます。

広瀬隆:福島原発巨大事故 今何が必要か



20年前に呼んどけよ、ってとこでしょうか。



フィリピン セブにて3  貧困

2011-05-11 07:49:40 | 貧困問題
マッサージのオネーさんの日給が75ペソ、というのが仮に正しいとしましょう。
(美容室併営のフツーのマッサッジーです)。

彼女に念のため確認しましたが、お客一人当たりじゃなくて、日給だそうですな。
収入が低すぎるんで、休みはとらず、基本的に毎日出勤するそうです。通うのはジブニーで。

ちょいと待った、ってことなんですな。

物価が安いから、人件費も安い、とフツーに考えるだけではつじつまが合わない。

彼女が一日3人の客をとったとして、売上は1050ペソ、2010円です。で彼女の賃金が150円。
売上の一割に満たない。

これはちょっと低すぎますな。日本だと仕入れ負担の大きい、小売業や、卸業であってもこんなに低くないし、ましてやサービス業であれば、もっともっと大きくないとおかしい。

これはどういうことかと言うと、要するに、労働者に対する利益の配分が異様に小さいということ。

ということで、実際調べてみると、

データブック国際労働比較2011

本書の44ページに労働分配率の国際比較が出ています。
日本だと09年で約75%。先進国は大体6割から7割あたりにあることがわかりますな。

でフィリピンがどうなっているのか。
08年の数字しかありませんが28%と日本の半分以下しありません。

かなり低いです。つまり、物価水準が低く、もともと売上水準も低いんで、労働者の賃金も低いんだ、ということだけではなく、売上から、人件費として支払われる費用の比率も小さくなっているということですね。

ただ、その28%というのもマッサージのオネーサンはそれ以下しかもらってませんな。

労働分配率というのは、付加価値の中の労働者の取り分ということになりますが、サービス業なのでほぼ全額が付加価値だ仮定すると、1050ペソのざっくり3割といえば300ペソ近くもらってないといけないが、75ペソしかもらってないとすると、フィリピン水準でみてもかなり安い。

日本でも日払いの仕事だとかなり安くなるはずなので、彼女の収入はフィリピンの中でもかなり低めにはなるんでしょうがね。それでも低すぎますな。

これの意味することは、

資本の取り分が大きいということでもあって、労働者の取り分が低い分は、資本に持っていかれるわけですな。資本の利益。経営者の取り分であったり、配当や金利、マッサージ店の賃貸料なんかですね。

タクシーの運転手に、真夜中に走ってるがいつ寝るの、と聞くと、大概、時々眠くなると数時間寝て、また走ると答えてました。きちんと休んでいる余裕はなくて、休みなんかない、みたいな。

フィリピンが貧困国、というのは、もともと全体的に貧しいということに加えて、不平等社会であることが大きい、ということだと思いますが、

もう少し分析をつづけてみますかね。




フィリピン・セブにて2 物価水準

2011-05-10 01:37:53 | 貧困問題

で、肝心の、ものの値段についてですが,

コーラ一本,ショッピングモールで13ペソ。

大体26円。これは国際価格が適用されてません。一本100円もしたらフィリピンの人は誰も飲まないでしょうね。

フィリピンサザン大学の学食(←写真)で頼んでみたら一本10ペソだったんで,まあその辺が仕入れ値なんですかね。

ショッピングモールのフードコートでプレートで適当に頼むと大体100ペソ。安い。3分の1ですな。
ただし、日本で同じようにして食べるものと比べると,概してしょぼいです。食べられないことはありませんが。

私はきちんとしたレストランに入ったりせず,人の流れに従って,土地の人が食べているところに,そのまま入って食べるようにしてます。調査のためというよりは予約してそこまで行くのが面倒だからなんですがね。

普通のカップルや,家族連れがモールで食べているものは,そんなにうまくない。

おそらく,食品の加工や,保存,流通,調理して出すにいたる流れが,まだまだ,発達途上なんでしょう。このあたりは日本の高度な加工技術に慣れている身としては、ちょいと・・・。

一緒に出てくるライスなど,米粒がとけかけてて,それをもう一回乾かして固めたみたいなぐちゃぐちゃメシです。

ただ,本当にうまい,と思ったのは,フルーツジュースで,モールのスタンドで出しているマンゴージュースは,本当にうまい。ま,生をそのまま絞るわけで,当然といや当然ですな。

ちょっとしたレストランぼいとこでコーヒーを飲むと100円くらい。
これは別にまずくありません。食事もちゃんとしたところならそんなもんなのかもですな。ただ、ショボイ場所でコーヒーをたのむとでがらしがでます。このまずさは韓国で飲むコーヒーと味が似てます。味と香りがしない。

たまたま入ったかなりしょぼ目の韓国食堂では,ちゃんぽんメンを頼むと,インスタントラーメンをそのまま料理したものが出てきました。レストランによって大きな差がある感じがします。これは値段の差だけでもなさそうで、食べてみないと・・・。

本の値段は二種類に分かれます。

ボールソンのメモワールみたいな,アメリカから輸入したものは,ドル価をそのままペソ換算した値段です。日本のように為替レートでボッたりせず,リーゾナブルな値段になってます。洋書はフィリピンで買ったほうが日本より安いってことですな。まあ,フィリピン人にとっては何千円もする洋書はなかなか手が出ないんでしょうがね。

現地の学者が書いたような英語の本は,ずっと安くなります。私はフィリピンの歴史家が書いたホセ・リザールに関するエッセーを買いましたが,ペーパーバック版で五百円ちょっとと安いです。"Rizal without the overcoat"という本なんですが、アマゾンにも出てないようで。

タクシー,初乗り40ペソ。二十分ほど乗れば100ペソ,大体二百円位になります。
もう,移動の足はすべてタクシーになりました。大量のタクシーが二十四時間、主だった道を流しているので,必ず拾えます。安いと行っても現地感覚ではかなり高いんですが。

大体十倍で人々は感じているんでしょうな。初乗り八百円。そんなもんでしょう。
ただ,日本より所得はかなり低いんで実態はもっと高い感覚かもしれません。

ショッピングモールで受けたマッサージの女性に聞いてみると,一日75ペソの収入だ,といってました。チップをもらうための作り話かも知れませんが,一ヶ月一万ペソは行かないのは間違いないでしょうな。一月一万円で家政婦さんが雇えますみたいなハナシがあるんで,とすると月5千ペソってことだから,一日75ペソいうのは,結構良い線を行ってて,初乗り40ペソなんてとんでもない値段なんですね。

ちなみに,受けたマッサージの値段は一時間350ペソ。七百円。一流モールの中のマッサージなのでこれでも高めだと思います。マッサージのレベルは日本で受けるのと変わりません。約十分の一。すっかりリラックス。

映画も安いです。3DのTHOUと言う映画を観て見たんですが,六百円弱。安いですな。映像や音響は東京で観ても変わりません。3Dで無ければ四百円くらいですかね。まあ,日本の映画が特別高いだけで,フィリピンが特別安いわけでもなさそうですがね。これはどっちかと言えば国際価格に近いかも知れませんな。

価格について言えばですね,これは,ものによって性質が異なるということを強く感じましたね。

その国の物価水準が高い,低いを評価するのに,ビックマックで測ったりしますが,価格というのは、コカコーラのように,均一品質でも価格が現地化するものと,映画や本のように均一品質で国際価格が適用されるもの,タクシーのように現地品質現地価格のもの,と成り立ちが異なるもので構成されてます。一概には言えないってことですね。

コーラは現地で製造しているんで現地価格、本は輸入するんで国際価格、ということですかな。映画やDVDはコンテンツビジネス(=限界コストが限りなく低い)なので、最大収入を目指す価格設定ということなんでしょう。実際、DVDはかなり安いです。

ちなみに,ガソリンは輸入品ということで、1リッター60ペソ弱で,120円。日本と変わりません(フィリピンでも税金がこんもり入ってるんでしょう)。タクシーの運転手が口をそろえて大変だと言ってました。

タクの運ちゃんの話だと,ご子息を通わせるのに年間の学費が2000ペソ。IT関係だそうですがね。日本の感覚ではかなり安いです。これはフィリピン感覚でも安いはずで,政府の補助がかなり入っているのは間違いないですね。

概して,ものの値段の安さは尋常ではありません。
現地にいると現地価格に慣れてくるので,相対的にこれが高い、低いと感じるようにはなるんですが,日本円換算して改めて考えると,いずれにしてもかなり安いんですね。外食して,マッサージに行って,映画を観て,本を買っても一日二千円行かない。

日本だと,本だけでも,映画だけでも二千円近く行ってしまうし,マッサージはまったく手が届かず。
どれかひとつやっただけで,食事代が出なくなってしまう。

月10万円。

日本だと、少しつらくなりますな。住むところはバストイレ共同とか、外食できないとか、喫茶店に入るのに迷うとか。映画などもっての他。

フィリピンだと10万円あれば、そういう制約は全く感じずにすみそうです。安く長期滞在できるホテルもあるんで、そこに住む。私のように、本と映画があれば、あとはまあどうでも良いって感じだと、悪くないかも。食事に当たり外れがあることを除いては、品質にそんなに不満もないですな。

ただし、結構孤独にはなるでしょうな。
現地の人達と普通の付き合いができるとは到底思えません。

このあたりはもう少し説明が必要だと思いますが、次回。