会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

降格人事・役職交代の進め方

2005-03-29 00:49:16 | ターンアランド
降格人事・役職交代の進め方
廣岡久生 パル出版04/05/7初版

 前回の『クビ論』に続く人事関連本。
 
 本書では、役職定年制、役職任期制などを解説。
 その他、日本の人事制度の問題点を指摘。
 人事部が力を持ちすぎている等、最近よく話題になる事柄にもページを割いています。

 ただ、概論や、問題指摘(こうしないとこうなりますレベル)なので、本書では考え方を整理する程度のところまでしか進めません。ただ、論点がどこにあるか、位はわかります。

  あらかじめ降格を考えて、社内では人を呼ぶときに○○部長と肩書きでよばずに、さん付けで呼ぶと良い、とか書かれているところは、中々生生しい感じです。概論が淡々と書かれている中に、時折こうした鋭いアドバイスが入っていると、ドキッとします。

 本書で勧めているのは、役職任期制。2年だとか3年に区切ってリーダーを決める。
 終わるとまたもとに戻るわけだが、手当ての固定化を防ぐことができます。
 (本書はケーススタディがないので、イメージがわかないが、アイディアとして面白い)

 おそらく、不調な日本企業で、人材の滞留、若手の不活性は深刻なはず。
 こうした制度はターンアラウンド手法の一つとして有効に違いないですね。

  

「クビ!」論

2005-03-27 12:36:35 | ターンアランド
「クビ!」論
梅森 浩一 (著)  朝日新聞社

 クビ、とかかれるとドキっとするのはサラリーマン根性が染み付いているからでしょうか。
 
 本書は、著者が外資系企業での人事体験(クビにする側)の経験談、ノウハウ、提言、をまとめた本です。

 『日本企業対外資系』での人事の考え方の違い(=人事リストラのやり方の違い)、『日本人対外人』のクビを言い渡されたときの反応の違い、をスパっと図式的に整理しています。

 日本企業は何でも一律にやってしまう(早期定年制度、報酬カット)が、それがもとで優秀人材が先に抜けてしまうという欠陥があるが、外資は人をまとめて考えることはなく、あくまで個人で、あくまでいらない個人を銛でつくようにやめさせる、という違いがある、

 ただ、外資の制度にも問題があり、ボス次第であること(気に入られなければ捨てられる)、そのボスが自分の地位を保全するために有能な№2を次々にクビにすることがある(取って代わられないように)こと、などを防げないことがあります。

 クビを言い渡されたとき、仕方がないとあきらめるのが日本人で、いろいろと条件をつけて少しでも有利にやめようとするのが外人。外資系に務めていて半分外人のように見えても、いざクビになるとはっきり日本人と外人では態度が別れるとか。

 著者の言う外資系とは米国系外資系です。

 欧州系はもう少し日本的で長期的人材育成も観点に入れていると聞いたことがあります。

 クビにするやり方(クビになり方)がどう変わるかを観てゆくことで、経営がどう変わって行くのかをはかることができるんだな、ということが本書で良くわかります。

 人事は経営そのもの、ですか。


 

賃貸不動産業

2005-03-03 00:05:36 | ターンアランド
 今日は自分の考えを整理するために書きます。一人ブレーンストーミングなので、他人が読んでもわからないかも知れません。悪しからず。

1.賃貸不動産業とは
 
 結構うらやましい。不労所得。青色申告。日本の資産家といえばこれか。でもバブルでやられているところが多い。二極化。

 賃貸不動産業とは、所有不動産の賃貸により賃料によって収益を得ている業態。資産家は先祖代々の土地を持っていて、そこにビルを建ててテナントを入れていることも多い。オフィスビルであったり、アパート・マンションであったり。

 賃料は比較的安定しており、将来の収益を計算しやすい。また、一度ビルを建ててしまえば後は維持費、改修費だけ(まあ、あとは税金か)しかかからないので、収支が予測しやすい。

 つまり、キャッシュフローが読みやすい。

 改装によって、入居率をあげれば、即、キャッシュフローも改善する。テナントの出入りの多い少ないはあるにしても、比較的安定した商売だ。手形を振り出すことも少ないので、いきなり倒産することもあまりない。

2.バブルでやられているとは

 バブル期に建てたビルなどは元値が高過ぎる場合がある。これをバブルでやられたと呼ぶ。といっても、入居率が高ければ、一定のキャッシュフローは、バブルでやられていない業者と同じように入ってくる。では、やられている業者とやられていない業者の違いは何か。

 元値が高ければ、投資効率が悪い。毎年1億円の賃料があるにせよ、10億円のビルに対して入ってくるのと、50億円のビルに対して入ってくるのでは投資利回りが異なる。
利回りが低いのは我慢すれば良いが、通常、我慢するだけでは済まない。なぜならば、投資の元金は、銀行借入であることが多いからだ。10億円の借り入れがあって、毎年1億円賃料があるのと、50億円の借り入れがあって、1億円入ってくるのでは状況が全く異なる。後者は破綻。銀行によって整理されても文句は言えない。なぜなら返済の見込みが全く立たないからだ(できたとしても何十年もかかってしまう。不良債権)。

 したがって賃貸業を見るときには、資産とともに負債を良くみなければならない(どんな業界でも負債は見なければならないが、特に物件購入資金の調達具合がこの場合問題になるということ)。賃貸しかしてなければ、資産は不動産が大部分のはずだし、調達は自己資金か、借り入れのはず(当たり前か)。

 単に、バランスシートだけでは、わからないことも多い。なぜなら、不動産簿価は購入価格で計上されており、そうだとしたら、きれいにバランスしているからだ。だから、PL側の賃料収入を良くみなければならない。賃料収入と借り入れの比率を見てみると、返済に何年くらいかかるか簡単に計算できる。何十年もかかるようだと危ない、ということ。不動産資産に比べて、賃料が少なければ、不動産資産は毀損している(価値が簿価より落ちている)と考えるべき。不動産価格は最近収益還元法で決まるので、賃料が少ないと時価も下がる。

 何年まで大丈夫か、とは一概に言えない。新しいビルなら、長い間にわたって賃料が期待できるので、借り入れ額が多少多くても許容されるかも知れない。

3.財務リストラ

 賃貸不動産業の財務リストラといえば、不動産を売ることだ。不動産の売却による効果は…、と続きは明日にしよ。