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人を動かす方法

僕は研究職兼評価屋、結局のところ技術屋なので仕事に嘘は用いない。テクニックは用いるけど、責任がかかりそうな方便は極力避ける。いくらそのために会社が儲かっても、自分自身が足切りされるようなリスクを負う気は無い。

なので周りから「研究所が認めてくれたらgoするんだけど」と言われてもそんなの知らん。後からクレームが続出したとき「研究所がOKした」と言われるのは勘弁ということ。

しかし「データはこうだけど、事実上問題ないのでこれで行きましょう」を言われれば認めざるを得ない。問題点を認識し、リスクを共有し進めるのには異論は無い。要は私だけにリスクを押し付けられるか、私が損か得かということなのだ。

と言う事は、人を動かすためには損得勘定に訴えるのが一番と言うことになる。例えば「会社が儲かるためにはこうした方がいい」と言うアドバイスは馬鹿の言うことであり、「こうしないと君は損をする」というように誘導するのがベターと言うことになる。その人が損をする可能性を挙げ、損をしないようにフォローするという体裁をとるのが仕事の誘導術ということになる。そこには理念は全く必要ない。

例を挙げると期日までに商品の仕様を全く決められない担当には、「補償はそっちで全責任をとってね」と言えば仕様の範囲を直ぐに持ってくる。持ってこない場合にはその後の相談も拒否する、幹部につるんでると思われたら損だからだ。この際、会社の利益など関係ない、自分が一番だ。それを宣言しておけば、逆に彼は私をツルませようとするので(責任を研究所にも負わせたいので)、納期を自然と守ることになる。

いやね、実のところ研究所と言う組織はクレームや失敗からは逃れられない。仮に「品質保証部が独断で決めた」という事実があったとしても、クレームがあり、それに技術的な対応をするのは研究所なのだから。それでもだからこそ研究所はあらゆる事態を想定するトレーニングを積んでいる。

話が脱線した。人は理念では動かない、少なくとも私はそう。一方研究所は理念的な考え方を濃厚に宿している。その上で「研究所」の理念を他部署に論じるには理念と言うキーワードではなかなか上手くいかないと言うことだ。説得相手にとっての損得をベースに語らなければ実現不可能。

逆に言えば、研究所の人間を使うにも損得で説得する必要がある。例えば「あなたのアイデアを実現するためには○○のロジックが弱いのよ」と無き落すとか、「あなたの提案が潰れたらあなたも仕事をしていないことになるよ」とか。

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