浅田次郎/講談社文庫
あっという間に4冊目(完結)まで読み終わった。
戊戌の変法から戊戌の政変までを一気に駆け抜けた。
日本の明治維新で30年かかったことを3年でやる・・・それはあまりにも性急すぎた。
一番悪いのは康有為だ・・と本書は強調する。カリスマ性があり、演説上手だが、理想を追いすぎていて何もできない・・・そこに若き光緒帝が心酔しすぎてしまったのが不幸だった。もっと実務に詳しい人間や人脈調整型の人間を巻き込んで慎重に動くべきであったが、そうしなかった・・どころか朝令暮改のようなことを繰り返し、次第に誰も皇帝の言うことを聞かなくなった・・・・。
そういう話がバックボーンにあって、皇帝派(変法派・改革派)と西太后派(保守派)に引き裂かれた兄と妹、義兄弟たち・・・ニュースネタを嗅ぎ回る新聞記者たち・・。右往左往する宦官たち、野心丸出しの重臣たちや軍人たち。
最後の方で活躍する、西太后の孫娘と称する娘が、次作の「珍妃の井戸」につながっていくわけだな。