私は高校時代にアメリカにホームステイ留学していたのだが、そこの家には農場があり、牛や馬を飼っていた。農場ではズッキーニを主に育てていたが、まだ日本にはズッキーニが入ってきていない頃だから、どういう野菜なのか全然分からなかった。その家ではケーキを焼く時に入れていたが、単純に焼いて食べると言うことをしなかったからである。
ズッキーニは収穫時期を逃すと馬鹿デカくなる。人間が食べるのには適さなくなるため、縦4分の1に切って牛に与えるのである。牛たちは集まってきて、自分の口の容積よりも大きなズッキーニを突っ込まれているのに、涎を垂らしながら喜んで食べるのである。こんな味のほとんどしないようなものを、どうしてそんなに喜んで食べるんだろう、と不思議だった。
近年、ズッキーニは随分日本に入ってきたので、輪切りにしてオリーブ油や胡麻油で炒めて、塩胡椒するだけですごく美味しいということがわかった。何しろ、ズズズっと歯が入っていく食感が心地よい。そして炒めた油と塩胡椒の味が加わると、えもいわれぬ色っぽい旨味が感じられるのである。
今日はバター醤油焼きにしておいた。先にオリーブ油で両面炒め、火が通ってから、風味付けにバター10gを投入。全体に行き渡ってから醤油をジューっと加え、鍋を振って全体的に絡めてから皿に盛っていただく。
いやぁ、バター醤油も正解! このジューシーな旨さ!
喜んでズッキーニを食べていた牛たちの気分もこんなだっただろうか?