船と海の研究会 (著), 菅野 照造 (監修)/日刊工業新聞社
この本はとても面白かった。
一番感激したのは、戦艦大和の船首の水面下のこぶみたいな部分の役割が分かったこと。
私は宇宙戦艦ヤマトを見ていないが、一応ヤマト世代である。番組を見てないので、なぜ宇宙船があのような形をしているのかわからなかったのだが、それは本物の戦艦大和の姿を模したものであるということを知ったのは大人になってからである。で、戦艦大和の船首の水面下の部分の形がなぜあのようにこぶ状になっているのか、ずっと疑問に思っていたが、その疑問がやっと解けた。
このこぶ状のものがついた船首は「球状船首(バルバスバウ)」と呼ばれるそうだ。船が走る時、周囲には、船の進行を妨げる波も発生するのであるが、船首に球状のものを近づけると、その進行を妨げる波を消すことができるので、船首と一体化させるようになったのだと。
じゃぁどんな船にも万能かというと、重さの変動の激しい船(貨物船など)には向かないとか。
また、そもそも船首は一般的になぜ尖っていて、やや上を向いているのか・・・ということについても、私はずっと、スピードを出すためだと思っていたけれど、その形状のおかげで船がうまく波に乗れ、船が波を被ってしまうことを防ぐのだと知って目からウロコ。もし丸木をただくり抜いただけの船だったら、船首部分に波がザンブとかかり、すぐに船に水が侵入してしまうのだ。
そういう話や、原子力船むつが、今では原子力を外されてディーゼルに変わり、世界最大級の大型海洋観測研究戦「みらい」として生まれ変わっている話など、へぇぇと思う話がたくさんあった。