さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【読書録】椿姫

2022-01-20 22:33:10 | 読書録

デュマ・フィス作/吉村正一郎訳/岩波文庫

お世話になった古本屋さんで買って、去年の年末読み終わったのだが、まだ感想を書いてなかったので、備忘的に書いておこう。

いやぁ、私の文学オンチも酷すぎるというか、おおよその筋はオペラに何回も出てるから知っているのだが、それなのに小さい活字と古い紙と長たらしいセリフのせいでなかなか読み進めずに閉口した。

オペラでいうヴィオレッタは原作ではマルグリット、アルフレードはアルマンであるが、オペラと違ってアルマンはヴィオレッタの死に目に会えないわけである。マルグリットの家が競売にかけられ、この作品の語り手はある本を競り落とす。それは「マノン・レスコー」で、アルマンがマルグリットに贈った本だった。その本が縁で、語り手はアルマンと出会い、アルマンがマルグリットの遺体を新しい墓に移す時にも立ち会い・・・ということで、マルグリットの死後の競売とか、お墓のなかの遺体とのご対面のような場面から始まるので、物語に入り込むのに苦労した。

総じて、オペラよりかなり悲惨である。ヴェルディがいかに、これを美化して鑑賞に耐えうるオペラにしたか・・というのがよくわかる。娼婦の生活についてもよく描かれており、彼女が暮らしていくのにどのくらいのお金がいるか、彼女の友人がアルマンに細かく説明する場面なんかも含まれる。またアルマンの収入だけはやっていけないから、老公爵にお金を貢がせて、アルマンとの愛の生活に注ぎ込むような二重生活もしばらく続けていた。なのでマルグリットはオペラより現実的である。

しかし逆に、私はアルマンに全く感情移入できないのである。あまりに幼稚で愚かだ。それこそオペラ化して、イケメンが輝かしいテノール声でカッコよくハイCを出すぐらいのことをやって、その愚かさをカモフラージュしてくれない限り、見るに耐えない・・・なんてことは言っちゃいけないのかな?

ということで、読んでて苦しかったね。

 


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