さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

題名のない音楽会(7/10)~「若き俊英たちの音楽会」~を観て

2016-08-08 23:02:43 | 映画・番組等、各種鑑賞録
見てからちょっと時間が経ってしまったのだが、若き俊英たちの音楽会より。

實川 風さんのピアノにちょっと惚れちゃった。

この方を指導されていた江口准教授が、實川さんのピアノを評して「演奏するにあたり、無駄な音を一つも作らない。すべての音を自分なりに考えて、きちんと把握して演奏できる人。」とおっしゃっていたのを聴いて、これはなるほどと思った。

確かに聴いていて、すべての音に魂がこもっているという気がするのよね。

「すべての音をしっかり弾いている」というのとはニュアンスが異なる。軽く柔らかい音で弾いていても、ひとつひとつの音に意味を持たせているというか、音が生きているというか。

そうね、最高においしいトビウオの卵を食べてる気分で、その新鮮なプツプツ感がたまらない・・・っていうか。それとかいいお米をいい炊飯器で炊いて、米粒が一粒一粒立ってて美味しいとか・・そんな感じの演奏だわね。

1つ1つの音を生かすって難しいことで、私なんか弾けないところはごまかすし、ちゃんと弾けてるところも消化試合風になんとなく弾いてしまうこともあるし。。。一番得意な声楽ですら、師匠によく注意されるのは「ここで、もっと考えて」ということ。先日も「単純に音階を降りて来るんじゃなくて、一つ一つの音に別の味がついてると思って・・」と言われたばかりだったなぁ。そうか、それを実践すれば、實川さんのピアノのように心を打つ美味しい音楽になるのか。

特に素敵だったのはショパンのエチュード、12の練習曲 作品25 の方の第1番『エオリアン・ハープ』だ。

私は小さい頃、父のもってたショパンのレコードを腐るほど聴いて、この曲は大好きだったのよ。でもそういう記憶に残るレコードの演奏より、實川さんのピアノ演奏の方が何倍も素敵だった。一つ一つの粒が生きてるのよ。

あれっと思ったのは、父の持ってたレコードではこの曲に『エオリアン・ハープ』という名前はついていなかった。

愛称がついていたのは「別れの曲」「黒鍵のエチュード」「革命のエチュード」「木枯らしのエチュード」のみ。そのほか「大洋」も「滝」もそのレコードには載っていたけれど、愛称はついていなかった。

そもそもショパンがつけた愛称ではないので、最近ついた愛称だろうかと調べたら、『エオリアン・ハープ』と名付けたのはシューマンと言われているそうで、意外に古い。で、そもそもエオリアンハープって何よ?と思うのだが、箱型で自然に吹く風により音がなる弦楽器のようだ。写真で見ると、平型のお琴の共鳴胴にギターのような穴が開いてる楽器だ。

エオリアンハープの実際の音をサイト検索で探し出して聴いてみたが、ちょっとイメージに合わないね。實川さんの弾かれるピアノ曲のエオリアンハープはむしろ、アポロンかダヴィデが弾く竪琴のようなイメージがあるのだが。。。。

そういう妄想はさておき、實川さん以外の出演者、佐藤和哉さんの篠笛演奏も、Ki-Do-Ai-Rakuさんの打楽器演奏も、一つ一つの音の意味を大切に表現しているという意味では共通点があるのであった。

こういう演奏じゃなきゃいけないんだな・・・と我が身を猛反省。

「無駄な音を作らない」という言葉は分かりづらいので、食いしん坊な私は「一粒一粒美味しい演奏」をイメージすればいいのね。

奇しくも「一つ一つの音に別の味がついてると思って・・」という風に私を指導される師匠って、何でも食いもんに例えないと理解できない私の本質を見抜いているわけね。

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