さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

提示部は、なぜ繰り返すのか?

2013-07-01 23:26:03 | ただの日記
昨日、バイオリンのプレコンサートが終わった後、オケ練に途中から参加したのだが、そこでマエストロから言われた言葉が、魂のツボに入ってしまったようで、昨日から1日半、それを何回も反芻して楽しんでいる。

それは、私の大好きな、ベートーヴェンの交響曲第2番の第一楽章をやっていた時のこと。カッコイイ提示部をリピートして、2回目に入った時、マエストロが「みなさん、繰り返し後も、1回目と同じテンションで弾いてくださいね。決して、疲れただの、また~だの思ってはいけませんよ。ところで皆さん、提示部って何で繰り返すのかわかりますか?」

みんな遠慮したのかもしれないが、誰も答えられなかった。私も、わからなかった。マエストロの答えは「テーマを印象づけたいから」だ。ベートーヴェンの時代はCDもレコードもないし、予習をしてコンサートに聴きに来る人なんていないのだから、みんなその場で初めて曲を聴くようなものである。だからソナタ形式の提示部は2度演奏して、第一主題と第二主題がどんなテーマであるか、聴く人に印象付ける必要があるのだと。

あ~なるほど・・。ここで第一主題と第二主題が脳裏に刻み込まれるから、その後の展開部で、何を展開しているのかが分かり、再現部が登場した時に、あっと気づくんだろうな。

ここで、ハタと気がついた。自分は昔から「再現部」がやたら好きな人間だということを。

ソナタ形式は、概ね以下のような構成だ。

  序 奏
   +
 【提示部】第一主題(主調)&第二主題(属調・平行調等)
   +
 【展開部】
   +
 【再現部】第一主題(主調)&第二主題(主調・同主調)
   +
  コーダ


再現部って、展開部のもやもや感が落ち着いてきたかな~と思ったら、スーッと懐かしのメロディが聞こえてくる部分だ。

再現部の第一主題・・・あの、懐かしくてカッコイイ奴が帰ってきた・・帰ってきたウルトラマン・・・だいぶ違うかもしれないけど、再現部の第一主題って癒されると同時に、そのカッコよさに興奮するところでもあると思う。

それに続く第二主題は、提示部と違って主調でするっと通ろうとするところが、走馬灯のような効果を生み、これから最後の盛り上がりに突入するぞ感が沸き上がってくるのである。

こう考えるとソナタ形式って、実に聴き手の期待感をくすぐる、よく出来た楽式であるなぁ、とつくづく思う。

その「再現部」の感動を引き出すためにも、何がテーマなのかを「提示部」で印象付ける必要があるのだ・・・と自分なりに理解し、妙に納得した。

「僕は提示部の1番カッコにこだわって、必ず繰り返すからね」とおっしゃるマエストロ。この人のために、ベト2とベト7、絶対成功させたい。
コメント (2)
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