さぶりんブログ

音楽が大好きなさぶりんが、自作イラストや怪しい楽器、本や映画の感想、花と電車の追っかけ記録などをランダムに載せています。

【DVD鑑賞録】チャイコフスキー/バレエ《白鳥の湖》

2011-10-06 23:58:21 | オペラ・バレエ鑑賞
連日オペラというのも疲れるので、気分を変えて最近デアゴスティーニから出ているバレエDVDコレクションより「白鳥の湖」を見てみた。

実は私はバレエもロクにみたことがないのである。

今まで生で見たバレエは、「くるみ割り人形」「コッペリア」「レ・シルフォード」。いずれも学生時代の友人の発表会である。あとビデオで見たことがあるのが「白鳥の湖」と「ペトルーシュカ」くらいだ。

このDVDはパリ・オペラ座バレエ団によるもので、振付はヌレエフ版と呼ばれるもの。振付・演出は以前見たビデオとは違っていた。今回見たDVDは見始めて数分で、買ってよかったと思う、なかなか見応えのあるDVDだ。一流バレリーナのメリハリのあるきびきびした動きを見ていると、今年の6月に観て来た映画「ブラック・スワン」っていったいなんだったんだろうと思う。かの映画はアカデミー賞の最優秀主演女優賞を取った人の演技とはいえ、バレエ経験のある女優に過ぎず、やはりプロのバレリーナには足元にも及ばないのである。

主役のジークフリート王子・・・・ジークフリートに白鳥といえば、ワーグナーだよね。チャイコフスキーはワーグナーが好きだったようである。で、そのジークフリート王子、ジョゼ・マルティネズというスペイン系のダンサーが踊っているのだが、何だか腰痛に悩んでいる知り合いに似てて、最初は見ててちょっと恥ずかしい気持ちになった。一幕目で怪しげな存在感を放っていたのは家庭教師役のカール・パケット。家庭教師は実は悪魔が化けてるんだ。カール・パケット氏も美形だが、悪魔的な美しさで、まさにこの役にハマっている。

二幕目以降はぐっと作品に感情移入することができた。オデットと王子が愛を深める「グラン・アダージョ」は非常に素晴らしかった。

三幕目最大の見せ場は悪魔の娘オディールによる、「黒鳥のパ・ド・ドゥ」。私がよく出勤時に聴いている、お気に入りの曲だ。オデットとオディールは一人二役だが、踊り手のアニエス・ルテステュは非常に上手く演じ分けていた。黒鳥オディールは王子を誘惑するように踊る。途中で頬を王子になすりつけるシーンが出てきた時には、思わず映画「ブラック・スワン」に出てきた色んなシーンを思い出してしまった。32回転の超絶技巧である「グラン・フェッテ・アン・トゥールナン」を彼女の勝利宣言としてみると、自信にあふれた演技がさらに光って見える。

四幕目はコール・ド・バレエ(群舞)が猛烈に素晴らしい。実は私が物心つく前の子供の頃、テレビで白鳥の湖をちらっと見たことがあるのだが、その時は本当に舞台の上に白鳥が沢山いるのかと思ったのである。よくよく見たら人だったのでものすごく驚いた記憶があるのだが、多分二幕か四幕を見たのだろう。もしかしたら四幕の方だったかもしれないな、と素晴らしい群舞を見ながらそう思った。

エンディングは実は演出によって違うらしいね。一度ビデオで全幕観ているのに悲劇だったかハッピーエンドだったかすらよく覚えていなかった。だが、驚いたことに両方のパターンがあるというのだ。ハッピーエンドだと2人で悪魔を打ち倒して自らの力で幸せをつかむというパターンは、ソヴィエト時代に好まれたらしい。死んで来世で結ばれるというパターンもある。ただ西側では悲劇的な結末でしめくくられることが多いという。もしかしたら私が以前見た版はハッピーエンドに近いものだったかもしれないが、このDVDは救いようのない悲劇。ただ冒頭の演出との関係も上手く考えられており、素晴らしい作品に仕上がっていると思った。

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