「風雲児たち~幕末編(14)」SPコミックス
みなもと太郎/リイド社
ハリスとの日米修好通商条約の調印を前に音を立てて崩れていく徳川幕府。阿部正弘の後任、堀田正睦はこの難局を乗り切るにはあまりに普通の人でありすぎた、と私は思う。普通だからこそ、これに類したことは規模・時代を問わず、誰にでも起こりうる・・・本巻を心に一点も無く読める人がいたら、随分幸せな人なのではないか・・・などと、色々勘ぐってみたりする。
堀田正睦の後半生は本当に報われなかった。それに井伊直弼が大老に就任したいきさつが、将軍継嗣問題であったとは。一橋慶喜に決まりかけた十四代将軍徳川慶福(家茂)にひっくり返すために、慶喜で決めようとした老中堀田正睦の上にいきなり慶福を推す井伊直弼が据えられたのだ。井伊直弼はのちに強権を発動した政治家とはいえ、これでは井伊も堀田もまるで将棋の駒ではないか・・・。
幕府の思い通りにまっすぐ政治が進まなくなったのは、岩倉具視が京でしかけた「廷臣八十八卿列参事件」の影響も大きい。今の若い人は、岩倉具視が載ってる500円札なんて触ったことないんだろうな。私が子供の時は、500円札が岩倉具視、千円札が伊藤博文、五千円札と一万円札が聖徳太子だった。岩倉具視という人物のことは一番覚えるのが遅かったから、物心ついてからもしばらく、500円札を見ながら「この人誰?」と思っていた記憶がある。
若い時に私が岩倉具視に抱いていたイメージはどちらかといえばマイナス。大人になってからはプラスのイメージで捉えている。そのプラスイメージほとんどは岩倉使節団から来るもので、幕末の岩倉の動きについては、私の勉強不足もあり、不可解なイメージがぬぐいきれずにきた。
この14巻目で、いよいよ岩倉の計算高さが発揮されるが、要は「チキンレースをやっているんだ」の一言で、少しはこの人の輪郭がつかめた気がする。今後どのように描かれていくのか楽しみではあるが、作者がこの人を本人の似顔絵とは似ても似つかぬ狡賢い顔で描いているところを見ると、あまりよいキャラとしては扱われないのかなぁ。
みなもと太郎/リイド社
ハリスとの日米修好通商条約の調印を前に音を立てて崩れていく徳川幕府。阿部正弘の後任、堀田正睦はこの難局を乗り切るにはあまりに普通の人でありすぎた、と私は思う。普通だからこそ、これに類したことは規模・時代を問わず、誰にでも起こりうる・・・本巻を心に一点も無く読める人がいたら、随分幸せな人なのではないか・・・などと、色々勘ぐってみたりする。
堀田正睦の後半生は本当に報われなかった。それに井伊直弼が大老に就任したいきさつが、将軍継嗣問題であったとは。一橋慶喜に決まりかけた十四代将軍徳川慶福(家茂)にひっくり返すために、慶喜で決めようとした老中堀田正睦の上にいきなり慶福を推す井伊直弼が据えられたのだ。井伊直弼はのちに強権を発動した政治家とはいえ、これでは井伊も堀田もまるで将棋の駒ではないか・・・。
幕府の思い通りにまっすぐ政治が進まなくなったのは、岩倉具視が京でしかけた「廷臣八十八卿列参事件」の影響も大きい。今の若い人は、岩倉具視が載ってる500円札なんて触ったことないんだろうな。私が子供の時は、500円札が岩倉具視、千円札が伊藤博文、五千円札と一万円札が聖徳太子だった。岩倉具視という人物のことは一番覚えるのが遅かったから、物心ついてからもしばらく、500円札を見ながら「この人誰?」と思っていた記憶がある。
若い時に私が岩倉具視に抱いていたイメージはどちらかといえばマイナス。大人になってからはプラスのイメージで捉えている。そのプラスイメージほとんどは岩倉使節団から来るもので、幕末の岩倉の動きについては、私の勉強不足もあり、不可解なイメージがぬぐいきれずにきた。
この14巻目で、いよいよ岩倉の計算高さが発揮されるが、要は「チキンレースをやっているんだ」の一言で、少しはこの人の輪郭がつかめた気がする。今後どのように描かれていくのか楽しみではあるが、作者がこの人を本人の似顔絵とは似ても似つかぬ狡賢い顔で描いているところを見ると、あまりよいキャラとしては扱われないのかなぁ。