国際民間活動団体(NGO)「オックスファム」は、世界の最富裕層1%が保有する資産が世界中の富の48%に上るとの調査報告書を発表した。調査によれば、最富裕層1%の資産は、2009年の44%から5年間で4ポイント上昇した。来年には50%を超えるだろうと言われている。フランスの経済学者トマ・ピケテイの「21世紀の資本」によれば、過去200年間で、いわゆる資本の収益率は6%~7%。対する労働賃金などの指標となる経済成長率は1~2%と、その差は歴然としている。社会が資本主義を取る以上、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏人になる宿命を持つ。だから、道徳や宗教は、キリスト教も仏教も、イスラム教も、皆、富める者の責任として、貧者に対する喜捨を義務付けているのである。だが、多くの国の政権与党は富裕層を代表する保守派が政権の重要なかじ取りを行っている。アメリカでは、前回の選挙で、富裕層を代表する共和党が圧勝した。彼らは株式売買からの所得税の税率など、彼らの恩恵に預かる部分の負担増を認めない。日本の自民党政権も一方的に、法人税の税率下げを進める。この傾向は財閥の富の集中が進む韓国が最も激しいようだが、世界は、これにストップをかけないと、イスラム国やボコハラムのような存在が、異常なウイルスやがん細胞となって、蔓延していくことになるだろう。(2015.1.21)