幸せの十字路

我が家には幸せの十字路と言う場所がある。この夏、我が家は密かに、お世話になった福島の皆様と心をひとつにしようと、お客様をお迎えする場合などを除いて、ほとんどクーラーをつけていない。節電もあるが、そのほうの気持ちが強い。そのために、四方の窓を開けている。そして、玄関から少し入った場所に、幸せの十字路を発見したのだ。ここは四方から風が通り抜ける。心地よい風のたまり場所なのである。もともと、我が家は隅田川の近くに建っている。隅田川上には建物は無い。高層マンションもない。だから、そこは東京でも珍しい風の通り道なのである。春や秋にはこの風に乗って、渡り鳥が飛んでくる。時には強い風が私の家の窓ガラスをたたくが、そんなお蔭もあって、私たちのマンションは、近くを高速道路が走り、排ガスを撒き散らしているにもかかわらず、比較的にきれいだ。専門家は風が埃を払いのけていると言う。風のおかげである。近年、都市に風の道を作る構想が持ち上がっている。新橋汐留地区の高層ビル群はそのようなものだと聞いている。無秩序に作られた街は思いもかけない被害を私たちにもたらす。風も、豪雨も、地震もそうである。私のふるさとの横須賀が活断層の巣で、地震が起こりそうだと新たに発表された。心配である。

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