つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ  書初め

2014-03-12 15:33:03 | エッセイ

エッセイ 書初め

春めいた日、公民館のロビーに、近くの小学校の児童が書いた書初めが展示してあった。
乾燥の為か少し波打って、
「お正月」「初日の出」など、見慣れた文字が躍っている。

友人たちと足を止めて見入る。
「あっ、これシホちゃんじゃないの」
「あ、そうそう」と友人が相槌をうつ、近所の子供さんらしい。

息子が小学生の頃、冬休みの宿題に書初めというのが多かった。
ある時、もうすぐ学校が始まるというのに、まだできていなくて、急かせると、食卓で書くという。

墨をこぼされたら困るので、新聞紙を敷く。
墨をする息子に「ちゃんと座って」などと口を出す。
筆を見ると、前回洗っていなかったのか、穂先が固まっている。

やっと書き始めた。
背筋を伸ばし、筆を立てて持ち、恰好は様になっているのだが、さ
らさらと何も考えずに書いていく。

「そこはしっかり止める」、
「3本の横棒は同じぐらいに間を開けるの」
「しゅーとはらう」など、つい、口をはさむ。

何とかましなものが書けて、こちらの顔色をうかがっている。

まあいいかと見ているうちに、私も何か書きたくなった。
「お母さんにも書かせて」と言うと、何度も口やかましく言われたことから解放されると思ったのか、「どうぞ、どうぞ」と席をあけ、おやつをパクつく。

息子の書いた「春」という字は、私も小学生の時よく練習をした、しばらくぶりなのになかなかいい。

「お母さん上手でしょう」と自慢したら、「お母さんは、寺子屋に行ったんでしょう」と返してきた。
え、ただの冷やかし、それとも本気で思っていた、まさかねと打ち消した。   

随分昔になった、あの頃の情景を思い出した。

 

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