エッセイ ブログの出口
大学通りの桜は、青空を背景に大きな花房をつけ、一番の見頃を迎えていた。
以前通っていた、パソコン教室の友人たちが、国立のギャラリーで、写真展を
開いた。
力作のパネルを、「あの人らしい」と見入る。いろいろな花を、マクロな写真で
表現している人や、ワンちゃん大好きな人は、おしゃれな服を着せて可愛く撮
っている。何事も凝り性の友人は、チーターの、子供の表情をしっかり残して
いる。
私にはまぶしい世界があった。
会場には、懐かしい顔も見え、「パソコンをやっていたお陰ね」と話しに弾み
がつく。
10年以上前、恐る恐る、パソコン教室に入った。
年配の男性2人と、同年齢の女性3人。若い先生の一言一言に緊張した。
3か月経って入門コースを終わり、次のステップに進む時、謙遜のつもりで
「次の初級についていけるでしょうか」と聞いてみた。
「もう一度、今のコースを受けた方が後のためになりますよ」と言われて、4人
が、入門コースを受けなおした。それからは、自分のペースでコースを選び、
マウスを握って、長い付き合いになっている。
インターネットの講座で、ホームページを作った時はわくわくした。
「リンクして」なんて言葉も初めて使って、友人と顔を見合わせた。アメリカの
田舎に留学していた甥に知らせたら、「見ましたよ」と言われ得意になった。
得意ついでに、ブログも立ち上げた。ホームページと違って、こちらは手軽に
アップできる。日々の暮らしを、小さな文章とデジカメの写真で公開しながら、
今も続けている。
私は、写真は向かなかった。絞りや、シャッタースピードがどうのという事が苦
手で、写真のコースには入らなかった。だからブログのアップは文章が多い。
その点、写真をやっている人達は、思いっきり画像で語っている。
ブログという一つの入口から、写真と文章の、2つの出口に分かれて出てきた
ような、そんな風に感じた帰り道だった。
課題 【入口・出口】