エッセイ 秋色 課題【未熟・成熟・落果・枯れる】 2013・12・27
11月初めの連休、車山高原に行った。
まだ秋の観光シーズンかと思っていたら、10月いっぱいで終わり、これからはスキーシーズンに入るという。
土産物店のシャッターも下りて、季節の変わり目を感じた。
荷物をホテルに預け、どこを観たらよいか相談すると、観光地を繋ぐバスや、一部のロープウエーも止まっている。
タクシーを呼ぶには、茅野から上がってくるので時間と料金がかかると言う。
若主人がコースを考えてくれ、八島が原湿地から歩き始めて車山肩に、そして車山山頂からロープウエーで下って
きたらと提案してくれた。
ただ、八島が原までのバスは止まっているので送ってくれると言う、甘えた。
草原の草は枯れ、ベージュ色の風景がどこまでも続く。
私は40年以上前に2度、八島が原湿地と車山に来たことがある。
あの頃ニッコウキスゲの花を干して、土産用に売っていたと言うと、とんでもないと言う口調で、今は自然保護でそん
な事はしていなし草原の中も入れないと言う、時代だなと思った。
八島が原湿地は思い出の中にあったものとは違っていた。
冬に近い湿地帯、長く伸びた草は倒れ、苔類も枯れて、一面こげ茶色の風景が広がっている。
湿地帯から車山肩に抜ける山道は、石ころだらけの急勾配だった。
何度も小休止し、周りの景色を眺めると、麓のカラマツ林は金色に、遠くの稜線は秋色にそまっている。
今回、訪ねたいところがあった。
車山肩にコロボックルという山小屋がある。
草原の真ん中にぽつんと建つ石で囲った洒落た山小屋で、入口に車輪が飾ってあり、その前で写した写真がある。
コロボックルはあったが、あの時の面影はなかった。
家の周りを風よけの高い木が囲み、建て増しし、特徴のない民宿のようになっていた。
香りのいいコーヒーは嬉しかった。
若い日、コロボックルを目指して、ニッコウキスゲの咲く草原を駆けた日が懐かしかった。
つつじのつぶやき・・・・ あの頃はよかった!
7年前の秋のお話です。