先生の講評・・・Mちゃんの外交的な性格が表現されている。
最後の行、祭りのあとの感じがいい。
エッセイ 台風(四)課題【離婚・不倫】 2018・10・26
Mちゃんには沢山の友達がいた。
特にゴルフ用品を売る会社に勤めた時の人は、少し年上の、
明るい声で話す都会的なセンスの人が多かった。
その一人Tさんのご主人は、商社に勤めていた。
海外勤務が多く、何年か一緒に外国に行っていたが、
小さな子供達と一足先に帰ってきた。
赴任先では、奥様達の娯楽が麻雀だったそうだ。
帰国してからも、その流れで、ご主人の居ないTさんの家で麻雀をしていた。
私とMちゃんは独身だったから、時間に縛られないので
人数合わせに誘われた。
Tさんは、土曜日にご馳走を作って待っている。
私とMちゃんはそれに釣られた気がする。
私とMちゃんは結婚が遅かった。
その頃を振り返ってみると、麻雀が楽しく、それをする友達を失う生活は
考えたくなかったからかもしれない。
麻雀ばっかりしていた二人は、三十代になっていた。
気が付くと周りはどんどん結婚していき、何となく取り残された。
夫とは七年付きあっていたが、タイミングを逃していた。
夫の会社も麻雀が流行っていたらしくて、会うとその話題が多かった。
秋風が吹く頃、私は何となく寂しくなったのかもしれない。
これからのことを考えた。もし子供を持つことができるものなら結婚を
しなければいけないと思った。
夫も同じ職場の同期入社三人のうち、二人がその秋に結婚をするのを
知り、あっさりと意見が合った。
すぐに式場を探した。
同期の人とかち合わないよう探したが、結局十月中に三人が式を挙げた。
私達が十月三十一日、最後の式だった。
出席した友人達から、スピーチの中で、何も三人競争しなくてもと
さんざん言われた。
又、麻雀ばかりしていたとからかわれて、祝辞にこんな言葉があった。
― 秋の日に リーチ一発つもったら
妻と分け合う喜びの味 ―
Mちゃんに結婚をするというと、「そうだよね、少し遅かったよね」と言った。