エッセイ 里山を歩く(サシバ) 【自由課題・季節】 2017年10月13日
月に一度、地元のグループと狭山丘陵の里山を歩いている。
一応ガイドブックに沿ってはいるが、道草や回り道が多い。
長年続いている仲間だから、顔を合わせるだけでも嬉しい。
面白いのはそれぞれのはっきりした年齢を知らないことだ。
初めからお幾つですか? などと野暮なことは聞かなかった。
見た目や雰囲気で「一つ違い」の姉か、妹になる。十歳も離れていても「一つ違いのお姉さん」で通る。
九月は都バスに乗って、旧青梅街道を箱根ヶ崎に近い瑞穂第一小学校前で降りた。
住宅街を抜けて、大日山遊歩道を上る。
ここは道の両端から鬱蒼と木が覆いかぶさり、見上げるような急な坂道だ。
ゆっくり息を詰めて登る。
途中に牛を飼っている家があり、懐かしい匂いに小さく「うわー」と顔を見合わせる。
登りきった先に、古い墓石の墓地が広がる。
同じ名前が多いのは土地の人が多いからだろう。
昔は舗装もされていない坂道で、葬列は大変だったのではと思う。
墓地を後に出会いの辻から六道山公園の展望台に行く。
狭山丘陵を空から見ると平地の中の緑の孤島の様だと言うが、成程、五階建ての展望台からの眺めは、山の上とは違った大きな森の真ん中にいるよう様な感じだ。
九月から十月は鷹の仲間「サシバの渡り」が見られる。
晴れた日、サシバが群れを作って南に向かって渡っていく。
サシバは谷戸や水田などに居るカエルやヘビなどを捕って子育てをする里山の鳥だ。
子育てを終わったファミリーが、「今日、出発するよ」なんて何かの合図をし合って、ここに集合し、飛び立つのかと思うと、「元気でね」と声をかけてやりたい。
展望台は、大きな望遠鏡やカメラを固定した人たちが大勢いた。
曇った日だったからか、今日は、まだ渡りはないようだと言葉を交わしていた。
先生の講評 ・・・・・ サシバ、残念だった。これが見られれば文の核になった。
「飛ぶ」イメージのよりどころだから。
でも、「歩く」も地道でいい。