エッセイ 汽笛を聞いた 課題【声・音】 2010・5・14
連休、青空、予定が無い。
夫が「何処か行きたい」と言う。
何日か前のテレビで、港を出る船の汽笛を聞いた時、「あ—懐かしいね」と、話した事がヒントになって、「そうだ横浜に行こうよ」と、早い決断をする。
みなとみらい線の終点、元町中華街で降り、改札口前のエレベーターで昇る。
ドアが開いたら、もうそこは外人墓地の直ぐ傍だ。
去年の秋、市のサークルで神奈川文学館に行った時、あの急な坂道を登らなくても、山手に行けてしまう便利さに驚いたが、夫はまだその事を知らない。
ワクワクしながら、エレベータを降りた、ビルの屋上が公園出口になっている。
夫は、思ったとおり、「え‐、すげえ」と満面の笑みで表に出て、大きく腕を広げた。
バブルがそろそろ終わりかけた頃、夫の転勤で横浜の本牧に住んでいた。
休日になると、港が見える丘公園や外人墓地まで、よく散歩をした。
山手の外人墓地へ行くには、ワシン坂という急な坂道を、かなり登っていくので、今度の地下鉄の終点からのコースは本当に楽だ。
山手の深い緑と、真っ青な空が眩しい。
古い石畳をゆっくりと楽しみながら、外人墓地から港が見える丘公園に行く。
遠くにベイブリッチが見える。
目の下には、横浜港が広がり、幾つもの倉庫が並び、その間を縫うように、高速道路を、大型のトレーラーがひっきりなしに走っている。
立て込んだ港に、大きな白い船が見えた。
汽笛を聞いたような気がした。が、したのだろうか。
船を見ると条件反射で聞いた気がするのは不思議だ。
本牧に住んでいた頃、近くのお寺に、除夜の鐘を撞きにいった。
鐘の音が響いたその後、港から、沢山の汽笛とドラの音が聞こえてきた。
新年を祝う汽笛だと、近くに居た人が教えてくれた。