つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ 年末の旅行

2018-11-28 10:22:45 | エッセイ

エッセイ 年末の旅行(1)  課題【恋・愛・憎】 2018年㋁23日

夫は昨年、「もう一度、青森の蔦温泉に行きたい」、「奈良の大仏様を観たい」と二つのことを言い始めた。
蔦温泉は若い頃に行き、温泉では一番だと言っていた。
仕事の都合で休みが取れる時が大抵夏休みだった。
私は夏に温泉は乗り気になれなかったが、あれほど言うのだからと、今年は早い内に宿の予約をし、切符の手配をした。

青森は遠いと思い込んでいたが、新幹線で行けば思ったほどのことはなかった。
二泊し、中日は奥入瀬、十和田湖巡りをしたが、シーズンを外れた観光地は人影もまばらだった。

温泉は悪くなかった。いや今、帰ってからの感想はとても良かったと心に残る。
木の浴槽は広く、天井が二階以上あるほど高い。澄んださらっとした水質は期待以上だった。
私は温泉に行っても宿の待遇などが良ければいいと考えているほうだが、行けるものなら、もう一度このお湯に浸かりたいと思う。

今年の目玉の旅行をしたから、「奈良」は気持ちから外れた。
が、夫はあきらめていなかった。
秋の行楽シーズンのニュースが流れると「奈良の大仏様」を言い出す。
その度に「一人で行って来たら」と言ってはみたが、一人では行かないと言う。

昔は二人で旅に出る、なんて本当に夢だったのに、いつの間にかワクワク感がなくなった。
何なのだろう。いつか来る別れに未練を残さないようにとの神様の仕業だろうか。
よく思春期の娘が父親を嫌うのは、潜在的に近親相姦を避けるためだという。
又組み合わせに首をかしげるようなカップルが惹かれあうのは、よい子孫を残すためと聞いたことがある。

12月に入って、私は内視鏡検査をを受け体調をくずした。
おろそかな家事をし、とげのある言葉も使った。
夫は何も言わない。

自己嫌悪になった。
今朝も寒い中、会社に行った。
感謝が足りない。
このまま年を越すのは嫌だ。
今年中に奈良に行かなければと思った。

 先生の講評・・・下線部分で、夫婦二人の時をかみしめている。
           甘く、苦い。これがキャリアの味。

 つつじのつぶやき・・・ 昨年の大きな旅行でした。
                もう一年が・・・早いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エッセイ モーニングコーヒー

2018-11-20 16:03:00 | エッセイ

 エッセイ モーニングコーヒー 課題【自由課題】 2017.7.14

私は小さいときから、怖いものや気持ちの悪い話を聞くと夜中に夢を見、自分の声で目を覚ますことがある。
だから寝る前は、テレビの怖い番組や、むごたらしいニュースは見ないようにしている。

夫は、ミステリーやサスペンスドラマが好きだ。
以前は残酷な場面は眼をそらして一緒に見てはいたが、録画が出来る様になったら毎日見るので、付きあいきれなくなった。

家にはテレビが一台しか無い。
夫が見始めると、それを見たくない私は居場所がなくなる。
出来るならもう一台買えばいいのだが、リビングの大きなテレビを占領したい。

「今日は何人の死体を見たの? もっとおだやかな、二人で見られる番組がいい」と言うと、「分かった」と言いながら、少しの間は違う番組にに変える。
だがコマーシャルの間、あちこちチャンネルを回し、イライラしているのが分かる。
長い年月、自分の好みのものがきまってくる。
お互いに我慢しあっていると、口をきくのがぞんざいになり会話も少なくなった。

ぎくしゃくした時は、外に出るのがいい。
子供達がいた頃、これで何度か救われた。
夫は子供を叱って気持ちが収まらない、子供も叱られたことで悲しい気持ちが納められない。
しばらくして、お互いが「もう、いいか」と言う時分に、「散歩でもして来たら」とすすめると、親子ともすっきりした顔で帰ってくる。

これを思い出したわけではないが、休日の朝、散歩に誘った。
新聞を何度も読み返していたが、しぶしぶ身支度をした。
スニーカーに履き替え外に出ると気持ちが変わったのか、「モーニングコーヒーを飲もうよ」と、お金を取りに戻った。

散歩コースから離れるが、最近モーニングコーヒーを売りにしている喫茶店が出来た。
朝早いせいかお客さんが少ない。
大きな空間に二人っきり、仲直りと言うほど何かあった訳でもないが、小さな会話が生まれた。
若いときはいつも同じものを見て一緒に居たかったあの気持ちが、微かに思い出された。

今、自我が強くなって、譲れないことが多くなった。
自由にテレビのチャンネルも回したい。

 先生の講評・・・・夫婦間の感情の変化が下線の部分に表現されてよい。
              日常の具体描写があきさせないで読ませる。
            事物に即して書いているからだろう。

 つつじのつぶやき・・・前頁の「ふくれっ面」と不仲のようなエッセイですね。
                  でも、今、別に何にも変わらない穏やかな日を過ごしています。


 

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エッセイ ふくれっ面

2018-11-10 19:16:27 | エッセイ

 エッセイ ふくれっ面  課題 【泣く・笑う・いつもの顔】2016年10月28日

 朝、寝起きが悪い。小さなことが気になる。
夫は仕事がらみの案内状を、行く気がないのにとって置く。
開けていない封書がテーブルや、座ろうとした椅子に置いてあるとイライラする。

「これ、もう捨ててもいい?」
「まだいいじゃないか、どこに置いても」。

テレビで日課の経済ニュースを見る。
私も前は一緒に見ていたが、最近つまらなくなった

新聞を読み始めたから、「他にチャンネルを回していい」と聞くと、「まだ見ている」と言う。
この辺で我慢のおが切れそうになる。
多分頬がプーと膨れている筈だ。
これから会社に行って働いてくれる人だから、きちんと送り出そうと心掛けている、だから言いたいことを我慢する。

ごみを整理するふりをして離れた。
乗っていく自転車を通りに出し、靴を揃える。
この後は「行ってらっしゃい」と送り出せば朝の役目は終わる。

今朝はもう顔を合わせたくない、外の掃除を始める。
植木に絡んだ落ち葉をゆっくりとったり、草を抜いたりしていると此方に寄ってきて「行ってきます」と言う。
顔を見ないで、小さく「行ってらっしゃい」と言った。

出かけた後を見ると、食器は流しに、椅子もきちんと戻している。多少私の不機嫌に気付いたようだ。

昼、電話があった。
「これから名古屋に行ってくる、少し遅くなる」と言う。
予定では明日の筈だ。お金は持っているのだろうか。
聞くと「少しあるけど泊まりになったらきつい」と言う。思わず「届けようか」と言った。
「そうしてくれるとありがたい」。
駅の改札口で待ち合わせをする。
急いで身支度をしてバスに乗った。

改札口で待っていた夫はにやりとした。負けの笑いだ。
私はすっかり、今朝のふくれっ面のけりがついた。

  先生の講評・・・     朝の出勤前の夫婦の一瞬、目に見えるようだ。
                 事物だけではなく心理も微細に描いている。

  つつじのつぶやき・・・ 2年前の作品です。
                 相変わらずこんな朝を過ごしています。

 

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