ふくれっ面 課題【泣く・笑う・いつもの顔】 2016.10.26
先生の講評
朝の出勤前の夫婦の一瞬、目に見えるようだ。
事柄だけではなく心理も微細に描いている。
つつじのつぶやき
何年たっても同じような毎日です。
朝、寝起きが悪い。小さなことが気になる。
しばらく前から、開けていない封書がテーブルや、
座ろうとした椅子に置いてありイライラする。
「これ、もう捨ててもいい?」
「まだいいじゃないか、どこに置いても」
仕事がらみの案内状を、行く気がないのにとって置く。
夫はテレビで、経済ニュースを見始めた。
私も前は一緒に見ていたが、最近つまらない。
元々あまり好きじゃなかった。
新聞を読み始めたから、「他にチャンネルを回していい」
と聞くと、「まだ見ている」と言う。
この辺で、我慢のおが切れそうになる。
多分、頬がプーと膨れている筈だ。
これから会社に行って働いてくれる人だから、
きちんと送り出そうと心がけているので、
言いたいことを我慢する。
ゴミを整理するふりをして、離れた。
自転車を通りに出し、靴を揃える。
この後は「行ってらっしゃい」と送り出せば、朝の役目は終わる。
今朝はもう顔を合わせたくない、外の掃除を始める。
植木に絡んだ落ち葉をゆっくり取っていると、
此方に寄ってきて「行ってきます」と言う。
植木に絡んだ落ち葉をゆっくり取っていると、
此方に寄ってきて「行ってきます」と言う。
顔を見ないで小さく「行ってらっしゃい」といった。
出掛けた後を見ると、食器は流しに、椅子もきちんと戻している。
出掛けた後を見ると、食器は流しに、椅子もきちんと戻している。
多少私の不機嫌に気付いたようだ。
昼、電話があった。
「これから名古屋に行ってくる、少し遅くなる」と言う。
予定では明日の筈だ、お金は持っているのだろうか。
聞くと「少しあるけど泊まりになったらきつい」と言う。
思わず「届けようか」と言った。
「そうしてくれるとありがたい」。
駅の改札口で待ち合わせをする。
急いで身支度をしてバスに乗った。
改札口で待っていた夫はにやりとした、負けの笑いだ。
私はすっかり、今朝のふくれっ面のけりがついた。