エッセイ モーニングコーヒー 課題【自由課題】 2017.7.14
私は小さいときから、怖いものや気持ちの悪い話を聞くと夜中に夢を見、自分の声で目を覚ますことがある。
だから寝る前は、テレビの怖い番組や、むごたらしいニュースは見ないようにしている。
夫は、ミステリーやサスペンスドラマが好きだ。
以前は残酷な場面は眼をそらして一緒に見てはいたが、録画が出来る様になったら毎日見るので、付きあいきれなくなった。
家にはテレビが一台しか無い。
夫が見始めると、それを見たくない私は居場所がなくなる。
出来るならもう一台買えばいいのだが、リビングの大きなテレビを占領したい。
「今日は何人の死体を見たの? もっとおだやかな、二人で見られる番組がいい」と言うと、「分かった」と言いながら、少しの間は違う番組にに変える。
だがコマーシャルの間、あちこちチャンネルを回し、イライラしているのが分かる。
長い年月、自分の好みのものがきまってくる。
お互いに我慢しあっていると、口をきくのがぞんざいになり会話も少なくなった。
ぎくしゃくした時は、外に出るのがいい。
子供達がいた頃、これで何度か救われた。
夫は子供を叱って気持ちが収まらない、子供も叱られたことで悲しい気持ちが納められない。
しばらくして、お互いが「もう、いいか」と言う時分に、「散歩でもして来たら」とすすめると、親子ともすっきりした顔で帰ってくる。
これを思い出したわけではないが、休日の朝、散歩に誘った。
新聞を何度も読み返していたが、しぶしぶ身支度をした。
スニーカーに履き替え外に出ると気持ちが変わったのか、「モーニングコーヒーを飲もうよ」と、お金を取りに戻った。
散歩コースから離れるが、最近モーニングコーヒーを売りにしている喫茶店が出来た。
朝早いせいかお客さんが少ない。
大きな空間に二人っきり、仲直りと言うほど何かあった訳でもないが、小さな会話が生まれた。
若いときはいつも同じものを見て一緒に居たかったあの気持ちが、微かに思い出された。
今、自我が強くなって、譲れないことが多くなった。
自由にテレビのチャンネルも回したい。
先生の講評・・・・夫婦間の感情の変化が下線の部分に表現されてよい。
日常の具体描写があきさせないで読ませる。
事物に即して書いているからだろう。
つつじのつぶやき・・・前頁の「ふくれっ面」と不仲のようなエッセイですね。
でも、今、別に何にも変わらない穏やかな日を過ごしています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます