トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

加悦鉄道大江山鉱山専用線跡を走る

2015年09月05日 | 日記
前回(2015年8月23日の日記)、旧加悦(かや)鉄道の線路跡に整備されたサイクリングロードである、加悦岩滝自転車道(京都府道803号)を丹後山田駅跡から加悦駅跡まで走りました。この日はさらに、加悦駅跡から大江山鉱山駅までの2,8kmを走り、鉱山駅跡に整備されている加悦SL広場を訪ねることにしていました。

旧加悦鉄道の加悦駅です。旧駅舎を180度回転させ前後を反対にして、現在地まで移動させてきました。このブログを書いているとき、メディアでは弘前城天守閣の移動のようすが報道されていましたが、木造の建物ならではの技術で、加悦駅も同じようにしてここまで移動してきました。

旧加悦駅跡に建つ与謝野町加悦庁舎です。その前の「与謝野町加悦庁舎」と書かれた看板のあるあたりに、かつて加悦駅舎がありました。昭和17(1942)年10月、専用鉄道岩滝線が開通して、大江山鉱山からニッケルの精錬工場である岩滝工場(現、日本冶金工業大江山製造所)まで、加悦鉄道によるニッケル鉱石の一貫輸送体制ができ上がりました。それに伴い、11月に加悦鉄道の構内に転車台が設置されました。「宮地鉄工所製 二十米下路式 手同式」と書かれており、地方鉄道としては最大級のものといわれています。加悦庁舎の中には、転車台跡の丸い土地がそのまま「円形広場」として保存されており、庁舎の裏には転車台の説明標がありました。

加悦駅跡にあった転車台の説明標です。庁舎の中の黄色く見えているところが、転車台跡に残された円形広場です。この転車台は平成8(1996)年、旧大江山鉱山駅構内につくられた加悦SL広場に移され、現在もかつての姿を伝えてくれています。サイクリングロードは、ここから庁舎を左に迂回して、庁舎の向こう側に出ます。

これは、自転車道を迂回した先から転車台跡のある加悦庁舎を撮影しました。庁舎は、転車台の形に丸みを帯びていることに気がつきました。

この日のコースをスタートしました。目の前に大江山連峰を見ながら、線路跡のサイクリングロードをレンタサイクルで走ります。右にある勾配標のように、このあたりはほぼ平坦な道でした。

稲穂が見え始めた水田の中を走ります。快適なサイクリングです。

10分ぐらい単調な道が続いた後に、橋を渡ります。旧大江山鉱山専用線の滝川橋梁跡に架かる橋でした。長さ23,6mだったといわれています。

旧滝川橋梁の名残を捜していると、すぐに見つかりました。橋桁がありました。赤い塗装がなされていましたが、かつての鉄道に架かっていた橋桁ではないかと思いました。

反対の左側からも撮影しました。加悦SL広場の見学をすませた後、旧加悦駅舎の鉄道資料館のスタッフの方にこの写真を見ていただくと、「ああ、これは橋桁が残っていますね」とのことでした。旧大江山鉱山専用線の唯一の名残です。このあたりから勾配が急になりました。

進行方向の右側に駅跡標がありました。「桜内駅跡」と書かれています。駅跡標には、「加悦1,4km、大江山鉱山1,1km」と書かれていました。加悦鉄道は昭和60(1985)年に廃止されましたが、それより以前、この大江山鉱山駅に向かう専用鉄道は昭和20(1945)年に休止線となっていました。昭和23(1948)年には加悦駅と大江山鉱山駅の間は「地方鉄道」としての旅客営業免許を受けて、翌年の昭和24(1949)年から営業運転を開始する計画になっていたそうです。しかし、乗客の利用に期待がもてないということで、計画倒れで、桜内駅は、結局、一度も営業されることはありませんでした。「幻の駅」に終わった桜内駅でした。

桜内駅跡標に載っていた、ニッケル鉱を運搬する列車の写真です。昭和17(1942)年に撮影された加悦行きの列車で、牽引している蒸気機関車は1088号機だそうです。どうやら、後ろ向きに運転しているようです。説明には、幻の駅、桜内駅は「写真の後ろ側、100メートルのところに設置されることになっていた」と書かれていました。

幻の駅、桜内駅にあった勾配表です。ちょっと見にくいのですが、この駅までが10,0、この先が15,2と書かれています。ここから先は、1000mで15,2m上っていく勾配になっていることがわかります。帰りもこの道を通って帰りましたが、下り道を、一度もペダルを踏むことなく走り続けることができました。

幻の駅、桜内駅跡を出たところにあった距離標です。加悦SL広場のある大江山鉱山駅跡まで、1kmと書かれています。さほど急坂とは思わなかったのですが、自転車のペダルが少し重くなった気がしました。

大江山鉱山駅跡が近づいてきました。かなりの急坂になりました。野田川橋梁(長さ19m)跡にかかる橋を渡ります。加悦鉄道が野田川を渡るのはこれで2度目になります。前回、丹波四辻駅を過ぎたところで渡ったのを思い出しました。

橋桁が残っていないかと覗いてみましたが、橋桁も橋台も新しいものが使われていました。橋上にあった勾配表です。ここから大江山鉱山駅方面は28,0と表示されていました。さらに急坂になりました。

工場と倉庫が見えてきました。かつては、この少し先の左側に乗降プラットホームがあったようです。そして、プラットホームの先で少し右にカーブして大江山鉱山駅の鉱石積込場に入っていっておりました。一方、サイクリングロードの方はこの先で左カーブになります。

サイクリングロードの終点です。右側にあった小高い丘の上に、加悦SL広場があります。かつての大江山鉱山駅の跡、広い敷地に車両が展示されています。目の前を左右に延びる道路を、右方向に進むと加悦SL広場の入口に着きます。

100mぐらい進むと加悦SL広場の入口です。橋梁をかたどった門には2両の客車を牽引するSLの姿がありました。

前回から引き続き、旧加悦鉄道加悦駅から大江山鉱山駅までの2,5kmを走りました。大江山鉱山跡に向かう上りの道でした。加悦鉄道の跡地はきれいに整備されていてサイクリングロードとしてはすこぶる快適な道でした。反面、加悦鉄道時代の面影はほとんどなく、やや残念な気もしました。私は、この後、加悦SL広場でSLや車両の見学を楽しむことにしていました。暑い中でしたが、天気もよくて快適な旅になりました。




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