局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

家宝にしまっす

2009-11-18 21:59:15 | 日々の生活
ジムでよく顔を合わせる80歳くらいのオバサマがいる。
会えば会釈くらいするのだけど ある時

「あなた 髪のタオルの巻き方がとても上手でいらっしゃるわ どうやって巻くのか教えてくださる?」と声をかけてきたことをきっかけに言葉を交わすようになった。
そんな特別な巻き方をしているわけじゃないのだったが 一応こうやってますが・・・と教えてあげた。

その時

「ワタクシね 職業病で腱鞘炎を繰り返しましたのでね 厚いタオルを扱ったりするのが苦手なの」とおっしゃる。
そう言われたら
「何をなさってなんですか?」と聞くじゃないか

そのオバサマは蒔絵師であった。 

蒔絵ってのは Wikipediaによれば

漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法である。金属の薄板を定着させる平文(ひょうもん)(または平脱/へいだつ)や漆器表面に溝を彫って金銀を埋め込む沈金、夜光貝、アワビ貝などを文様の形に切り透かしたものを貼ったり埋め込んだりする「螺鈿」(らでん)とは区別される。

だそうです。もちろん見たことはあるがはっきり知識はなかった。何やらとても七面倒な過程を経て作られるものらしいのであります。

そのオバサマはもう引退してしまったが、お弟子さんもいて、O越の伝統工芸展や日展などにも作品が飾られるような方だったらしい。

私はこういった伝統工芸品は好きだし、「へ~ すごいですね~ 私もちょっとばかり絵付けをするので興味があります。作品を見せていただきたいわ~」なんて言ったところ

「あら、このジムでそう言ってくれた方は初めてなのよ 嬉しいわ~ ホントにお見せしていいのかしら?」

「あ、ぜひお願いします。絵付けの参考にもさせていただきます」

なんて言ったところ オバサマ、まず自分が選ばれた展覧会や個展の写真や図録を持ってきて貸してくれた。



 

すばらしい・・・ 見ただけでどれだけ手が込んでるのは窺いしれます。

個展の作品ではブローチやペンダントヘッドなどの小物もあり 即売会の写真には値段がついていた(小さくてもいいお値段であった)

写真をお返しする時に、素直にすばらしさをたたえて 技法の事を聞いた。大事な写真を貸していただいたお礼のつもりで若冲の一筆箋も添えましたさ。
嬉しそうに解説してくださったオバサマ。
その時 何の気なしに 「あの花柄のブローチもいいですね。帯留め替わりにしたらステキでしょうね」 なんて言ってしまった。正直に言えばブローチとして使うのには渋すぎるけど着物に合わせるにはステキだろうな と思って。
そうしたら
「あら、あなたお着物御召しになるの?」 などと聞かれ
「はい よく着てます」なんて答えてしまった。

そして昨日、ジムでエアロビが終わってシャワーを浴びて髪を乾かしていたとき
「局さん」と彼女から声をかけられた。「ちょっとこちらに」

ソファに呼ばれると オバサマ 急に箱を取り出して

「あなた かんざしと帯留め どちらがいい? 差し上げるわ」・・・・

ひえ~~~

「あなたがお好きだっておっしゃってた花柄はもう弟子たちにあげちゃって無いのよ。でもワタクシは本来線を描くのが得意なの これでよかったらぜひ使ってくださいな」

「そんな~ こんな貴重なものいただけません」

「いいのよ。ワタクシが持ってても押入れに入れっぱなしで人目にふれないし、ワタクシは子供もいないでしょ。死んだらガラクタになって捨てられちゃうのがオチですから。使ってくださる方に差し上げられたら嬉しいの。ぜひお使いになって~ それでどちらがいいかしら?」

どちらも鼈甲に細工してあるものだった。
帯留めは全体に金がかけてあり それに描いてあって中央にルビーが填め込んであった。見るからに高そうだけど こんな帯留めを使ったらイヤミっぽい金満夫人に見えてしまいそうである。

かんざしは大きさもちょうどよさそうだし、繊細にちらした金粉に線描きがしてあり、シンプルでありながら上品である。

「じゃ・・・ お言葉に甘えて・・・ かんざしをいただいていいですか?」
「いいわよ、いいわよ。あなたはおぐしが長いからちょうどよさそうね。今度これを使ってお写真とって私に見せてね」

お安い御用である。



 

オットに見せたらやはり「いいのか~? こんな高そうなものもらっちゃって」と言われてしまった。
何をお返ししようかなあ・・・

ともかく家宝にします。 人目にさらします!(とりあえずブログで皆さんにお見せします)
こういうワザは後々まで残したいですよね。





コメント (6)
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