tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今年もメジロの巣を発見

2017年11月11日 20時24分30秒 | 環境
今年もメジロの巣を発見
 先日から玄関わきのハナミズキの葉が落ちて、毎日掃くのが大変です。掃いた葉は、ポリ袋に纏めて詰め、指定された日に「燃やせるゴミ」に出します。

 昨日は木枯らし何号かが吹いて葉がほとんど落ちました。今朝は好天だったので、早速早朝に、落ち葉を掃きに出て、多分今年もと思いつつ、葉の落ちたハナミズキの枝を見上げますと、今年もありました、ありました。この春に作られ、雛の巣立ちという大役を果たした、今はもう主のいない「メジロの巣」です。
 下から見上げると



 こんな感じで、注意しないと見落としそうです。こちらは「多分あるはずだ」と思って見ますから、即発見です。

 
 落ち葉を掃き終えて、早速二階の窓から目の下にある巣の写真をとっておきました。毎年同じように丁寧に作ってありますが、場所は少しづつ違うようです。



 巣の作りが良く解るように、拡大しました。



  あれは、2012年ですから、もう5年前になりますが、「 この巣の主は?」を書いて、「多分メジロでしょう」と教えて頂いたのが始まりです。そのあと、昨年の8月「 やっぱロメジロの雛でした」で、巣立ったばかりのメジロの雛と対面、毎年巣作りをする主はメジロだという確証を得ました。そして昨年の秋も、葉が落ちたハナミズキの枝にメジロの巣を発見、毎年必ず我が家のハナミズキを巣作りの場として活用してくれる小鳥の営みを家内と共に喜んで、毎年、期待することになりました。

 という次第で、多分、今年も間違いなく巣はあるはずだと思っていました。今朝のメジロの巣の発見は、「当然あるはず」と思いながらも、やっぱり作っていてくれたんだと、何となく楽しくなる瞬間でした。

 二階の窓からも見ますと、いつも花の数が多くない我が家のハナミズキですが、この秋は割合蕾の数が多いようで、これは来春が楽しみだなと感じたりして、今朝は何となく気分の良い朝になりました。

ソフトパワーでの解決に期待

2017年11月10日 11時10分20秒 | 国際経済
ソフトパワーでの解決に期待
 米中トップ会談も終わりました。中国外交のしたたかさも世界に知れ渡ったようです。
 政経一体で、2500億ドル、28兆円の取引をまとめ、トランプ大統領も、対中貿易赤字を中国のせいにせず、これまでの大統領の責任にしたようです。

 「俺のようにやっていれば、こんな赤字にはならなかった」という説明が可能になるという事でしょうが、米中貿易収支が結果的のどれだけ改善するかは「?」のような気がします。もともとアメリカが稼ぎより余計に食べている国ゆえの赤字なのです。

 北朝鮮については、中国自身の事情(長い国境線を持っている)もあり、中国東北部に難民などの混乱を発生させないためにも、平穏な解決を望んでいるのでしょう。
 朝鮮戦争の時とは大違いですが、国民が豊かになり、その維持向上のために政府も保守的になるという事でしょうか。

 アメリカは、直接国境を接していないものの、北朝鮮のミサイルの開発次第で、ハプニングがないとは限らないので、トランプさんも内心は慎重なのでしょう。
 トランプさんは、これから、ベトナム、フィリピン訪問、アセアン、東南アジア諸国連合の会合にも出席という予定ですが、そうした席上でも、矢張り、軍事力による解決を回避したいという意見は強いでしょう。

 もともとが北朝鮮の核兵器開発という、軍事力の強化の欲求から発生した問題ですが、最終的には、核の抑止力(核兵器の使用は双方の破滅)の必然性という事は誰でも解っているのでしょうから。口先は別として、行動には慎重なはずです。

 アジアの多くの国は、今、経済発展に一生懸命で、豊かな国づくりに邁進しています。昔言われたような、戦争は好況を招くなどという事は、経済の国際化の中で、次第になくなってきているのです。

 トランプさんのアジア歴訪が、脅しや反発の連鎖の裏で、本当は、ソフトパワーによる解決がベストという意識の周知、一般化に役立ち、現実が(これはまさに北朝鮮次第ですが)ソフトパワーが、こうした紛争を解決するという、人類にとって最も好ましい方向に進むことを期待したいと思います。

拡大する経常収支黒字の活用を!

2017年11月09日 11時55分11秒 | 経済
拡大する経常収支黒字の活用を!
 昨11月8日、財務省は、平成29年上期の国際収支状況(速報)を発表しました。
 マスコミが報道するように、経常黒字は10.5兆円となり、平成19年、いざなぎ景気のピーク(平成12年上半期12兆円)には及びませんが、リーマンショック後では最大になりました。

 直感的には黒字が増えたのは良いことと感じます。しかし、確かに赤字よりはいいでしょうが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、あまり大きくなると問題もあります。

 経常収支というのは、日本(日本人・日本企業)が経済活動で稼いだ金額から、日本が使った金額を差し引いたものですから、家計で言えば、稼ぎから支出を差し引いた「使い残し」という事になります。

 もっと使えばいい生活ができるのに、という事も成り立ちますが、今の日本にとって、いろいろある問題の中で、重要なものの1つに、何か問題があると「安全通貨」とみられている円が買われ「円高」になるという事があります。

 円高で長い間苦労をした日本ですから、今、日銀も企業も、円高を最も恐れています。円高を招かないためにも、あまりに経常黒字が増えるのは問題でしょう。

 経常収支の中身を見ますと(平成29年上半期)
・貿易・サービス収支  +1.7兆円
・第一次所得収支    +9.7兆円
・第二次所得収支    -1.8兆円
となっています。

 トランプさんが「対日貿易赤字が大きい」と言いますが、貿易黒字より圧倒的に大きいのは第一次所得収支で、これは企業などが海外等から得ている利子や配当です。(第二次所得収支は外国への無償供与などで、赤字です)

 これを1年分にしますと黒字額は21兆円になり、日本のDP530兆円の4%になります。
 先ほど述べた、「もっと使えばいい生活ができるのに」という面から見れば、4%分良い生活ができるのに、使わないでいるという事です。

 第一次所得収支の黒字の太宗は、日本企業の資産の部に計上されているのでしょう。企業はそれをベースに経営計画を立てているのでしょうけれども、日本経済全体から見れば、「毎年巨額の使い残しを計上するのなら、何とか日本経済全体のために活用できないかという事になります。

 経常黒字が、企業、消費者、政府の3者によって巧く活用され、日本経済の活性化に役立てられれば、その成果は企業、家計、政府に還元されることになるでしょう。

 こういう事こそ、「経済財政諮問会議」などで、政府、労使が目的を明確に掲げ、じっくり話し合ってほしいものだと思います。

政権の成長率論争の不毛

2017年11月07日 21時58分09秒 | 経済
政権の成長率論争の不毛
 安倍政権が、政権を取ってから経済成長率が上がったと言い、旧民主党系からの反論が出ています。 しかし、経済の実態という立場からすれば、そんな論争は、どう見ても無意味のようです。

 実体経済というものは、自動車のように、ハンドルを切ればすぐにそれが結果に表れるといったものではありません。
 たとえて言えば、複雑な海流の中を航行する大型船のようなもので、舵を切っても、方向転換以はそれなりの時間がかかりますし、潮の流れに影響されて、効果が狙いと違う事も多々あるでしょう。

 日本経済が長期不況に陥ってたのは自民党政権の時です。基本的な原因は「プラザ合意」による1ドル=240円が120円になったことから始まります。
 プラザ合意は1985年の事で、大幅円高になって、製造業の空洞化が言われ、鉄鋼会社が温排水でウナギを飼ったり、製紙会社が廃棄物の中でミミズを養殖したりしました。

 しかし、その時の日本は、土地神話を背景に地価高騰による金融大盛況、株価暴騰といった状況にあり、経済が失速したのは1990-91年のバブル崩壊からでした。
 日本経済は、いわばその余熱で1997年まで何とか経済成長をつづけますが、1997年のGDP534兆円をピークに2002年の516兆円まで落ち込みます。

 この落ち込みの時の担当内閣は橋本、小渕、森、小泉内閣です。これは政権が悪いのではなくて、円高で日本が(現実には日本の企業が)コストも物価も世界一高くなり、その対応策として、徹底したコストカットをやらなければならなかった時期です。誰が総理になっても同じでしょう。

 2002年、日本経済、現実には日本企業はコスト調整を何とかやり切り、いくらかの利益が出るようになり「いざなぎ越え」という微弱な回復が2008年まで、6年続きました。
 この時は、小泉、安倍、福田、麻生の4内閣です。

 しかしこの時、すでにアメリカではサブプライムローン問題が起きていて、2008年秋のリーマンショックで、世界中の銀行のB/Sに大穴が空き、世界金融恐慌かと言われることになりました。

 この余波で円は1ドル=80円から75円まで円高になりこのままでは、日本経済破綻と言われたのが2011年まででしょう。
 この時期の政権担当は、民主党で、麻生、鳩山、菅、野田、内閣です。日本経済が最も苦しんだ時期です。日本のGDPは2011年に、491兆円とボトムを付けます。

 アメリカではバーナンキさんが「金融恐慌は金融緩和で防げる」という持論を駆使し、「異次元金融緩和」で、何とか金融恐慌を回避、2011年-12年には、その目鼻がつき始める(その後遺症は今もありますが)所まで来ました。
 日本経済も2012年には漸く先が見え始め、一安心でしたが、その2012年末発足したのが第二次安倍内閣です。

 こうしてみますと、実体経済の大きなうねりの中で、その時どきの内閣は、それに応じた政策をとっているのでしょうが、その結果は、世界経済環境次第という面もあり、効果が出るのは何年か後だったりで、1代・2代後の内閣がその結果に苦しんだり喜んだりするといったことが繰り返されているようです。

 政府が何かやれば、すぐその効果が出るなどと考えて、成果を誇る論争をするなという、実体経済の現実を洞察しない不毛な論議は願い下げです。

トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが

2017年11月06日 13時44分45秒 | 国際経済
トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが
 トランプ・安倍蜜月を見せつけているようなトランプ大統領の、初めての日本訪問ですが、日本との貿易につては、やはりアメリカは赤字は容認できないようで、厳しい意見を持っているようです。

 トランプ大統領は、今日、日米の企業経営者の前で演説し、「日本との貿易は公正ではない」と述べたようです。
 確かに、二国間の貿易収支で見れば、日本は黒字、アメリカは赤字で、しかも、対中国の赤字に次いで2番目に大きい赤字だというのも間違いではありません。
 しかし、何か、単純に、アメリカが赤字だから「公正ではない」と言っているように聞こえるのですが、気のせいでしょうか。

 最大の問題である自動車については、アメリカは輸入車に乗用2.5%、トラック25%の関税を課しているとのことですが、日本は関税ゼロです。
 私もアメ車に乗ったことはありませんが、理由は買いたくなる車がないからです。これは、不公正なことではなく、単なる消費者の合理的購買行動の結果でしょう。

 以前から歴代大統領が、「バイ・アメリカン」と言っても、アメリカ人も日本車を買うのですから、問題はアメリカの自動車メーカーにあるのでしょう。
 日本の2輪車は、世界を制覇していますが、日本でも、ハーレー・ダビッドソンの愛好者は沢山いるのです。

 歴史的に見れば、戦後長い間、日本は景気が良くなると輸入が増えて、国際収支が赤字になり、その都度引き締め政策をとって不況になっていました。
 次第に日本の製品が良くなり、日米繊維交渉、鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉などが起き、何とか話し合いをつけてきましたが、結局アメリカの赤字は消えず、ドルは金との兌換をやめ、変動相場制になりました。

 それでもアメリカの赤字は消えず、アメリカは、G5を主導して、「プラザ合意」で日本が大幅な円高になるようにしました。お蔭で日本経済は20年以上苦労しました。
 しかし、未だアメリアの赤字は消えません。

 これは日本のせいではなく、アメリカ自体に問題があるからでしょう。アメリカの赤字の原因は大きく2つで、1つは国際競争力低下、もう1つは覇権国のコストでしょう。
 トランプさんは、覇権国のコストを下げようと、「内向き政策(アメリカ・ファースト)」を掲げて当選しました。
 
 しかし、事はそう簡単ではないようです。競争力はそう簡単には上がりませんし、中東や極東の紛争で、「アメリカ・ファースト」は、「アメリカが先に立ってそうした問題を解決する」というスローガンだと受け取られかねなくなっています。

 トランプ大統領は、アメリカは優れた武器を沢山持っていると言っていますが、日本は戦争をしない国ですから、そんなに武器を買うわけにもいかないでしょう。
 アメリカの牛肉ばかり食べるわけにもいきません。アメリカに進出した企業も、失敗すると巨大な損失を出して塗炭の苦に喘ぐことも少なくありません。

 問題解決は容易ではありません。
 その中で、日本は、拉致問題まで、アメリカのお世話になりそうな状況ですが、世話になればなるほど、アメリカにきちんと返礼をしなければならないでしょう。
 しかしこれは貿易交渉で解決できる問題でしょうか。何かちぐはぐな気がするのは私だけでしょうか。

トランプ大統領アジア歴訪の意味

2017年11月05日 11時18分47秒 | 国際政治
トランプ大統領アジア歴訪の意味
 トランプ大統領は、今日来日、先ず安倍総理とゴルフだそうですが、遊びに来るわけではありません。日本に続いて、韓国、中国、ベトナム、フィリピンと5か国歴訪の旅です。

 緊張する米朝関係、対中国の貿易赤字問題、などなど、アメリカ自身の問題の解決のためのアジア歴訪と言えないこともありませんが、この歴訪を、「アメリカのためだけにやっていると感じる人は少ないのではないでしょうか。

 日本では拉致被害者の家族に会い、韓国では、朝鮮半島の緊張緩和の方策を話し合い、中国とは貿易問題、対北朝鮮問題と同時に、南シナ海への中国の進出問題も絡むでしょう。そして、ベトナム、フィリピンでは、アジア地域の安定のための議論をし、APECの首脳会議に出席、ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議にも出席の予定です。

 もちろんこうした一連の行動は、アメリカの国益に役立つものでしょう。しかし、アジア諸国にとってみれば、アメリカが、アジアの安定にしっかりとコミットしてくれている、という理解になるのは自然でしょう。

 トランプ大統領は選挙戦の時は「アメリカは、もう世界の警察官はやらない」と言って、国内政策注力を標榜して当選したわけですが、いざ、アメリカの大統領として、現実の政策という事になりますと、否応なしに「覇権国の責任」という問題にコミットしなければならなくなるのでしょう。
 アフガン然り、イラン然り、シリア然りでしょう。

 現実に、世界は「警察官」を必要としているのです。誰かが警察官をやらなければならないのです。
 敢て具体的に言えば、アメリカがやるか、中国がやるか、はたまたロシアがやるかというような事になるのでしょう。
 世界の国々はどこを選ぶのでしょうか。

 現在の国家主権の世界では、矢張りこれまでのような「覇権国方式」が取られざるを得ないのでしょう。
 日本の歴史でいえば、幕藩体制のようなものです。そしてどの幕府も、いつかは力を失い、覇権の交代が起きるのです。

 明治維新で日本は、中央政府が出来、中央政府が警察システムを確立してきました。
 世界で、アメリカが戦後目指したのは、国連中心のシステムでしょう。国連本部をスイスのジュネーブからアメリカのニューヨーク移し、アメリカが国連を支えることを考えたのでしょう。

 国連も、PKOなどで、世界の警察官の役割を果たそうとしていますが、世界が一致して支えないと力は出ません。 警察と軍隊は、本質的に違うのです。
 将来の世界を考えれば、人類社会の安寧を実現するのは、軍隊ではなく警察でしょう。
 アメリカも迷いつつ覇権国の負担を背負わざるを得ないのでしょう。
 人類世界が安寧を得るのには、まだまだ長い時間がかかりそうです。

文化の日に:「争いの文化」と「競いの文化」

2017年11月03日 11時05分12秒 | 社会
文化の日に:「争いの文化」と「競いの文化」
 今日は「文化の日」です。11月3日は、昔から天気予報では「特異日」と言われ、何時も晴れるのだそうですが、今日も日本は広く秋晴れのようです。
 
 「文化」は人間に特有なもので、他の生物は大自然の法則の中で生きています。人間だけが、大自然に(ある程度)働きかける能力を持ち、それが「文化」の源でしょう。
 折角そうした能力を与えられながら、人間はそれをうまく使っているのでしょうか。

 国連機構の下で、文化を名に掲げる機関はユネスコ(国連教育科学文化機関)ですが、現状、アメリカが協力を拒んで機能不全に陥っています。

 人間が「文化」の名のもとに混乱を起こすというのは、何とも残念なことですが、その原因を考えてみますと、文化の源である人間の心の中に、2種類の文化があるように感じられてなりません。

 解釈は私なりのものですが、2種類というのは、「争いの文化」と「競いの文化」と考えています。
 人間の心の中には、「他人に勝ちたい」という「進歩・向上」への欲球があり、これが人間(人類)の進歩の原動力というのは、確かにそうでしょう。

 そこまではいいのですが、それが「争いの文化」の形をとると、他者を征服し、滅ぼして自分の優位を確立する、という行動に発展します。優位が確立してしまうと、そこで進歩が止まり、腐敗や堕落が起きることになります。
 一方「競いの文化」の形を取ると、オリンピックの様に、競い合うことで進歩・向上はいつまでも続きます。

 2つの文化の決定的な違いは、「争いの文化」は相手を認めない「征服の文化」であり、「競いの文化」は相手の存在を認める「共存・共生」の文化という事になるでしょう。
 
 人類の持つべき文化として、どちらが優れているかと言えば、当然「争い」ではなく、「競いの文化」という事になるはずです。相手を滅ぼしてしまったのでは元も子もありません。
 経済で言えば、「独占禁止法」などというのは、こうしたことが良く解っていて作られた法律でしょう。

 人間と自然の関係でも同じです。人間が自然を征服しよう、自然は自分のものだから徹底して収奪しようとした結果が、今の環境問題でしょう。
 今、自然は、異常気象という形で逆襲してきていますが、人間の中でも気づいた人たちは「自然との共生」を大切にしようとしています。

 自然に意思があるかどうかは別として、人間同士、国同士でも、文化のベースに「争いの文化」ではなく『競いの文化』を置かなければならないと、今年も「文化の日」を迎えて痛感するところです。

労働時間短縮、浮いた残業代の行く方は?

2017年11月02日 10時26分58秒 | 労働
労働時間短縮、浮いた残業代の行く方は?
 政府の働き方改革の2つの目玉「労働時間短縮」と「同一労働・同一賃金」について、このブログでは労働時間短縮大賛成、同一労働・同一賃金は日本企業・社会では出来ないと述べてきています。

 今回は労働時間短縮の問題です。この問題は当然、残業時間の削減が大きな課題になるわけですが、最近話題になっているのが、「成果が上がって、残業時間が減れば、企業としてはその分残業代のコストが浮く。さてそれをどうする」という問題です。
 サラーリーマン社会では「残業代が減ったら、生活どうする」という話も昔から言われていました。

 素早い企業では、すでに、残業代削減分は賃金に上乗せするといった解決策を打ち出しているところもあるようですが、これは大変結構な話です。

 残業減には色々な効果があります。まずは、従業員個人の自由時間が拡大することで、これが個人の人生・生き方にとっては最大の意義でしょう。

 企業社会から見れば、当然、経済的意義が問われるわけですが、
ケース1:従業員の意識が変わって、時間内に仕事を片付ける努力をすることになり、職場が引き締まった。
ケース2:仕事の量は変わらないので、納期が遅れたり、員数を増やさなければならなくなった。
ケース3:サービス残業が多かったので、残業が減ってもコストは変わらない。
などなどいろいろでしょう。

 ケース3は論外ですが、多くの企業では、ケース1とケース2が混在するという事になるのではないでしょうか。

 これを生産性の見地から見てみれば、ケース1は、従業員の意識が変わって、労働時間短縮分だけ生産性が上がったという事です。以前私の働いていた職場で、仲間達が作った「いろは歌留多」の中に、「う:うすのろの残業」というのがありましたが、古き良き時代の話です。

 ケース2は、生産性の上がりにくい職場でしょう。機械のスピードに関わる仕事、対個人の仕事(販売、サービスなど)、相手のペースに合わせなければならない仕事、などなどです。それでも生産性向上の余地は必ずあります。

 日本企業はこうしたもろもろの条件に合わせて、それなりの生産性向上の活動をしてきました。労働生産性と言えば「1人当たりの生産額(量)」ですが、厳密には、1人時間当たり」という事でしょう。

 伝統的に「5S」「「QCサークル」「カイゼン」「TQM」などなど、「7つ道具」や「動線管理」「職場レイアウト」「職務管理(仕事の与え方、こなし方)」・・・といったいろいろなものを使って、きめ細かい生産性向上努力を積み上げてきました。

 成功した企業、あまり成功できなかった企業、いろいろあったでしょう。どちらにしてもそれは「個々人の意識」「職場の在り方」「企業の経営姿勢」などによって決まるようです。

 畢竟、労働時間短縮は「生産性向上」によってはじめて可能になるのです。
 多くの職場が存在する企業において、労働時間短縮の目標のもとに生産性が上がり、残業時間が削減されたら、それは生産性向上の成果として、従業員に配分されてしかるべきものでしょう。
 そして、配分の仕方は、それぞれの企業で、労使が十分話し合って、納得のいくものにすることが大変重要です。

消費性向は回復するか

2017年11月01日 11時10分20秒 | 経済
消費性向は回復するか
 昨10月31日、総務省から2017年9月分の家計調査報告(速報)が発表されました。消費不振が言われるおりから、消費性向の動向はどうだろうかと、早速覗いてみましたが、残念ながら、昨年9月に比べて、今年9月は大幅に下がっていました。

 今年に入って、一昨年、昨年よりも、消費性向が前年同月に比べて上がる月の数が増えているような気がしていて、日本経済が堅調に推移していることもあり、消費性向に回復の様子が見えるといいなと期待していたところですが、残念でした。

 報道によりますと、連休に天気が悪くレジャー消費などの教養娯楽費の支出が減ったことなどが大きく響いたとのことですが、その後の10月も異常に天気が悪かったので、また消費不振かもしれません。消費回復はなかなかです。

 具体的な数字を見ますと、昨年9月の勤労者所帯の平均消費性向は85.3%、今年9月は82.3%で、3%・ポイントの下落です。
 昨年1年間の平均消費性向は72.2%で、9月の数字は随分高いのですが、年間平均はボーナス月などが出る消費性向の低い月と平均するからです。

 いずれにしてももし年間の平均消費性向が3ポイントも下がったら、年間300兆円を超える個人消費が年間9兆円も減って、GDPが2%以上マイナスになるので、今回はお天気のせい、どこかで挽回すると考えたいと思います。

 そこでちょっと趣向を変えて、収入階層別の消費性向というのを見てみました。
 家計調査には、所帯別に現金収入の5分位階層別という数字がありまして、これは調査所帯(ここでは2人以上の勤労者所帯)全部を現金収入の少ない方から多い方に並べて下から20番目、40番目、60番目、80番目それ以上の5つの階層に分けて統計を取るものです。

 各階層の現金収入月額の平均値は、今年9月の数字ですが
第Ⅰ分位128千円、Ⅱ304千円、Ⅲ415千円、Ⅳ529千円、Ⅴ811千円です。
 平均消費性向は
第1分位198%、Ⅱ89.%、Ⅲ76%、Ⅳ78%、Ⅴ65%
 となっています。

 第Ⅰ分位は、高齢勤労者や、所帯主が非正規などが多いせいでしょう、貯蓄を取り崩しての生活です。あとは第Ⅳ分位を除いて、高収入所帯ほど平均消費性向は低くなっています。第Ⅳ分位の場合は、子育て世代が多く含まれているせいでしょうか。

 こうした数字を追っていくと、よく言われる、格差社会化は消費不振を齎すといった、格差社会化と消費支出の関係が見えてくるのかもしれません。