tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費性向は回復するか

2017年11月01日 11時10分20秒 | 経済
消費性向は回復するか
 昨10月31日、総務省から2017年9月分の家計調査報告(速報)が発表されました。消費不振が言われるおりから、消費性向の動向はどうだろうかと、早速覗いてみましたが、残念ながら、昨年9月に比べて、今年9月は大幅に下がっていました。

 今年に入って、一昨年、昨年よりも、消費性向が前年同月に比べて上がる月の数が増えているような気がしていて、日本経済が堅調に推移していることもあり、消費性向に回復の様子が見えるといいなと期待していたところですが、残念でした。

 報道によりますと、連休に天気が悪くレジャー消費などの教養娯楽費の支出が減ったことなどが大きく響いたとのことですが、その後の10月も異常に天気が悪かったので、また消費不振かもしれません。消費回復はなかなかです。

 具体的な数字を見ますと、昨年9月の勤労者所帯の平均消費性向は85.3%、今年9月は82.3%で、3%・ポイントの下落です。
 昨年1年間の平均消費性向は72.2%で、9月の数字は随分高いのですが、年間平均はボーナス月などが出る消費性向の低い月と平均するからです。

 いずれにしてももし年間の平均消費性向が3ポイントも下がったら、年間300兆円を超える個人消費が年間9兆円も減って、GDPが2%以上マイナスになるので、今回はお天気のせい、どこかで挽回すると考えたいと思います。

 そこでちょっと趣向を変えて、収入階層別の消費性向というのを見てみました。
 家計調査には、所帯別に現金収入の5分位階層別という数字がありまして、これは調査所帯(ここでは2人以上の勤労者所帯)全部を現金収入の少ない方から多い方に並べて下から20番目、40番目、60番目、80番目それ以上の5つの階層に分けて統計を取るものです。

 各階層の現金収入月額の平均値は、今年9月の数字ですが
第Ⅰ分位128千円、Ⅱ304千円、Ⅲ415千円、Ⅳ529千円、Ⅴ811千円です。
 平均消費性向は
第1分位198%、Ⅱ89.%、Ⅲ76%、Ⅳ78%、Ⅴ65%
 となっています。

 第Ⅰ分位は、高齢勤労者や、所帯主が非正規などが多いせいでしょう、貯蓄を取り崩しての生活です。あとは第Ⅳ分位を除いて、高収入所帯ほど平均消費性向は低くなっています。第Ⅳ分位の場合は、子育て世代が多く含まれているせいでしょうか。

 こうした数字を追っていくと、よく言われる、格差社会化は消費不振を齎すといった、格差社会化と消費支出の関係が見えてくるのかもしれません。