tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

格差社会化を防ぐ所得税改革を

2017年11月16日 13時29分09秒 | 社会
格差社会化を防ぐ所得税改革を
 政府与党は来年度の税制改正で、サラリーマンの給与から一定の金額を控除する「所得税控除」について、収入の高い人に適用される控除額を見直し、高所得層の控除を縮小することの検討に入ったようです。

 併せて、収入のある人すべてに適用される「基礎控除」を増額するという方針とのことです。
 
 給与所得税控除は最低65万円から、所得に応じて増加し1000万円以上は220万円という事になっています。これを一律(一定額?)引き下げて、それで浮いた財源を基礎控除の増額に充てようという事と報道されています。

 給与所得控除の最低額65万円がいくら減額になり、基礎控除がいくら増額になるかはわかりませんが、基本的には低所得者にはプラス、高所得者にはマイナスの効果を重視し、格差社会化の傾向の出ている近年の日本社会の進行方向の是正措置の一環という事でしょう。

 政府がこうしたことも含めて、格差社会化阻止に動くことは極めて歓迎すべきことです。もともと、日本社会は、地域においても、企業においても人間集団としての在り方を重視し、人間同士の相互理解、その基礎にもなる共通の意識を大事にしてきた伝統があります。

 現政権も、格差社会化にはかなり気を使っているようですが、世界の傾向が、広く格差社会化に向かっているような状況の中で、迷いもあるのでしょうか。
 本来ならば、 所得税の累進課税の上限(昭和45年75%、現在45%)を、昔ほどとは言わないまでも、もう少し引き上げるような英断も必要なのかもしれません。

 もともと、この上限を引き下げについては、アメリカのレーガン税制改革で、税率のフラット化などという意見があったことにも影響されてのことだったと記憶しますが、アメリカ社会の成り立ちと日本社会とは違います。

 付け加えますと、企業の賃金制度においても、本来、日本企業は 企業内の賃金格差が無暗に拡大しないことを重視してきましたが、結果重視、成果主義、などという欧米方式を見習い、また経営者の巨大報酬などに影響され、格差拡大に、少しづつ無頓着になる傾向がみられるように思えてなりません。

 格差社会の進展は、人間社会の融和を阻害し、社会を不安定にして、歴史上の結果を見ますと、社会構造の混乱、多様な争いの源になっています。
 標記税制改革でも、国民に政府の格差拡大阻止についての明確な意図を浸透させるものにしてほしいと思う所です。