tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費税の利点・欠点

2017年11月22日 10時22分03秒 | 社会
消費税の利点・欠点
 日本政府の税収は圧倒的に不足しています。前回も書きましたが、今政府の収入となる「税と社会保険料の合計は、 国民所得の40%ほどで、実際に政府が使っているのは、それに国債発行で国民から借りる分を足してほぼ50%です。

 つまり、国民所得の1割ほど収入が不足しているわけで、今年度の政府経済見通しによりますと今年度の国民所得は377兆円ほどですから、38兆円ほど不足しているという事です。

 2019年に予定される消費増税で約6兆円税収が増えることになっていますが(消費支出300兆円×2%)、赤字財政脱出のためには12.7%ほど消費税を引き上げ、20.7%にしなければならない計算です。

 2%の消費増税をする・しないで、これだけ大変なのですから、日本の財政再建がいかに難しいかということが知られます。
 
 消費税というのはこういう具合に、個人消費が経済成長率と大体同じように増えますから、どれだけ増税すればいくら税収が増えるという見当がつきやすいのは利点で、国民にとっても、解り易いわけです。
 
 所得税や法人税は、景気の良し悪しで急激に伸びたり、伸びなかったりしますから(その関係を租税弾性値と言います)予測がしにくいのが欠点です。

 一方、消費税は、収入があっても、使わなければ払わないわけですから、収入の多い人でも、貯金した分にはかかりません。収入の多い人の方が貯蓄性向は高いですから、収入の多い人の負担率は軽くなります。消費税が逆進的と言われるのはそのためです。

 格差社会化阻止の効果は消費税にはありません。これは所得税などの方で累進税率を使って考えなければならない問題です。

 消費税でも、低所得者のために食料などの生活必需品の税率を下げるのがいいという公明党などの主張で、政府は複数税率導入を言っていますが、これは、正確な課税の困難性、行政手続きの複雑化のコストなども含め、疑問が多い考え方です。

 消費税の一番の利点(政府にとって)は、所得税のように、直接の負担感がなく、単に物価が上がったような感覚で、みんなが同じ8%、今度上がれば10%を、払ってくれるという所にあるのでしょう。

 そうした性質の消費税ですから、大事な事は、それを政府が使う時に、本当に困っている人に役立つような、つまり所得格差を是正し、格差社会化を防ぐような使い方をすることが大事でしょう。
 
 これからの社会を良くするためには(ピケティは、格差拡大は避けられないものだといいますが)、日本では、格差拡大を阻止して、中間層を出来るだけ厚くし、かつてのような「一億総中流」を自認するような社会を作ることが出来ますよ、と世界に見本を見せられるような実績を作るように、政府の舵取りをお願いしたいものです。