tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

減税で賃上げや設備投資ご褒美?

2017年11月18日 11時45分19秒 | 政治
減税で賃上げや設備投資ご褒美?
 新たに出発した安倍政権が、かつて自ら名付けた「アベノミクス」が竜頭蛇尾の状況の中で、何とか「経済重視」の成果を上げようと躍起のようです。

 政府の気持ちも良く解ります。世界から信任の厚い日本経済ですが、その資産の厚さの割に成長率が高まらないという現状に不満で、何とか成長率を(ついでにインフレも)高めたいと思っているのでしょう。

 確かに家計の貯蓄1800兆円(含自営業者)、企業の内部留保400兆円と言われ、日本経済自体の年々の収支である経常黒字が20兆円を超えると言われながら、今や痼疾のような消費不振に悩まされ、経済成長率が高まらないのは現実です。

 こうした現状が問題であることはその通りでしょう。経常黒字の20兆円を、何かの形で企業や家計に使ってもらえれば、GDPは4%ほど高まり、日本経済に成長の弾みがつくというのは、理論的にはその通りでしょう。

 しかし、そのための「政府の」政策として、「3%の賃上げをしましょう」とか、今回のように「賃上げ、設備投資をした企業には減税をしましょう」といった減税を餌に、賃上げや設備等異を釣り上げるような姑息な政策ばかりでいいのでしょうか。

 政府はもっと骨太の、国民の意識や認識を変え、国全体が、縮み指向から、より良い明日を目指して積極的な行動をとる気になるような、スケールの大きな、根本的、基本的な視点で、政策を打ち出すべきではないのでしょうか。

 もともと、家計が貯蓄に励み、先憂後楽思向で消費を抑えているのは、人手不足になり、株価は暴騰するようになっても、多くの国民は将来不安に駆られているからです。
 多分この原因は、雇用の不安定は増し、年金財政は保たないといった情報が広く行き渡り、最近の好況も、「格差拡大」を促進するような形で進行しているからでしょう。

 政府の方針に従って、賃上げ率を高め、設備投資を積極化することが出来、減税の恩恵を受けられる企業は限られ、取り残されるところも多いでしょう
 「決める政治」も、広く、多くの国民の声を聞かない「勝手に決める政治」では、まぐれ当たりもあるかもしれませんが、多くは国民の希望を満たすものにはならないように思います

 経済というのは、経済理論で動くのではありません。経済活動のプレーヤーは家計(消費者)であり、企業です。分解すれば、個々の国民です。つまり経済は国民の気持ちで動くのです。
 政府が、その辺りを十分に理解しない限り、経済政策はうまくはいかないでしょう。

 私自身は、今、国民の気持ちが、国際的なまた国内の経済環境の好転もあり、少し前向きなものに動き始めているように、何となく感じています。
 変な形でそれにアゲインストの風を吹かせないように、政府に期待します。