tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

政権と中央銀行:日本、アメリカ

2017年11月30日 15時34分56秒 | 経済
政権と中央銀行:日本、アメリカ
 アメリカの中央銀行であるFRBの議長は既に来年2月、イエレン女史からパウエル氏に交替することが決まりました。
 日本の中央銀行である日銀の黒田総裁の任期も来年3月一杯という事です。続投か、交代かは決まっていません。

 政権は財政政策を担いますが、中央銀行は金融政策を担います。経済政策としての2大政策である財政政策と金融政策は、勿論適切な関連を持って行われませんと、経済政策としてはうまく行かないのは当然ですが、制度としては中央銀行は政権から独立して金融政策を担当するといいうことになっています。

 しかし中央銀行のトップに任命を行うのは日本でもアメリカでも政権のトップです。これは、財政と金融との適切な組み合わせを考える上では良い制度のように思われますが、中央銀行の考え方と政権の考え方が違うような場合は、最終的には政権主導になるという事を認めているからでしょう。

 日本の場合、最近のアベノミクスに例をとれば、プラザ合意とリーマンショックによる異常な円高で疲弊しきった日本経済を救済すべく、金融政策を、従来の金融緩和といった視点を飛越え、金融緩和は「 為替レートの操作に使える手法」という、いわばアメリカ流の視点を導入、$1=¥80を2年で$1=¥120に大幅円安を実現したいわゆる「異次元金融緩和」は、政権と中央銀行のコラボレーションとして、抜群の力を発揮しました。

 政権サイドでは、「アベノミクス第1の矢」の大成功を謳い、金融面からは「2発の黒田バズーカ」などと言われ、日本経済に起死回生の転機をもたらしました。

 これは、アメリカのオバマ政権のもと、バーナンキFRB議長が選んだ、「金融危機は金融緩和で救済可能」という選択が、それなりの効果をもたらしたのと、いわば、軌を一にしものと言えるでしょう。

 その後、アメリカは、超金融緩和の弊害も考慮し、利上げ、テーパリングに歩を進めましたが、円高を恐れる日本は、政権、中央銀行共に金融緩和継続の方針です。

 政権と中央銀行の目指す方向が同じなら問題はありませんが、今回アメリカは、バーナンキ路線を継承しつつ金融正常化内移行したイエレン議長から、トランプさんの任命でパウエル氏にバトンタッチをします。
 このプロセスの中で、金融正常化では問題がない様ですが、金融規制の問題で、イエレン議長もパウエル氏も、行き過ぎたマネーゲームの世界はお嫌いなようで、トランプ政権とはニュアンスの違う様相が垣間見えるように思います。

 さて日本では、政権も中央銀行も、2%インフレ達成まで、異次元金融緩和を続けるとしながらも、日銀は国際等の買い入れを減らしているようですし、黒田総裁は11月26日に書きましたように、 リバーサル・レートなどにも触れています。

 異次元金融緩和を進言したと言われる浜田宏一氏も、「物価は2%まで上がらなくてもいいのではないか」と言っているようです。
 さて、今後、日本とアメリカの政権と中央銀行の金融政策の視点はどんな関係になるのでしょうか。