tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

直接税と間接税(前回の続き)

2017年11月21日 12時46分58秒 | 経済
直接税と間接税(前回の続き)
 サラリーマンの所得税、企業の払う法人税などは「直接税」と言われ、付加価値税(日本では消費税)は間接税と言われ、区別されます。
 この両者は、ともに国民が稼ぎ出したGDPが原資ですが(一部例外:後述)、払い方が違うので、納税者の負担感が違います。という事から、税制上の政策的な使い分けが行われます。

 2019年に予定される消費税増税も、保育費、教育費の無償化原資に2兆円と言われますように、間接税は、目的を明確にする目的税が多いようです。
 直接税は、「収入があったのだから払うべきだ」という事で、国の運営一般の財源ですが、消費税は社会保障の財源というのが世界的な理解のようです。
 
 何故かという事ですが、消費税は、最終的には、消費者が払っているのですが、実は、その品物が、消費者の手に渡るまでの経済活動の各段階で払っているのです。
 例えば、資源の輸入業者が輸入価格にマージンを乗せて素材メーカに売り、素材メーカはマージンを乗せて、部品メーカーに売り、部品メーカーはマージンを乗せて完成品メーカーに売り、完成品メーカーはマージンを乗せて卸売業者に売り、卸売業者はマージンを乗せて小売業者に売り、小売業者はマージンを乗せて消費者に売ります。

 ここでマージンというのは、輸入業者では輸送コストをカバーするため、製造業者では加工コストをカバーするため、販売業者では、保管・物流コストをカバーするために費用な金額という事で、いいかえれば、これが各段階での「付加価値」です。輸入鉄鉱石が自動車になるために必要な「カネ」さらに言い換えれば、日本企業が生み出した付加価値という経済価値です。

 日本中のそうしたマージン(付加価値)の合計がGDPで、「消費税」は、この各段階のマージンに(現在は8%づつ)かかっているのです。その合計額、結局、商品価格の全体の8%は、各段階で上乗せされて、最終的に消費者の払う価格が8%高くなるのです。

 消費税が、本来は付加価値税(中国では増値税)と言われるのはこうした成り立ちからの名前です。

 消費税(付加価値税)は先ずこうしてGDPが発生するところで発生額の8%を政府が頂くという形の税金で、残った付加価値は、各段階の企業の中で、労使が、賃金と利益に分配して受け取ります。その賃金と利益にかかるのが、所得税、法人税といった直接税という事になります。

 付け加えますと、所得税や法人税は、その年に発生した付加価値の中から払われますが、消費税の場合は、高齢者所帯のように、貯金を取り崩して生活している場合は、過去の付加価値の蓄積分(貯蓄)からも政府は取ることが可能になります。

 消費税(付加価値税)が社会保障の目的税化しているという事は、GDPの発生する時点でその都度税金を取って行くという事ですから、個人とか、企業とかの色合いをなくして、GDPが増えたら、そこから一律に社会保障の財源を調達するという事であれば、誰が損して、誰が得するといったことがない分担方式だからという事でしょうか。