tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ大統領アジア歴訪の意味

2017年11月05日 11時18分47秒 | 国際政治
トランプ大統領アジア歴訪の意味
 トランプ大統領は、今日来日、先ず安倍総理とゴルフだそうですが、遊びに来るわけではありません。日本に続いて、韓国、中国、ベトナム、フィリピンと5か国歴訪の旅です。

 緊張する米朝関係、対中国の貿易赤字問題、などなど、アメリカ自身の問題の解決のためのアジア歴訪と言えないこともありませんが、この歴訪を、「アメリカのためだけにやっていると感じる人は少ないのではないでしょうか。

 日本では拉致被害者の家族に会い、韓国では、朝鮮半島の緊張緩和の方策を話し合い、中国とは貿易問題、対北朝鮮問題と同時に、南シナ海への中国の進出問題も絡むでしょう。そして、ベトナム、フィリピンでは、アジア地域の安定のための議論をし、APECの首脳会議に出席、ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議にも出席の予定です。

 もちろんこうした一連の行動は、アメリカの国益に役立つものでしょう。しかし、アジア諸国にとってみれば、アメリカが、アジアの安定にしっかりとコミットしてくれている、という理解になるのは自然でしょう。

 トランプ大統領は選挙戦の時は「アメリカは、もう世界の警察官はやらない」と言って、国内政策注力を標榜して当選したわけですが、いざ、アメリカの大統領として、現実の政策という事になりますと、否応なしに「覇権国の責任」という問題にコミットしなければならなくなるのでしょう。
 アフガン然り、イラン然り、シリア然りでしょう。

 現実に、世界は「警察官」を必要としているのです。誰かが警察官をやらなければならないのです。
 敢て具体的に言えば、アメリカがやるか、中国がやるか、はたまたロシアがやるかというような事になるのでしょう。
 世界の国々はどこを選ぶのでしょうか。

 現在の国家主権の世界では、矢張りこれまでのような「覇権国方式」が取られざるを得ないのでしょう。
 日本の歴史でいえば、幕藩体制のようなものです。そしてどの幕府も、いつかは力を失い、覇権の交代が起きるのです。

 明治維新で日本は、中央政府が出来、中央政府が警察システムを確立してきました。
 世界で、アメリカが戦後目指したのは、国連中心のシステムでしょう。国連本部をスイスのジュネーブからアメリカのニューヨーク移し、アメリカが国連を支えることを考えたのでしょう。

 国連も、PKOなどで、世界の警察官の役割を果たそうとしていますが、世界が一致して支えないと力は出ません。 警察と軍隊は、本質的に違うのです。
 将来の世界を考えれば、人類社会の安寧を実現するのは、軍隊ではなく警察でしょう。
 アメリカも迷いつつ覇権国の負担を背負わざるを得ないのでしょう。
 人類世界が安寧を得るのには、まだまだ長い時間がかかりそうです。