tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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米中貿易摩擦は双方の努力で

2018年05月21日 10時49分17秒 | 国際関係
米中貿易摩擦は双方の努力で
 アメリカが中国に対して2000億ドルの対米輸入増加をと主張して始まった米中の貿易交渉ですが、多分、日本政府も固唾をのんで見守っているでしょう。現状、一応の総論段階の調整が進んだようです。

3年ほど前に、同じ問題が起こった時、中国は、 ボーイングの旅客機300機を購入するという手土産を持って交渉に臨んだ経緯があります。

今回も、中国は、2000億ドルとは言いませんが、アメリカからの農産物の輸入の積極化などを約束、アメリカも、中国がその努力を続ける間は、鉄鋼・アルミなどへの高関税は棚上げするという事のようです。
当初の言論戦では、中国も一歩も引かずといった報復の姿勢を見せていましたが、現実の交渉では柔軟な大人の姿勢を見せたことは評価できるでしょう。

今回のトランプ政権の鉄鋼、アルミの高関税問題は、最初からトランプ流で、アメリカの貿易赤字が大きいのは、黒字国が悪いからという一方的な主張から発していて、同じく対米黒字国日本から見ても、また客観的に見ても、理不尽なところがあります。

典型的なのは、アメリカ車が日本で売れないのは日本の非関税障壁のせいだといった主張ですが、日本人のほとんどは、「日本人の買いたくなるような車を作ってくれよ」と考えているのでしょう。

中国の場合は国が大きすぎますし、まだ発展途上国の側面も多いので、特に知的財産権など先進国レベルに達していない面もあるのでしょうが、中国としても改善を急ぐ様子は見られます。

こうした摩擦問題は、単純に一方的な形で起きるというよりは、矢張り双方に問題があるということが多いのでしょう。
アメリカは、「輸出国はアメリカ市場で儲けて良い思いをしている」と言いますが、良い思いをしているのは輸入しているアメリカの企業や、輸入品を購入しているアメリカの消費者も同じで、それによって喜んでいるというのがもう一面の真理でしょう。

トランプ流の戦術・戦略は威丈高ですが、交渉が始まれば、より合理性も出るでしょうし、何より、輸入品値上がりで、アメリカ経済が受ける打撃も出てくるはずです。
日米間では繊維から鉄鋼、牛肉オレンジ、自動車、半導体と、日米貿易摩擦は連綿として続いてきましたが、TPPで目指した総合的な解決策はアメリカの脱退で頓挫しました。

トランプさんはなかなか納得しないかもしれませんが、こうした問題は矢張り、双方の合理的な努力で解決していくことが一番大事ではないでしょうか。
アメリカ、中国という2つの超大国の、今後の交渉の行方に注目しましょう。

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