tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカと日本のインフレ状態を見る

2022年11月22日 15時22分34秒 | 経済
アメリカのインフレでFRBが大幅な政策金利の引き上げを続けたお陰で日本は円安になり、これは「悪い円安」と言われ、早く$1=120円の方に戻ってくれという事になっています。

一時150円まで行くといわれましたが、アメリカのインフレ鎮静予想で139円ほどまで戻りました。しかし、今日はまた141円90銭と円安に振れています。
今日あたりは、円安で日経平均上昇などという見方もあるようですが、株式市場だけでなく、円レートによっては来春闘の関係も微妙になって来そうです

問題は、アメリカのインフレが止まることがはっきりして、FRBがもう大幅利上げは必要ないと考えるような状況になるかどうかですが、現状で、日米の消費者物価の上昇の具合がどうなっているかを比較してみましょう。

    日米の消費者物価指数の動き(2021年10月=100)

                  資料:各国統計

図は昨年10月から今年10月までの日米の消費者物価指数の動きを比較したものです。
昨年10月を100にして両国の出発点を合わせています。

アメリカは昨年末から上がり始め、今年の6月までは急上昇です。対前年同月比が8%を超えて大騒ぎになったのが6月だったでしょうか。
しかしその後は原油価格の影響を受けた8月を除いて傾向的な上昇は止まっているようです。

一度上った物価が下がるというのは、景気の落ち込みでもないと起きないとすれば、上昇が止まれば一応FRBも政策成功という事になるのでしょうか、この水準が続けば、1年後にはインフレ率ゼロですになります。

日本の方は、上がり幅そのものは小さいですが、上昇ぺースはまだ次第に上がりそうな様子です。
但し、アメリカの政策金利の引き上げが一段落し、今の円安が、円高方向に戻れば、インフレの動きは止まるでしょう。アメリカの金利次第という面も強いのですから。

という事で、このグラフ、この所毎月見ているアメリカの消費者物価上昇の中身などを併せ考えれば、FRBは政策金利引上げの効果ありとみているようで、それでも11月・12月には、駄目押しの大幅引き上げをやるか、それとも政策緩和の姿勢を出すかですが、いずれにしても年内に方向は見えてくるのではないでしょうか。

「悪い円安」ももう少しの辛抱という事ではないかと思われますが、また円レートが120円の方向に戻ることになれば、円高は日本経済にマイナス、などという論調が出て来るかもしれません。

経済評論はどうでもいいのですが、実態経済を担う企業の労使は、円レートの上振れ下振れに惑わされることなく、日本の実体経済の活動の在り方を見据えて、日本経済のターニング・ポイントと期待される来春闘で、労使双方にとって、長い目で見て最も適切な行動をとってくれることを願っています。