tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカのCPI、日本経済を走らす 

2022年11月11日 15時44分06秒 | 経済
昨日アメリカの10月分の消費者物価の速報が発表になりました。
マスコミではすでに報じられていて、8%台で高止まりしていたアメリカの消費者物価の対前年同月上昇率が7%台に下がりました。

多分そうなるだろうという予測もあって、FRBのパウエル議長も、そうなれば大幅な金利引き上げも再考といったニュアンスの発言もあったようです。

その数字がはっきり出ました。そして確かに物価の沈静状況が見える化されたという事でしょう。

米国消費者物価上昇率、10月の上昇率鈍化

                       資料:米国労働省

グラフで見て頂きますように、アメリカ流の主要費目の中で、9月の上昇率より上ったのは「家賃」と「運送サービス」だけで、あとは皆、上昇率ダウンです。
全品目は8.2から7.7に下がりましたが、特に〔エネルギーと食品を除く全品目〕が6.6%から6.3%に下がっています。

これは便乗の出やすい項目ですので、これが下がって来ているという事は、鎮静化が一般的になっているという感じも持てそうです。

折しも中間選挙の結果でも上院は民主党といった状況が見えてきたという事もあるのかも知れません。ダウ平均が1200ドルという大幅上げになりました。

これはアメリカの話ですが、残念ながらアメリカ次第などと言われる日本経済にも、その影響は確り出てきているようです。

先ず円レートが忽ち3円ほども円高になったようです。悪い円安が3円も改善したのですから、きっと日本にとっては有難いことでしょう。
ダウ平均に倣って、日経平均も800円も上げているようです。

アメリカの消費者物価の中身をこの3か月このブログで見て来て、パウエルさんの発言は、大幅な金利引き上げで、(便乗値上げ・賃上げなどで)アメリカのインフレを激化させているプレイヤー達を大幅金利引き上げで冷静に戻させるという狙いもあったでしょう。

アメリカの人達も、スタグフレーションやリーマンショックの経験がありますから、労働組合も含めて急激なインフレは危険という意識も持っているでしょう。ドル高が怖いという産業もあるでしょう。パウエルさんの警告は相当に効いたようです。

何にしても、アメリカの消費者物価の上昇が収まるという事は大変な朗報です。

アメリカのインフレが収まれば円安の問題も次第に解消し、政府も余計は補助金や手当から解放され、労使も正常な環境の中で、来春闘を迎えられるという事になるでしょう。

パウエルさんの巧みな舵取りへの期待は大きいですね。