tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

インバウンドに頼りすぎるな

2022年11月24日 14時51分35秒 | 文化社会
コロナの第8波はどうなるのでしょうか、ワクチン接種は順調のようで、あまり大きな波にならなければいいなと願いながら、五回目のワクチン接種も終えたから、会合に出てもいいかななどと考えています。

もうすぐ師走、今年の年末商戦は、少し元気が出てくれることを期待しながらコロな新規感染者数とのバランスを見ているところです。

同じことが、期待されるインバウンドの増加と新型コロナの流入でも言えそうです。
色々な国からの観光客が、日本の色々な場所を楽しんでいるのをテレビで見るのも結構なことですが、水際作戦は大丈夫かななどと心配になります。

現状、中国のゼロコロナは別として、ワクチンや各種の防御態勢、生活習慣の進歩で、コロナの抑え込みに人類が成功することを願うばかりです。

政府もインバウンドの受け入れの積極化を消費の回復、経済テコ入れの起爆剤のように考えているようですが、偶々大幅な円安も手伝ってくれて、インバウンドの増加については「いい円安」になっているようです。

今の行き過ぎた円安は、いずれアメリカのインフレ鎮静とともに消えていくのでしょうが、例え円レートが120円、110円になっても、インバウンドは確実に増え続けるでしょう。
日本は文化、観光資源、日本食、安全性、居心地の良さといったいろいろな面から見ても、世界の多くの国の人々が、尋ねたい国で当分在り続けるでしょう。

そうであってみれば、政府の、インバウンド推進への積極政策は、容易に成功するでしょう。日本人誰もがそのあたりは、共通に感じている所ではないでしょうか。

こうした結構な条件が一つあるのですが、翻って考えれば、この、世界の多くの人びとが訪ねたいと思う日本で、日本に住む日本人が、低迷する経済と劣化する所得水準、社会保障の先細りで、長期の不況に悩み続けるというのは余りにも情けない話ではないでしょうか。

インバウンド盛況の中で、日本政府は食事や旅行に補助金を出し、賃上げを少しでも高めにした企業には税金を負けてあげましょうなどという政策を取りながら、日本人自体は「笛吹けど踊らず」で実質賃金は低下傾向だったり、個人消費支出は万年不振状況という事になっているのです。

しかし本当のことを言えば、日本の消費需要の不振は、インバウンドではなく、日本国民の消費意欲の向上で解決され、支えられるのが本筋でしょう。

こんな事になって仕舞ったのも、振り返れば「プラザ合意」という経済外交の失敗、アベノミクスという経済実態を理解しない政策、更には最近見られるような自民党を中心にした政治家の人間性の劣化といった日本中枢の退行現象の結果でしょう。

インバウンドに力を入れるのも結構です。しかし外国からの客人の魅力になっているのは、日本国民が築き上げてきた文化や社会の在り方によるものでしょう。

その日本人が、このら所の失政続きでで、政府を信用できなくなり、日本人の勤勉さを、先ずは自己防衛、生活防衛の方向にと舵を切ったことで日本全体の元気が失われる現状を齎したという事ではないでしょうか。

今必要なことは、政府が、国民に信用されるものになること、そして日本人の持つ豊かな能力を自由に発揮できるような社会の枠組みを作る事でしょう。

昨晩のサッカーは良かったですが、毎日、テレビや新聞を見るたびに、この政府を信用しろと言うのか、というような記事にばかり出くわす状況はもう御免です。