ミニ原子力発電開発の怪
地球温暖化を何とか食い止めよという事で脱炭素社会に向かって邁進する人類社会ですが、その中で、原子力利用の検討は続いているようです。
アメリカがこの面でも最先端を行っているようですが、考えられているのはミニ原発のようです。
今までの様な大型の原発では事故が起きると大変なことになるわけで、例としてはチェルノブイリと福島第一原発が引き合いに出されます。
原発というのは、核分裂の時に出る熱を利用してお湯を沸かしその蒸気で発電する(沸騰水型)ので、核燃料から発生する熱をコントロールするのに大量の冷却水が必要です。ですから河か海のそばでないと立地できないようですが、福島の場合は津波ですべての電源ストップ、冷却水が注入出来なくなって原子炉がその熱で溶けて(炉心溶融)大惨事につながったわけす。
ということで原子炉を小さくすれば、冷却水も少なくて事故の際も安全といったメリットがあり、どこにでも簡単に設置でき、電力が沢山必要なら、何基か組合わせれば済むので、安全で使い勝手がよく、都市の中でも設置可能などといった利点があるという理由のようです。
原子力産業が生き延びようとすればそうした発想になるのでしょうが、素人の私が聞いても、問題が沢山あるような気がします。
例えば冷却水が少なくて済むと言っても、物理学的には(技術レベルが同じであれば)発電量と冷却水の量は比例的なはずですから、たくさん発電すれば冷却水も沢山いるはずですし、一方、発電のロットが小さくなればなるほど、原発の製造コスト運転コストは割高になるはずです。
大型原発で安全装置を徹底する場合とコストパフォーマンスはどうなのでしょうか。
更に問題なのは核分裂を利用する限り、使用済み核燃料は、発電量に比例して増えます。小規模の方が非効率の可能性も考えられます。
今問題になっているのは「オンカロ」に象徴されるように、また日本でいわれますように、「トイレのないマンション」にきちんとしてたトイレを作るコストを考えたら、原発の電力料金は一体どこまで上がるのかといった問題は一向に考慮されていないという事でしょう。
地球の人口は、未だ増えるのでしょうが、太陽が無償で与えてくれる膨大な自然エネルギーを、人類の知恵で有効に活用すれば、地球環境を汚染するようなエネルギーを使わずとも、人類は十分なエネルギーを得られるでしょうし、結局その方が安価で安全でしょう。
それこそがSDGsの実践、人類社会の安定発展への王道であり、近道ではないでしょうか。