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2020年度GDPはマイナス4.6%の大幅下落だが

2021年05月18日 23時17分51秒 | 経済
2020年度GDPはマイナス4.6%の大幅下落だが

 今日、内閣府から2021年度1-3月期のGDP速報と合わせて標記前年度のGDPのリーマンショックを超える下落幅という年度の成長率が発表になりました。

 コロナ禍をまともに受けた年度ですから年度を通じて4.6%の減というのは、致し方ない所でしょう。政府の大幅な補正予算、GoToで経済テコ入れ努力もありましたが、コロナ禍の深刻化をまねいたこともあり、結局はコロナ禍の影響が巨大だったことの結果です。(以下数字は総て実質)   

 今年に入っての1-3月期は対前期比で見れば、GDPは1.3%減で年率にすれば5.1%の減ですから、前の2四半期7-9月、10-12月が5.3%、2.8%とプラスだったのに比べれば急な落ち込みです。1人10万円給付やGoToなどの政府のバラマキの効果もあったのですが、後者は特にコロナ拡大を伴いました。

今年の1-3月期は、政府支出は減り緊急事態宣言もあって、GDPはマイナスになったのですが、他方で、ここへきて、ワクチン接種の加速で、コロナ終息への微かな明かりが見えてきた面もあり、今後の動向が注目されます。

いつものことですが、このブログの立場は一貫していますが、なるべく短期でなく長期でデータを見るというスタンスを取っています。その方が本質が見えます。
という事で、昨年の1-3月期から今年の1-3月期までの各四半期の対前年同期比のGDPの伸び率を見てみます。
     昨年1-3月期 -2.1%
       4-6月期 -10.1%
       7-9月期 -5.6%
      10-12月期 -1.1%
     今年1-3月期 -1.9%

 恐らくこれは実感がわく数と思います。景気は一昨年の秋から不振で、下降傾向。昨年1-3月期はその続きです。4-6月期は最初の緊急事態宣言が出て、国民は極度に緊張、経済社会の活動は旧ブレーキ、GDPは前年同期比1割を超える落ち込みです。

 その後政府のバラマキ(7-9月期、10-12月期には政府支出著増)と家計(消費者)、店舗、流通などの対応(リモート〇〇、テークアウト、出前、出張販売、業態変更などいろいろ)もあり、いわゆる巣篭り需要効果もあって、経済はじりじり回復、しかし、今年に入ってコロナ猖獗で再度の緊急事態宣言、という実態が確りと反映されています。

 実際に上の数字の動きを演出しているのは「家計消費支出」です。この所、日本のGDPの行方は家計の消費支出の動き次第です。

 ところで先日3月の家計調査で見ましたように3月の家計消費支出は順調に伸びています。
 家計がコロナ馴れして知恵がついたという事もあるかもしれません。政府が無理して緊急事態宣言を解除したことも影響あるかもしれません。しかし、現実はまた3度目の緊急事態宣言です。
 これは5月一杯続きます。その後はオリンピックがどうなるかでしょう。

 しかし、これから夏・秋にかけて、現実に状況は大きく動くだろうと思います。
 原因はワクチンです。ワクチンの入荷が不足ではないかといわえていましたが、最近の政府の様子では量的確保は出来て来ているようです。はっきり教えてくれませんが。

 であってみれば、これからは、ワクチン接種の進捗とともに、コロナ禍の程度は弱められてくることになるでしょう。その意味では、今が一番暗くて不安な時、「夜明け前の闇が最も暗い」という事かもしれません。

 多分、ワクチンの接種が進むにつれて、混乱を重ねてきた日本経済も内需に関する限り、次第に正常化を示していくのではないでしょうか。
 これからも政治の混乱は多いと思いますが、経済は国民が作ることが出来ます。期待したいところです。