tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経済成長を可能にする付加価値の使い方-1

2020年09月27日 17時44分41秒 | 経済
再生可能エネルギー体制確立は容易でない
 改めて付加価値の意味を考えるという事で5回書きました。
 一国が1年に生産する「付加価値」がGDPで、国民はそれによって生活しているという付加価値理解の原点から、そのGDPがなかなか順調に増えなくなって、世界中で不満が溜り国際情勢もイライラ・ギスギスが募っているのが今日の状況のようです。

 なぜGDPが増えなくなった(経済成長がしにくくなった)かを考えると、どうも、環境問題などの制約で、エネルギーが増やしにくくなったことが原因のようで、具体的には原子力は廃棄物処理の見通しが立たないので駄目、石炭、石油は地球温暖化で駄目といった障害が顕著になっているという事のようです。

 トランプさんは「そんなことはない」と頑固に頑張っていますが、多くの研究結果も世界の世論もこれには批判的です。

 結局再生可能エネルギーの効率的で安価な利用を可能にする技術開発が決定的に重要になっている今日の地球社会ですが、イライラやギスギスが嵩じて、世界情勢が不安定になり、いわば「貧すれば鈍す」で、国際的な摩擦や争いも増え、エネルギー開発より軍事力増強などという傾向も見えて、ますます良くないといった状況のようです。

 付加価値の意味と重要性については一応ここまでにして、ここからは、それぞれの国の経済社会が、どうすれば付加価値を増産する(経済成長させる)ような体制になるかを考えてみたいと思います。

 端的に言えば、「付加価値を増やせる体制」解り易い言葉にすれば「経済成長を可能にするには」といった事になるのではないでしょうか。

 という事で、何とか現状のエネルギー問題が桎梏になって不安定化している世界情勢から脱出するのに何が必要かといった問題を考えてみましょう。

 はっきり言って今の世界情勢、人類社会の状況は良くありません。偶々新型コロナがそれに追い打ちをかけていますが、新型コロナ問題を別にしても、地球経済は停滞です。

 今までの分析で見れば、従来のエネルギー供給路線が行き詰まりを見せ、望ましい経済成長に必要なエネルギーの確保に問題が出て、世界経済の成長率が低下し、そのせいで、国家リーダー達の意識が変わり、付加価値生産に必要な大切な資源(人間や資本)が、国家間の争い(究極的には戦争)に勝つために使われるようになり、本当に必要な技術開発への配分がおろそかになっているという状況があります。

 その結果、再生可能エネルギー開発への資源配分も削られ、新エネルギー開発の遅れが発生、ますます経済成長が不振となり、それが益々国際間の対立・争いを酷くするという悪循環の様相すら見えています。
 (日本でも、防衛関係の経費が増えれば技術開発への資金投下は遅れるという関係は明らかでしょう)
  
 国家間の争いは、結局は双方の発展を遅らせるだけで、経済成長にはマイナスですから、そうした事に資源を割くのは本来無駄なのです(戦争は無駄の象徴)。 
順調な経済成長のためには、それに必要な技術開発の進展が必須ですから、その中身によっては、大きな資源を 割かねばならないものもあります。再生可能エネルギー開発はまさにそれでしょう。

 そういう困難な技術開発の場合には、その国が生産した付加価値、つまりGDPの配分を、敢えてそのために「変えなければならない」という問題が起こりうることになります。
 次回はこの辺りを考えていきたいと思います。