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当面の好調裏付ける「法人企業景気予測調査」

2017年09月13日 15時58分31秒 | 経営
当面の好調裏付ける「法人企業景気予測調査」
 財務省の「法人企業景気予測調査」の7-9月期調査が、今日9月13日発表になりました。四半期ごとに、当面の景気認識を聞き、売上、経常利益、設備投資などの予想については、年度と上期、下期に分けて具体的な数字で、企業の意識を聞くもので、実績の統計である「法人企業統計季報の」予測版という所でしょうか。

 景気についての企業の最近の感覚が知られるという意味で、見ておくべき調査でしょう。
 今回の調査では、今年度上期については、企業、特に製造業はかなり強気なことが分かります。

 まず「貴社の景況」という所ですが、ここでは四半期別に、今年度末(平成30年1-3月期)までの景況判断を聞いています。

 景況は、BSI:「良いと答えた企業の割合から「悪い」と答えて企業の割合を引いた数字」で示されていまして、回答を見ますと、大企業、中堅企業は、来年1-3月期まですべてプラスになっています。プラスの幅は、ほぼ5%から10%と順調です。

 中小企業の景況判断は、何時もあまり良くないのですが、今回は、10-12月期については、製造業、非製造業とも(当然全産業も)数字は1桁ですがプラスになっています。 

 具体的な経営数字の伸び率予測では、先ず、売上高の伸びについて見ますと、今年度内はすべてプラス見通しです。
全産業: 年度2.1%、上期2.6%、下期1.6% 
製造業: 年度3.5%、上期4.1%、下期2.9% 
非製造業:年度1.5%、上期 2.0%、下期1.1%

 経常利益の伸びについて見ますと、上期好調、下期多少不安でしょうか。
全産業: 年度0.6%、上期6.4%、下期▲4.5% 
製造業: 年度3.5%、上期22.6%、下期▲10.5% 
非製造業:年度▲0.7%、上期 0.3%、下期▲1.6%

 経常利益についての見通しは、上期好調、下期不調といった感じですが、要因としては、製造業の上期が良すぎること、下期の減益は、売り上げは伸びているので、原材料(資源価格)などのコストアップでしょうか。また全産業と非製造業では経常利益の場合は金融・保険業が入っているのでるので、 金融保険業のマイナスが響いているようです。

 統計自体は、製造業、非製造業の内部の産業まで数字が出ていますから、統計表を見れば、産業中分類の動きも見られますが、産業全体の現状の感覚としては、当面好調だが、先行きはいろいろ不安定要因があって、厳しくみておきたいという事ではないかと感じられます。

 不安定要因としては先行きの見えない国際関係(米朝関係は勿論、アメリカの経済政策の行方、製造業では資源価格の動向などもあるでしょう。また何よりも、円レートの不安定(円高傾向)が常に心配されるところです。

 日本経済自体としては、企業の態勢も次第に安定しつつあり、一方で、消費需要に何となく動意も見られるように思われ、安定成長路線への接近の予想されるところですが、国際関係、国内政治、それに連なると思われる金融政策などの予測不能(「想定外」事態の発生)の不確かな要素が多く、それに振り回される企業経営には大変難しい世の中という事でしょう。

 経済を取りまく諸情勢の早期の安定を企業と共に強く望むところです。