tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本的労使関係で現状打開を:労使関係の現場力の重要性

2017年09月14日 14時50分38秒 | 労働
日本的労使関係で現状打開を:労使関係の現場力の重要性
 今日も北朝鮮は無音のようです。どんな行動に出るのか、北朝鮮の知恵が問われています。おそらく水面下ではいろいろな事があるのでしょう。平穏を願うばかりです。

 健全さを取り戻しつつある世界経済の先行きのためにも平穏が最高の贈り物ですが、同じことが日本経済にも言えるでしょう。
 余計なことを気にせず、日本の経済や経営について考え行動していけることが望ましいと思いながら、この所の企業労使と政府の姿勢について、特に、動き始めた「働き方改革」の問題を論じなければならないと思っています。

 この問題は、「人間と仕事」という大変大きな問題ですから、広範な視点で、時間をかけて、当事者である「労使」が自主的に論じなければならない問題だと考えていますが、現状、残念ながら、ほとんど政府主導で進められようとしています。

 政府は連合が提起しその後撤回した意見の内容をそのまま取り入れ、政府案としているようですが、働き方改革を実際にやるのは労使です。労使が十分に意見を出し合い、問題を論じつくして、合意したものが法律制度に反映されるというのが、こうした問題のスジでしょう。

 いくら政府が「決める政治」と頑張っても、当事者の合意も無視して勝手に決めたのでは、結果が出ないことは目に見えています。「決める」というのは、それが現実に役に立ち、効果を発揮する内容のものを決めて、初めて本当に「決めた」ことになるのです。

 折りしも世の中は人手不足で、産業・企業の現場は大変です。こういう時ほど、労使が合理的に協力し合わないと成果は上がってこないでしょう。
 企業は従業員が働きやすい環境や条件を考えようと努力し、従業員は積極的に自分たちのより良い働き方についての意見を経営側に伝え、十分に論議し、納得して協力する体制を作ることが、そのための原点でしょう。

 戦後の日本の労使関係は、政府が出来るだけ口を出さず、労使紛争においても、労使の自主的な決定に持っていくように仕向けることで、世界に冠たる労使の信頼関係、いわゆる日本的労使関係へと成熟して来たことは、多くの研究が指摘している通りです。

 残念ながら、「失われた20余年」の中で、それまでの経験と学習が労使双方で途切れ、潤滑油が切れた様な労使関係が目立つようになったのが現象的には「ブラック企業」といった形で表れたという事ではないでしょうか。

 これは、言い方を変えれば、「労使関係における労使の現場力が低下した結果」ということが出来るように思われます。労使関係は、昔からよく夫婦関係に例えられますが、、基盤をなすのは相互の信頼関係という点が共通だからでしょう。

 「現場力」の低下の問題は生産現場、作業現場、労務管理の現場等々だけではなく、労使関係の現場でも十分留意される必要があるように感じられます。
 労使双方の「労使関係における現場力の再構築」が無ければ、いくら働き方改革で政府が旗を振っても、成果に辿りつくのは難しいように思うのですが、どうでしょうか。