tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

気になる統計数字2つ:四半期GDPと経常収支

2017年09月08日 11時55分29秒 | 経済
気になる統計数字2つ:四半期GDPと経常収支
 今朝ほど、今年度の第1四半期、4-6月期のGDP統計の第2次速報が発表になり、ニュースでは、第1次速報の年率4.0%成長から、0.25%に下方修正されたと報じられています。

 折角経済の上向き方が加速して生きたようなのに、大幅下方修正とは残念、という感じですが、中身を見ますとそれほど心配することはないようです。
 勿論この所の米朝対立の瀬戸際化で、為替、・株式マーケットは勿論、企業も消費者も積極的な活動は控えるといったことになれば、影響は出ましょうが、それは7-9月期です。

  第1次速報の時も指摘しておきましたが、瞬間風速ではなく、対前年同期の動きで見ると1-3月期が実質1.5%の成長、前期が2.0%の成長と堅実な加速程度でした。
 
 では今回の修正で対前年同期比の成長率はどうなったかといいますと2.0%が1.4%に下方修正されたという事になります。
 前記より0.1ポイント下がったのは残念ですが、企業設備投資のマイナスに大きく影響されたものです。

 下方修正の根拠となった企業の設備投資については、財務省の「法人企業統計季報」(資本金1000万円以上の企業の調査)の4-6月期が9月1日に発表されていて、それによりますと設備投資の伸びは対前年同期比で1-3月が4.5%、4-6月が1.5%と減少、主な原因は製造業の設備投資のマイナス7.6%の落ち込みです。

 非製造業は安定して伸びているようですが、全産業の企業規模別で見ますと、資本金10億円以上の大企業の設備投資が一服したことが大きいようです。

 気になっていた、第1次速報で特徴的だった「家計最終消費支出」を見てみましたら、これは1.7%(対前年同期比)の増加で、第1次速報の1.8%とあまり変わっていません。その意味では、家計の消費支出が実質GDPを押し上げる主役だったことは変わりません。

 家計の極端な節約志向に少し変化が起きているのか、これから見守りたいところです。

 同じく今朝発表された「国際収支状況速報」によれば、この7月期の我が国の経常収支は2兆3000億円の黒字だそうです。黒字は37か月連続で、まさに万年黒字、黒字の太宗は第1次所得収支」(海外から受け取る利子配当など)で、最近は貿易収支も黒字の事が多いようです。

 昨年1年の経常黒字はGDPの3.9%に達し、今年は4.2%になりそうとのことです。これだけの大幅黒字で、さらに増加傾向という事になりますと、万年赤字のアメリカの大統領のトランプさんなどは、もっとアメリカらいろいろ買えと言いたくなるでしょうし、国際投機資本は、何かあると危ないドルを売って円を買い円高傾向が強まるのも、当然かもしれません。

 黒字を減らすには、日本人がもっとカネを使わなければならないのですが、鍵は「家計の消費態度」でしょう。
それにしても、北朝鮮問題がこのままでは、まともな経済の議論などはできませんね。