tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本的経営と同一労働・同一賃金 -蛇足-

2017年09月16日 11時03分15秒 | 労働
日本的経営と同一労働・同一賃金 -蛇足-
 昨日は多くの方にお読みいただいて有難うございました。もうご理解いただいていると思いますが、改めて蛇足をつけさせていただきます。

 正規社員の賃金は企業内の労使の賃金協定やその企業の就業規則で決まっています。それは賃金体系として初任給から定年再雇用まで一体の体系として決めています(そして毎年それを春闘で改定する)。

 一方、非正規の賃金は職種と地域のマーケットで決まります。単純な仕事の賃金は低く、技能労働力なら高く、高度専門職の契約社員などでは、役員クラスのレベルにもにもなります。

 こうした二種類の賃金システムに属するものを、偶々今やっている仕事が同じようなものだから、その時点で賃金を同じにしろと言っても、それでは、それぞれの賃金体系や賃金システムが成り立ちません。
 もともと正社員同士で、同じ仕事をしていても、入社年次で差が出ることは、賃金協定、就業規則で決められているのです。

 ですから、以前から日本では「今働いている職場での、同一労働・同一賃金は成り立たない」というのが、ほとんどの労働経済専門家共通の意見です。
 例えは些か問題ですが、例えば、「人の価値は棺を覆いて定まる」といいますが、日本の正社員の賃金は、その人が定年まで仕事をして、その間の会社への貢献の総量に対する報酬として(退職金も含めて)、その会社での職業生活を終えて、その時点で(同一貢献・同一報酬)として定まるようになっているのです。

 勿論現実にきちんとそうなっているかどうかはわかりません、しかし、正社員を希望する人は、そうした「規範」を納得して受け入れて、正社員を希望して入社し、仕事をしているのです。これが「人間中心」の日本的経営の現実です。

 日本的経営に関しては、このブログでも、いろいろな面から書いてきていますが、現政権は「日本的経営」についての本格的な理解は殆ど無いようで、欧米流が優れているという「舶来崇拝」を脱せず、見当違いの政策を多く出しているので、産業界全体、また労使関係の中でのトラブルを多発させそうで、また、ひいては日本企業、日本経済の成長力にもマイナスの影響が出るのではないかと心配している方も多いのではないかと思います。
 
「 日本的経営と国会論議」
「大卒就活ルール:大問題の日本、問題にならない欧米」などでも、日本的経営の無理解が目立つように思います。