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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2017春闘の連合の賃上げ基準

2016年11月29日 11時04分10秒 | 労働
2017春闘の連合の賃上げ基準
 連合は来年の春闘に向けての基本方針を春闘共闘連絡会議 で決め、11月25日意発表しました。
 基本線はほぼ今春闘と同様で、当面、この方針が現状ではベストと考えているようです。
 「経済の自立的成長」「持続的な社会」の実現のために所得向上と消費の拡大を図ることが必要で、そのためには、総ての働く者の賃金の「底上げ・底支え」「格差是正」が必要という主張です。

 具体的な賃上げに関わる数字はベースアップ2パーセント基準、定期昇給相当分を加えて4パーセントという事のようで、昨年のベースアップ2パーセント以上(と記憶しますが)を、経済情勢を勘案多少緩めた感じす。

 賃上げについての重要なな視点として掲げているのが「サプライチェーン全体で生み出す付加価値の適正配分」との指摘です。
 そのためには、大企業中心ではなく、地場の中小企業も、また正規、非正規を問わず、さらに労働組合のない職場で働く人々含め、処遇改善、格差是正のために日本全体の賃金決定のメカニズムとしての春闘の意義を強調しているようです。

 かつて日本経済が、世界が羨む健全さで、 日本的経営、日本的労使関係が世界から注目されていたころ、当時の労使を代表する連合と日経連が、「春闘は年1回の全国規模の労使相互の教育と学習のシステム」と言っていたのをチラと思い出したりするような極めてまともな指摘のように思います。

 日本経済の全体としてのサプライチェーンが生み出した付加価値を適切に配分し、格差是正を図るといった表現は、よく言われる「連合は正規従業員の利害を代表する組織」といった批判に対するものでしょう。

 私の記憶では、この表現は、昨年の連合の春闘白書から使われ始めたと思いますが、昨年も、春闘の総括の中で、中小でも大手を上回る賃上げ率が見られたと評価していたことが思い出されます。

 ところで、連合としては、春闘の賃上げは自分たちの専管事項で、「官製春闘」などと言われるように、政府に主導権を握られては面目が立たないという気持ちもあるでしょう。税府とは無関係という立場をはっきりさせたいようです。

 矢張りこの辺りは政府の出しゃばり過ぎでしょう。政府の役割は別にあるはずです。 
 政府が受け持つのは、労使の配分の結果も受けて、国としての税制や社会保障制度による国民所得の再配分をどうするかでしょう。

 景気回復のためにと政府は毎年賃上げ率先奨励することに熱心で、本業ので国民所得の再配分を適切にして、財政が苦しいなら苦しいなりに、国民が先行きを安心できるような政策を打つという政府の本来の役割が(前回も取り上げましたように)ゴタゴタでは、何か政府のおやりになっていることが、本末転倒のように見えて仕方がないのですが・・・。