tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカで最低賃金引き上げ競争か?

2016年11月14日 16時40分56秒 | 経済
アメリカで最低賃金引き上げ競争か?
 このところ、アメリカの最低賃金の引き上げが話題になっているようです。おりしも、トランプ次期大統領の登場と時期を同じくするようなことになってトランプ氏登場による株価の大幅上昇などと似た動きのように感じたりしてしまいますが、それとこれとはあまり関係ないようです。

 日本では、最低賃金は毎年公労使の三者構成の審議会で都道府県別に改定されていますが、アメリカでは連邦の最低賃金は大統領令によってきめられているようで、2014年までは2009年に決められた時間当たり7.25ドル(当時の1ドル80円では580円)だったようです。

 オバマ大統領は、物価上昇で大きく目減りしている状況を改善しようと2014年に、2015年以降時間当たり10.1ドルで、それ以降は物価上昇に従って引き上げるという大統領令を出し、それが動き出しているようです。

 アメリカの最低賃金は、連邦最低賃金のほか、州が決めるもの、市が決めるものなどそれぞれのレベルがあって、日本のように、原則として全労働者に適用ではなくて、仕事や企業規模によって、適用除外もいろいろあるようで、柔軟性もあるようです。

 州レベルや、特に市レベルなどになると、最近の報道のように時間当たり15ドルに引き上げるといった大幅引き上げの動きもあるようですが、勿論、2018年かけてとか2020年までにとか、中期引き上げ計画で景気が後退したらやらないといった、いろいろな形もあるようです。

 しかし報道などによれば、今後のアメリカ経済への期待もあって、何か市レベルの最低賃金などは引き上げ競争といった気配(マスコミ報道)も出て来そうです。
 もし労働運動などにも無理しても賃金上昇を積極化する気配が広がり、トランプ景気を先取りして、改めて過度な賃金上昇に波及するような動きが出てくる可能性を何となく危惧します(心配のしすぎ、杞憂であることを願いつつ)。

 このところほとんど沈静化していたアメリカの労働運動ですが、かつてその力を誇ったAFL・CIOがどんな動きをするのでしょうか。
 
 トランプ景気の先取りでNYダウは最高値を付けたりしていますが、トランプ景気はまだ絵に描かれただけで、それを先取りするのはかなり危険でしょう。
 これまでも自らの失態で世界に随分迷惑をかけてきたアメリカ経済です。「アメリカ・ファースト」「偉大なアメリカ」が同時に「健全なアメリカ経済」指向であって欲しいと思っています。