tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

実体経済を反映した為替相場が合理的だが・・・

2016年08月23日 12時52分27秒 | 経済
実体経済を反映した為替相場が合理的だが・・・
 それぞれの国の国際競争力の強さは、その国の国民経済の生産性によって決まるでしょう。
日本は昭和24年(1949年)に「連合国最高司令部」によって、1ドル360円の単一相場と決められました (その前は輸出・輸入品目別複数相場制)。

 競争力のバラバラな輸出入の各産業部門をひとまとめにして「単一為替レート」を決めるのは容易ではありませんが、強い部門、弱い部門を総合的に見て(国民経済生産性)360円ということになったのでしょう。円は360度だから360円などという冗談もあったようです

 日本の産業は頑張って生産性を上げ、景気が良くなって輸入が増えると国際収支は赤字、これは大変と引き締め政策をとると黒字回復といったプロセスを経て、黒字基調の国となり、ニクソン・ショック、オイルショックも乗り越えて生産性を上げてきました。

 その割に為替レートは円高にならなかった内は良かったのですが、プラザ合意の後の急激な円高で$1=¥120になると、日本の生産性では国際収支赤字化必至ですから、円高のデフレ圧力もあり経済を縮小させ、その後のリーマンショックによる$1=¥80にも何とか耐えましたが、これが「失われた20年」です。
 2013年と14年の日銀の政策変更で$1=¥120になり、息を吹き返すまでは、日本国民は大変な苦労をしました。
 
 こうしたことが起こるのは、その国の国民経済生産性はせいぜい年に1~2%しか変化しませんが、為替レートは1割も2割も変化して、日本で言えば、国民経済生産性と為替レートの変化のギャップが大きすぎて、極端な円高や円安になるからです。
 そのせいで、経済運営も企業経営も対応し切れず、実体経済がめちゃくちゃになるのが現実でしょう。

 最近のいろいろな通貨の対基軸通貨「ドル」の状況で見ても、ここ数年の間に1ユーロは1.6ドルから1.1ドルになったり、1オーストラリアドルは、0.6ドルから1.1ドルになりまた0.8ドルになったりしています。英ポンドも、2.1ドルから1.3ドルになっています。

 こうしたその国の実体経済の実力、国民経済生産性の動きとはかけ離れた為替相場に振り回されるのが現状の変動相場制です。
 クローリング・ペッグ制、クローリング・バンド制などという方法も一部の国では利用されていますが、為替操作国などのレッテルを張られます。

 おそらく今の変動相場制では投機筋の思惑で勝手に変化する為替レートに、経済や経営を合わせるしかないわけで、こんな不健全な状態を放置するのは世界経済にとってよくないことでしょう。

  ゴルフのハンディでも、決め方はきちんとした実績に基づくルールがあるのが普通です。為替レートはもっとずっと大事な事だと思うのですが。